サイレンと犀 (新鋭短歌シリーズ16)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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本棚登録 : 778
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851665

感想・レビュー・書評

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  • ふとすれ違うひともこういう詩を読んでいるかもしれないなんて思ったら多分誰にでもやさしくなれる気がする 本当に好きな歌集

  • 微笑ましくて、エモい。
    この人の短歌をもっと読みたいと思った。

    道ばたで死を待ちながら本物の風に初めて会う扇風機

    いつか、自分と重なりそうな気がした一首。

  • あたたかさと寂しさの共存
    味を付けるならベースは甘いけど塩味も苦味も入ってるような感じ。好きでした。

    好きな歌
    ・友達の遺品のメガネに付いていた指紋を癖で拭いてしまった
    ・さみしさを体現したい風船のトイプードルがしぼむみたいに

  • 「もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい」
    をSNSで見かけて岡野さんの短歌にとても興味が湧いて買ってみた本。

    よくわからないものも多かったけど、うしろの解説を読んでなるほど!!ってなるものが多くて、あぁ私はまだまだ情景を読み取る力が弱い……と落ち込んだ。

    岡野さんは取るに足らない日常が気になって仕方がない、と解説されていたが本当に取るに足らない日常を切り取るのがうまいなぁと思った。

    また将来読み直してみたい一冊。
    読む時の自分の置かれている環境によって刺さる短歌も変わるんだろうなと楽しみ。

  • 911-O
    古典・詩歌コーナー

  • 今、短歌界の第一線を走る岡野大嗣さんの第一歌集。
    日常であまりにも些細で素通りしてしまうようなことを切り取って歌にしている。
    歯に挟まった七味、捨てられた扇風機、希死念慮だって歌になる。

  • 岡野大嗣さんは
    慎ましくも鮮やかな歌を書くイメージで
    どこか寂しさを感じる作風が素敵。

    今作もしみじみ味わいました。

  • 一首ずつマーカー引ければいいのに。
    Kindleでかゆいところに手が届かないところ。

    穏やかな気持ちになれる歌集だった。
    また時間をかけて読み直したい。

  • 2014年刊行の第一歌集。若さとそれ故の刹那的で投げやりな感覚、そして衝動的な死の匂いが漂う歌。アイロニーとユーモアも散りばめられている。

  • 岡野大嗣(1980年~)氏は、大阪府生まれの歌人。2011年に作歌を始め、2014年に短歌研究新人賞次席。2018年に出版した、木下龍也との共著歌集『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』は、短歌の書籍として近年では異例といえる、発行部数1万部を超えた。
    本書は、2014年に発表された第一歌集である。
    私は50代の会社員で、最近短歌に興味を持つようになり、お気に入りの歌人(俵万智、穂村弘、東直子、枡野浩一、木下龍也ら)による入門書や歌集、多数の現代短歌歌人を集めたアンソロジー等を読み、半年ほど前から新聞歌壇への投稿も始めた(最近ポツポツ採用されるようにもなった)。
    岡野大嗣については、自ら木下龍也に影響を受けたと公言し、共著歌集の出版や短歌教室の開催しており、その作風も比較的近く、今回単独の歌集を入手した。
    俵万智の『サラダ記念日』(これは社会現象でもあったため、短歌に関心のなかった私も一応読んでいた)以降の現代短歌がこんなにもバリエーションに富んでいることは、最近いくつかのアンソロジーを読むようになって知ったのだが、その中には、素人・初心者の私にはわからない・面白くないものも少なくなく(全く個人的な感想です)、そうした中で、木下や岡野の歌になぜ惹かれるのか、これについては、山田航氏が短歌アンソロジー『桜前線開架宣言』に書いていたことを読んでよくわかった。というのは、山田氏によれば、木下や岡野は、「ここにかけがえのない僕がいる」と主張することを是とした近代短歌の精神、よって自ずと私小説的になる近代短歌の作風に真っ向から歯向かい、ふとした瞬間に兆した感情を共有することを目的として歌を詠んでいる、即ち、「個の詩型」ではなく「場の詩型」を志向しているということなのだ。そして、私にはこの感覚・志向がとても合っている。
    岡野は本歌集のあとがきに次のように書いている。「僕はよくため息をもらす。中吊り広告の品のない見出しや、ひと粒ずつが骨のかたちのドッグフードや、・・・に。苛立ちや虚しさ、不安や悲しみ、驚き、ときに祈り。ネガティブかポジティブかを問わず「忘れたくない」と感じさせる何かが自分を通過したときに、僕はため息をもらしているのだと思う。僕にとって短歌は、短く、静かにもらすため息のようなものだ。ため息は流れていってしまうけれど、短歌は残る。短歌に残して、読み返せば、何度でもそのため息のもとになった情景を心に甦らせることができる。・・・僕の短歌は、岡野大嗣という人間のモニュメントになんてならなくていい。そんな大げさなものが残ってしまうなら、怖くて短歌なんて続けていけない。だとすれば、僕はなぜこの歌集を世に送ろうとするのか。それは、千年以上も前の詠み人知らずの歌に心を動かされることがあるように、自分が「忘れたくない」と思った何かを、見知らぬ誰かにも伝えたいという願いからだと思う。」
    山田航曰く「短歌のポストモダンへの一つの回答となりうる」、80年代生まれの歌人による第一歌集である。
    (2021年12月了)

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著者プロフィール

一九八〇年大阪府生まれ。歌集に『サイレンと犀』『たやすみなさい』『音楽』『うれしい近況』。共著に『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』『今日は誰にも愛されたかった』。がんサバイバー当事者による、闘病の不安に寄り添う短歌集『黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える』を監修。

「2023年 『現代短歌パスポート2 恐竜の不在号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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