青い舌 (現代歌人シリーズ33)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863854703

作品紹介・あらすじ

子供との時間のなかに
前世のような記憶の翳がさす。

いつか、どこかで、わたしは立っていた

舌だしてわらう子供を夕暮れに追いつかれないように隠した

【自選5首】
君のべろが煙ったように白かったセブンティーンアイスクリーム前
西瓜食べ水瓜を食べわたくしが前世で濡らしてしまった床よ
蟻に水やさしくかけている秋の真顔がわたしに似ている子供
ヒメジョオンの汁でつくったマニキュアでにぶく光っていた爪の先
遮断機の向こうに立って生きてない人の顔して笑ってみせて

感想・レビュー・書評

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  • 幽玄、という言葉がぷかぷかと闇間に浮かぶ。
    生と死、あなたとわたし、母と子、現在と過去、行ったり来たり、混じり合ったり、反転したり。
    仄暗い場所から詠まれている感じもする。
    2023年度NHK短歌の第二週選者をされている山崎聡子さん。
    番組で紹介される彼女の短歌はそんなに難解でない歌を選んでいるのだろうか。
    私には全体的にちょっと難しく感じた。

    歌人でもある花山周子さんが手掛けたブルーグリーンの装丁が美しい。

  • 静けさと鮮烈さが同居している。
    過激を文学のベールに丁寧に包んでいる。
    美しさと禍々しさがせめぎあっている。

    ほの暗さ、うしろめたさ、不穏さがうっすらと漂っている作品が多く、大変好みだった。また、単語自体にはそれほど強さがないのに、取り合わせによって強烈な棘を孕んだ詩の数々に心拍数が上がった。

    ー『蟻に水やさしくかけている秋の真顔が私に似ている子供』(p68)

    ー『縄跳びに入れないままおしっこで湿る体を携えていた』(p57)

    ー『魚卵のいのちが真っ赤に灯る食卓でお誕生日の歌をうたった』(p86)

  • 言葉の端々に渦巻く〈恐怖〉と〈冷たさ〉。
    時が流れるにつれて、朝日がのぼっていく。
    読んでいて、ふと泣き出したくなってしまったときがあった。

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著者プロフィール

1982 年栃木県生まれ。
早稲田大学在学中に作歌を始め、2010年「死と放埓なきみの目と」で第54回短歌研究新人賞受賞。
2013年第1歌集『手のひらの花火』( 短歌研究社) で第14 回現代短歌新人賞受賞。
pool、「未来」短歌会所属。

「2021年 『青い舌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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