お砂糖とスパイスと爆発的な何か—不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門

著者 :
  • 書肆侃侃房
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本棚登録 : 1331
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863853652

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!フェミニズムって邪悪なインターネットのせいで変なイメージついてるけどこの作品はカジュアルに語ってくれて読みやすい。
    女の子視点だとこう見えるよね!って頼りになるお姉さんが解釈を語ってくれてる感じ。そういう見方もあるのか〜って思って頷いたり、嫌いな作品に対する考え方とかも興味深かった。

    なんか作品を見てるときの違和感とか、世間で高く評価されてるけど自分にとっては気に入らないポイントがあることとか、そういうギャップに対して自分の感性がおかしいのかも……と押し込めがちだけど、そもそもその世に知れ渡ってる評価が古めかしいマッチョ視点の批評なことだってあるんだよなと思えた。
    批評や評価に絶対正しいものなんてないし、与えられてる高評価だって間違えてる可能性があるのだからそんな権威に臆さず気に入らないものは気に入らないとハッキリ言ってやったって良いんだよな。
    今ある評価に反することを言うのを恐れちゃうのは「やっぱり女に芸術などはわからないね」みたいなことを言われる可能性について考えてしまうから。
    けどそんなの勝手に男性中心社会が決めた基準での評価じゃん♪もっと自由にいこか♪という気になれた。

    基本的に絶対的な正しい解釈や批評は存在しない。
    私の感想も正しくないし伝統的な男性中心社会の感想も正しくない。

    だから私だって私の感性で自由にものを語っていいのである。
    女が権威に縮こまらずに思うままの感想を言える、というのがフェミニズム批評なのかな。
    と見つけたり?みたいな!

    ところどころ「そこまで言う?」みたいな批評もあったけどそれも含めて他人の斬新な意見として新鮮に読めた。
    タイトルのセンスもいいね。お砂糖とスパイスと爆発的ななにか………。

  • なにか新しい視点が得られそうな予感でワクワク。

  • 映画や文学をフェミニズムという視点で批評した本。
    書かれてる文体はとてもライトで読みやすく、また興味深い視点を得られるので、引用されている作品を知らなくても興味を掻き立てられる。

    日々生きていれば、誰かしら、何かしら外界からの刺激を受けることになり、誰でも少なからず影響を与えられる。自分の快不快が何の影響を受けてどういう思考から来ているのか、映画や小説の内容を読み解くように自分自身を読み解いていけば、今まで見た作品たちの違った一面を見つけられるかもしれない。新しい楽しみ方を教えてくれた一冊。

  • What are little boys made of? Snips, snails and puppy-dogs' tails
    男の子って何でできてるの?ぼろ切れとかたつむりと犬のしっぽで
    What are little girls made of? Sugar and spice and everything nice
    女の子って何でできてるの?お砂糖とスパイスとあらゆる素敵なもので

    マザーグースの一節からとられたタイトル。「私たちは別にナイスなものではできていないし、ナイスになる必要なんてないんだ」という意味をこめて「爆発的な何か」に変えたとのこと。ナイスセンス。
    そういえば、パワーパフガールズ(アニメ)の材料もお砂糖とスパイスと素敵なものだった。マザーグース由来だったのか!

    本書でシェイクスピアのフェミニズム批評というジャンルをはじめて知った。映画や演劇を見る目がかわりそう。新しい視座をもらった。
    特に「サロメ」と「十二夜」の解釈が非常におもしろかった。目から鱗。

  • 題名を見て面白そう、と思い読み始めた。
    題名と内容の関係性は分からないまま読み終えた。
    本文の中に海外映画の邦題が内容を的確に表したものではなく、女性受けするものになっている、というような話が出てくるが、この本の題名もちょっとそんな感じかな。
    私はフェミニストはあまりわかっていないと言った方がいいだろう。
    男性だから、女性だからって区別しなくてもいい、みんな人間でしょ。
    敢えて女性は、って全面に出すことって逆に差別では?なんて思ってしまう。
    今私は男女差がそれほど無い場所で生きている。
    女性を全面に出して生きることだってそれはその人の生き方。
    肩肘張らないで生きていきたい

    読み物としては色々な解釈を提示してもらって面白かった。
    物語の深いところに隠れている物を読み取ることの面白さも知った。
    でも私はプリンセスは嫌いじゃない、おばさんだけど女子だから。

  • 文芸批評の楽しさが垣間見えた1冊。面白いし、こんなふうにいろんな作品を自分なりのキーワードで分析しながら観る事ができたらもっと面白いんだろうなと思う。
    まだまだ世の中にはいろんな作品があるんだなとも思えたし、もっといろんな作品を知りたくなった。

  • フェミニズム批評をなぜやるのか、ということを前書きで説いているが、ウェブwezzy の連載批評をひとつ(最新稿はウォッチメン)読んだほうが腑に落ちる。BLM騒動の陰に隠れてるアジア人軽視(蔑視)の風潮を突く鋭さ。

  • 子どものころはマンガ『ONE PIECE』が大好きだったが、大きくなってから読み返してみると『ONE PIECE』のジェンダー観がしんどくなってきたというもやもやした気持ちから手に取ってみた。

    古典から最近までさまざまな作品での男女の描かれ方について書かれている。ほとんど読んだこと・観たことのない作品だったので触れてみないことにはわからない。
    唯一読んだことのある、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』に登場するエミリ先生がやたらと"straight"という言葉で表現され、同性愛者であることを示唆しているというのは気づかなかった。(日本語だから?)

    自分自身が作品について1面1方向からしか消費していないことが分かったので大変興味深かった。

著者プロフィール

英文学者、批評家。

「2023年 『高校生と考える 21世紀の突破口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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