カミーユ (現代歌人シリーズ22)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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本棚登録 : 255
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863853157

作品紹介・あらすじ

第12回日本一行詩大賞受賞

曇天に火照った胸をひらきつつ水鳥はゆくあなたの死後へ

幽明を行き来しながら
うたは火となる。水となる。
声の雫が心を濡らす。

感想・レビュー・書評

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  • 『目を閉じて少し待つのだお互いの葉ずれの音の静まるまでを』

  • ああ斧のようにあなたを抱きたいよ 夕焼け、盲、ひかりを搔いて

    遠景、とここを呼ぶたび罅割れる言葉の崖を這うかたつむり

    .
    観念が物質感を持ち、逆に物体が抽象に昇華されて息をし始めるような印象をうけた。モチーフ同士の共有するイメージを掴んでそういった矛盾を違和感なく使いこなしてる感じが凄い

    丁寧でキレイだった第一歌集に比べて、一首単位での横の広がりと、読者の連想を促すような深みが増してるように感じた。

    .
    灯台のような裸、とおもったが春はそれさえ連れ去ってゆく

    詩のように瞳はそこへ向かうのだ そこには誰もいなくていいのだ

    .
    "対象との距離"を、淡白に客観視するのではなく、惜しむように、美化する。それがキレイなほどむしろ寂しいです

  • 短歌をわかるにはまだまだ忍耐力が必要

  • 貸していただいての一冊。
    短歌という枠組みをとっぱらって、なんだ、この完璧な、奥行きを温度をもって、湿度も満たして再現させる言葉は、、、と驚愕した一冊。
    こんなふうに言葉を研ぎ澄ませるまでに、何をしているのかしりたいような、知ったところできっと同じことはできないのだろうな、とも思う。
    もっとこの方の句集が読みたい。

  • ・雨沁みて重たいつばさ 感情は尖がもっとも滅びやすくて
    ・老けてゆくわたしの頬を見てほしい夏の鳥影揺らぐさなかに
    ・少しして声を好きだと気づきたりまっすぐな木にうなずくように

    この辺が好きでした

  • 期待の若手歌人の第二歌集。言葉の使い方が奔放で、魅力的だ。「狂うのはいつも水際 蜻蛉来てオフィーリア来て秋ははなやぐ」「あなたはわたしの墓なのだから うつくしい釦をとめてよく眠ってね」「そのひとを怒りはうつくしく見せる〈蜂起〉の奥の蜂の毛羽立ち」「手をあててきみの鼓動を聴いてからてのひらだけがずっとみずうみ」「紫陽花はさわると遠くなる花で(あなたもだろうか)それでも触れる」「蛇よりも鐘になりたし火に濡れてきみの最期の声さえ聞ける」「馬の背は光に濡れて 来た、壊した、焼いた、殺した、奪った、去った」「肉体の曇りに深く触れながらカミーユ・クローデル火のなかの虹」

  • 歴史上の人物の内奥をうつしとる三十一音、熱情と透徹した観察眼が同居する。

  • よかった、と感じる歌が多くある いつしか「塔」で出会いたくあり

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著者プロフィール

一九八九年岡山県生まれ。第五十六回角川短歌賞を受賞。歌集に『てのひらを燃やす』(角川書店)、『カミーユ』(書肆侃侃房)、『ヘクタール』(文藝春秋)。「京大短歌」を経て現在は「塔」所属。京都市在住。

「2023年 『現代短歌パスポート2 恐竜の不在号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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