- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863853157
作品紹介・あらすじ
第12回日本一行詩大賞受賞
曇天に火照った胸をひらきつつ水鳥はゆくあなたの死後へ
幽明を行き来しながら
うたは火となる。水となる。
声の雫が心を濡らす。
感想・レビュー・書評
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ああ斧のようにあなたを抱きたいよ 夕焼け、盲、ひかりを搔いて
遠景、とここを呼ぶたび罅割れる言葉の崖を這うかたつむり
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観念が物質感を持ち、逆に物体が抽象に昇華されて息をし始めるような印象をうけた。モチーフ同士の共有するイメージを掴んでそういった矛盾を違和感なく使いこなしてる感じが凄い
丁寧でキレイだった第一歌集に比べて、一首単位での横の広がりと、読者の連想を促すような深みが増してるように感じた。
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灯台のような裸、とおもったが春はそれさえ連れ去ってゆく
詩のように瞳はそこへ向かうのだ そこには誰もいなくていいのだ
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"対象との距離"を、淡白に客観視するのではなく、惜しむように、美化する。それがキレイなほどむしろ寂しいです -
短歌をわかるにはまだまだ忍耐力が必要
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貸していただいての一冊。
短歌という枠組みをとっぱらって、なんだ、この完璧な、奥行きを温度をもって、湿度も満たして再現させる言葉は、、、と驚愕した一冊。
こんなふうに言葉を研ぎ澄ませるまでに、何をしているのかしりたいような、知ったところできっと同じことはできないのだろうな、とも思う。
もっとこの方の句集が読みたい。 -
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期待の若手歌人の第二歌集。言葉の使い方が奔放で、魅力的だ。「狂うのはいつも水際 蜻蛉来てオフィーリア来て秋ははなやぐ」「あなたはわたしの墓なのだから うつくしい釦をとめてよく眠ってね」「そのひとを怒りはうつくしく見せる〈蜂起〉の奥の蜂の毛羽立ち」「手をあててきみの鼓動を聴いてからてのひらだけがずっとみずうみ」「紫陽花はさわると遠くなる花で(あなたもだろうか)それでも触れる」「蛇よりも鐘になりたし火に濡れてきみの最期の声さえ聞ける」「馬の背は光に濡れて 来た、壊した、焼いた、殺した、奪った、去った」「肉体の曇りに深く触れながらカミーユ・クローデル火のなかの虹」
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歴史上の人物の内奥をうつしとる三十一音、熱情と透徹した観察眼が同居する。
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よかった、と感じる歌が多くある いつしか「塔」で出会いたくあり