アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】

  • 晋遊舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863912809

作品紹介・あらすじ

単純な「チェックリスト」が日常に起きるミスを減らし、災害・事故に際しては人命を救う。絶対にミスの許されない医療現場で著者が辿り着いた真実。経営者、投資家、医師、パイロット、建築家、料理人…、あらゆるプロフェッショナルが信じる成功のエッセンスがここにある。米誌「TIME」の「世界で最も影響力ある100人」に選ばれた著者の提言。

感想・レビュー・書評

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  • ☆4(付箋15枚/P238→割合6.30%)
     
     
    どちらかというと、「チェックリストという方法の再発見」だった。
    外科医だった著者は医療で基本だろうということを見落としてしまうようなミスを避ける方法をずっと探していた。
    人間の失敗には「無理」と「無知」と「無能」があって、無知の領域が減った分できることが複雑化し、無能になってしまうことがあるということ。
    そして問題には、毎回同じように繰り返せる単純な問題とレシピが決められない困難な問題、それと子育てのように毎回結果が異なる複雑な問題があるということ。
    その二つをコントロールするヒントが、大規模施設をミスゼロで建築する建設業界やミスの許されない環境に乗客を運ぶ航空業界だったのだ。
     
    ・研修医の時に読んで以来、ずっと印象に残っている文章がある。1970年代にサミュエル・ゴロビッツとアラスデア・マッキンタイアという二人の哲学者が書いた短いエッセイだ。彼らは、どうして私たち人間は失敗してしまうのかについて考えた。二人によれば、多くの場合は「無理」が原因だ。私たちは、この世界の大部分を理解することも、それに対して影響を及ぼすこともできない。科学技術の助けを借りても、私たちの肉体と精神には限界がある。人間は全知でも全能でもないので、どうしても無理なことがあるのだ。
    一方で、高層ビルの建設、大雪の予知、心筋発作や刺し傷の患者の治療など、私たちができることもたくさんある。そして私たちが何かをできる領域では、失敗の原因は二つだけだ、とゴロビッツとマッキンタイアは言う。
    一つめが「無知」である。科学は発達したが、わかっているのはまだほんの一部分だ。建設できないビル、予知できぬ大雪、治せない心筋梗塞など、私たちが知らないことはまだまだ多い。二つ目が「無能」だ。正しい知識はあるのだが、それを正しく活用できない場合を指す。設計ミスで崩落する高層ビル、気象学者が予兆を見落とした大雪、凶器が何だったかを聞き忘れることなどがこれにあたる。
    人類の歴史の大半では、「無知」が一番の問題だった。その最たる例が病気だ。ほんの少し前までは、病気の原因や治療法などはほとんどわかっておらず、人間は病気にされるがままだった。だがここ数十年で、無知と無能のバランスは驚くほど大きく変化してきた。私たちが急速に知識を得たことで、「無能」は「無知」に負けないくらい重要な問題となった。

    ・世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD)第九版には1万3千種類以上の病気や怪我が載っている。そして、私たちはそれらのほぼ全てに対して何らかの処置を施せる。完治できなくとも、病気の害やつらさは軽減できる場合がほとんどだ。だが、その方法は、病気ごとに異なり、多様で複雑だ。医学の進歩は、医者に6千の薬と4千の手技を与えた。だが、それぞれに使用条件、リスク、注意点がついてくる。医者が判断しなければならないことの数は膨大なのだ。

    ・2001年に、ジョンズ・ホプキンス病院の集中治療の専門家ピーター・プロプロノボスト医師は、医者のためのチェックリストを作ってみることにした。ICU(集中治療室)での全ての業務のためのチェックリストを作るのは難しい。だから彼は、数百ある業務のうちの一つ、中心静脈カテーテルの挿入に目をつけた。
    中心静脈カテーテルを挿入する際の感染予防の手順は以下の通りだ。

    1.石鹸で手を洗う
    2.患者の皮膚をクロルヘキシジンで殺菌する
    3.滅菌覆布で患者を覆う
    4.マスク、滅菌ガウン、滅菌手袋をつけ、カテーテルを挿入する
    5.刺入点をガーゼなどで覆う

    決して難しい手順ではなく、昔から教えられている通りの方法だ。こんな当たり前の手順にチェックリストを作るのは馬鹿らしく思えるかもしれない。だが看護師に医師を一ヶ月間観察させると、三分の一以上の患者で一つ以上の手順が飛ばされていることが分かった。
    プロノボスト医師と彼のチームは病院の役員たちを説得し、医師が一つでも手順を飛ばしたらカテーテル挿入を止める権限を看護師に与えた。また、カテーテルを長期間入れておくのは感染の原因になるので、抜くべきカテーテルがないか、看護師は毎日医師に確認することになった。
    …それから一年間、カテーテルの感染率を追ったプロノボスト医師たちは信じがたい結果を得た。カテーテル挿入から10日間の感染率が11%から0%に下がったのだ。その後15ヶ月間にもわずか2件しかカテーテルの感染は起きなかった。ジョンズ・ホプキンス病院は43人の感染と8人の死を防ぎ、200万ドルの経費を節約できた計算になる。

    ・ヨーク大学のブレンダ・ジマーマン教授とトロント大学のショロム・グルーバーマン教授は、複雑性について研究を重ねてきた。二人によれば、世の中の問題は三つに分類できるという。
    一つ目は「単純な問題」だ。ケーキの焼き方などがこれにあたる。いくつかの基本的な技術を学ぶ必要はあるかもしれないが、それらを覚えてレシピ通りにやれば高確率で成功する。
    二つ目は「やや複雑な問題」だ。ロケットを月へ飛ばすのはこれにあたる。複数の「単純な問題」に分解できることもあるが、単純なレシピは存在しない。予期せぬ困難が頻発し、チームワークと専門知識が成功には不可欠だ。タイミングや協調が重要な課題となる。
    三つ目は「複雑な問題」で、子育てが良い例だ。月へのロケットは、一度やり方がわかれば、また同じやり方で飛ばせる。何度も繰り返すことによって、飛ばし方を改良していくこともできる。だが、子供は一人ひとりが違う。一人子供を育てたからといって、次がうまくいく保証はない。経験は有用だが、それだけでは不十分だ。

    ・医療には「単純な問題」「やや複雑な問題」「複雑な問題」が混在している。だから中心静脈カテーテルのようにチェックリストで改善できる部分もあるが、そうでない部分がほとんどなのではないだろうか。また、とにかくやるべきことをやらねばならないという状況が医者には多々ある。「書類の記入なんてやってられるか。まずは患者のケアだ」という場合だ。「正しい手順」やチェックリストがあっても、時にはそれを無視する必要があるのだ。
    私はこれらの問題について長い間考えてきた。私は出来る限り良い医者になりたい。そのためにも、マニュアル通りに動くべき場合と、自分の判断で動くべき場合を見極めるのは非常に重要だ。単純な仕事は確実に行われるようにしつつ、創意工夫の余地や不測の事態に対応できる柔軟性も残したい。チェックリストは単純な問題にはとても有効だ。しかし、医療のようにん単純な問題と複雑な問題が混在している場合はどうなのだろうか。
    答えは意外なところで見つかった。ある日、道を歩いていたら、答えに出会ったのだ。

    ・建設業界では中世以来、棟梁を一人雇って任せるというやり方が長い間主流だった。棟梁はデザインや構造設計を一人でこなし、玄関から配管まで工事の全てを監督した。ノートルダム大聖堂、サン・ピエトロ大聖堂、アメリカ合衆国議会議事堂はそのようにして建てられた。だが、20世紀半ばには伝統的な棟梁は絶滅してしまった。建築のありとあらゆる側面が高度かつ多様に進化し、一人の人間が全てを習得するのが不可能になってしまったのだ。
    まず、設計と工事が切り離された。さらに設計はデザインと構造設計に分けられ、それぞれが細分化していった。工事も同様に細分化し、タワークレーン業者や内装大工などに分業された。超専門家されたという点においては、建築と医療は似ている。
    だが、医療はいまだに棟梁の時台のシステムで動いている。

    ・リスクがある状況では、上層部は権限を集約してしまいたくなりがちだ。だから、上層部の要求を部下に忠実にこなさせる、という目的でチェックリストが使われることも多い。私が建築業界を見学した時、最初に見たチェックリストもそうだった。会議室の右側の壁に貼られたチェックリストには必要な手順が詳細に書き込まれており、業者がいつ何をすべきかがはっきりと分かるようになっていた。ミスを予防してリスクを減らすというのは合理的で、このようなチェックリストは単純な仕事にはとても効果的だ。
    しかし、会議室の反対話の壁に貼られたチェックリストは、全く別の哲学で作られたものだった。予想外の複雑な問題に対処するには、決定権を中央から末端に分散させるべきだという考え方だ。32階建てビルの建設中に14階の中心が沈んでしまっても、各自が知識と経験を生かした対応ができるような権限を与えておく。その代わり、コミュニケーションは確実に取らせ、責任も負わせる。

    ・(ニューオーリンズのハリケーンカトリーナ被害の際)
    昔ながらの上から下への指令システムはあっという間に破たんしてしまった。決断すべきことは山ほどあるのに、どこにどのような援助が必要かという肝心の情報は不足していた。
    それでも政府は今までのやり方を変えようとしなかった。状況が刻々と悪化していく中、誰が権限を持つべきかという論争が何日も続いた。連邦政府は州政府に権限を渡そうとせず、州政府は地元政府に権限を譲ろうとしなかった。ましてや民間に権限を渡すなんて考えられないことだった。
    その結果は悲惨だった。水と食料を満載したトラックは、「我々が頼んだものではない」と政府に追い返された。避難用のバスの手配は何日も遅れ、正式な要請が運輸省に届いたのは、数万人が閉じ込められてから二日後のことだった。地元のバス200台が高地にあったのだが、それらは全く使われなかった。
    政府が決して非情だったというわけではない。だが、複雑な事態に対処するためには権限をできる限り分散させる必要がある、ということを理解していなかった。これが致命的だった。誰もが助けを求めていたが、権限を中央に集中させた政府の救援策は機能しなかった。
    後日、国土安全保障長官のマイケル・チャートフは「誰にも予期できない、想定の枠をはるかに超えた大災害だった」と弁明した。しかし、それこそがまさしく「複雑な問題」の定義なのだ。それに対処するのが彼らの仕事なのだから、何の説明にもなっていない。

    ・ある日のラジオで、ロックミュージシャンのデイビッド・リー・ロスの逸話を聞いた。ヴァン・ヘイレンのボーカルを務める彼は、コンサートの契約書に「楽屋のボウル一杯のM&M’sチョコレートを用意すること。ただし、茶色のM&M’sはすべて取り除いておくこと。もし違反があった場合はコンサートを中止し、バンドには報酬を満額支払うこと」という事項を必ず含めるそうだ。実際、ロスが茶色のM&M’sを見つけてコロラド州のイベントを中止したこともある。一見有名人にありがちな理不尽なわがままに聞こえるが、詳しく聞いてみると見事な方策だということがわかった。
    ロスは自伝の『クレイジー・フロム・ザ・ヒート』でこう語る。「ヴァン・ヘイレンは、地方の巡業に巨大セットを持ちこんだ初めてのバンドだった。それまでは多くても三台と言われていた中、機材を満載した大型トラック九台で各地を回った。梁が重量を支え切れなかったり、床が沈んでしまったり、ドアが小さすぎて機材を搬入できなかったりといったトラブルも多かった。スタッフや機材の人数が多いので、契約書は電話帳並みに分厚かった」
    その契約書に試金石としてM&M’sの項目を入れておく。「そして、もし楽屋で茶色いM&M’sを見つけたら、全てを点検しなおすんだ。すると必ず問題が見つかる」それが命に関わることだってある。コロラド州のイベントでは、興行主が重量制限を確認しておらず、セットは会場の床を突き破って落ちてしまうところだった。

    ・彼の病院では、21項目の手術用チェックリストを試験的に導入してみた。手術で起こりうる様々な問題をできる限り防ぐように作られたものだ。抗生物質の投与、輸血用血液の準備、重要な画像や検査結果が手元にあるか、特別な機材は必要か、などをスタッフたちは声を出して確認することになった。
    また、「チーム・ブリーフィング」というものもチェックリストに入っていた。スタッフは手術を開始する前に話し合い、重要事項をチーム全体で確認する。手術はどれくらいかかりそうか、出血量はどれくらいになりえるか、チームが知っておくべき患者の情報はないか、などだ。
    レズニック医師は、どのように高層ビルが建てられているかは知らなかった。だが、彼の採った方法は建築業界と一致していた。作業とコミュニケーションの両方をチェックすることで複雑性に対応していくというやり方だ。

    ・手術には四つの大きな死因がある。感染症、出血、麻酔、予期せぬ出来事だ。最初の三つに対しては、科学と経験が対策を示してくれる。手術前の抗生物質など、数多くの有効な対策がある。それらを確実に実行させるには、手順がわかりやすく書かれている古典的なチェックリストが効果的だ。
    だが、四番目の予期せぬ出来事、というのは全く違うタイプの問題だ。人間の体を開いて中をいじるという行為自体が複雑で、起こりうる全ての問題を事前に知ることはできない。だから、一つのチェックリストで全ての問題を予防することは不可能だ。彼らはそれぞれ独自にそれに気づいた。そして、話し合う時間を作り、各患者の状態やリスクをチームとして確認しておくのが最善の方法だという結論に達したのだ。だから彼らのチェックリストには、コミュニケーションのチェックが含まれていた。

    ・ジョンズ・ホプキンスのチェックリストには、手術を開始する前にスタッフがお互いに名前と役割を紹介しあうこと、という項目があった。「アトゥール・ガワンデ、外科医です」「ジェイ・パワーズ、外回り看護婦です」「ズー・ション、麻酔科医です」といったようにだ。
    この自己紹介には正直違和感があったし、効果にも懐疑的だった。だが、実はとてもよく考えられたものだった。お互いの名前を知っているグループの方が、そうでないグループよりもずっとチームワークが良いというのは、様々な業種で行われた心理学の研究で示されている。ジョンズ・ホプキンスの心理学者、ブライアン・セクストン氏は、手術の研究でも同様の結果を得た。手術を終えたスタッフを捕まえて、手術中のコミュニケーションの評価と、一緒に手術したスタッフたちの名前を聞いてみると、約半分しかお互いの名前を知らなかった。だが、チームメンバーの名前を知っていたスタッフは、コミュニケーションの評価が断然高かった。
    ジョンズ・ホプキンスや他所の研究者たちによれば、自己紹介にはもう一つの効果もあるそうだ。手術開始前に看護師に自己紹介と懸念を話す機会を与えると、その後も問題を提起したり、解決策を出したりしやすくなる、という研究結果が出た。彼らはこれを「活性化現象」と呼んだ。

    ・トロントの研究では、チェックリストが使われるところを実際に観察した。わずか18件の手術だけだったが、その10件で、チェックリストが重要な問題や曖昧な点を明らかにしてくれた。抗生物質の投与を忘れていたこと、輸血用血液の在庫があるか知らなかったことなどだ。さらに、チェックリストで防げるとは思っていなかったような、その患者特有の問題までもが防げた。
    例えば、ある患者の腹部の手術のために、脊髄くも膜下麻酔を使った時のことだ。この麻酔を使う時は、手術中に少しでも痛みを感じ始めたら、患者なそれを医者に伝える必要がある。麻酔が切れかけているので、麻酔薬を追加する必要があるからだ。この患者には重い神経障害があり、会話をすることができなかったので、手で合図してもらうことになっていた。普段の手術では、患者が外科医や手術野に触れてしまわないように、手と腕は固定しておく。スタッフは、この患者の手と腕もいつも通り固定してしまった。当然、患者は手で合図を出せない。だが、手術を始める直前までチームはそれに気づいていなかった。
    外科医はガウンと手袋を身につけ、手術台の横に立った。だが、手術をすぐには開始せず、チェックリストにある通り、スタッフと話し合いの時間を持った。トロントの報告書にはその時の会話が載っている。

    「麻酔に関して何か気をつけることはないかな?」と外科医は聞いた。
    「構音障害だけだな」と麻酔科医は応えた。外科医は一瞬考えていった。
    「麻酔の効き具合を確認するのが難しいかもしれないな」
    「ああ。でも手で合図してもらうことになっているから大丈夫だ」
    「それならば彼の腕は出しておかないと駄目だな」
    麻酔科医はうなずいた。チームは彼の腕を引っ張りだし、手を自由にしつつ、手術野に触れられないようにした。麻酔科医はさらに言った。
    「もう一つ気になるのが、ここにいる人の数の多さだ。雑音が多いと、患者とのコミュニケーションが取りにくいかもしれない」
    「よし、みんな、今回の手術は静かに行おう」と外科医は言った。問題は解決された。

    ・ブアマン氏(ボーイング)いわく、チェックリストを作るにあたって決めなければならないポイントがいくつかある。まず、いつチェックを行うか、つまり一時停止点をはっきり決めないといけない。警告灯の店頭やエンジンの停止などのように、それが明らかな場合もあるが、そうでない場合ははっきりさせておく必要がある。また、「行動のち確認」のチェックリストにするが、「読むのち行動」のチェックリストにするかも決めなければならない。

    ・チェックリストを使ったスタッフたちの感想が興味深い。三か月の試用期間後、外科医、麻酔科医、看護師、その他を含む250名以上のスタッフが匿名のアンケートに答えてくれた。チェックリスト導入前は有効性を疑う者が多かったが、三か月にはスタッフの80名が「チェックリストは短時間で簡単に使え、手術をより安全にしてくれた」と答えた78%は、チェックリストがミスを防止するのを実際に目撃した。
    もちろん、全員が納得したわけではない。残りの20%は、「チェックリストは時間がかかって使いづらく、手術をより安全にしてくれなかった」と思っているわけだ。
    だが、私たちはアンケートにもう一つ質問を入れておいた。
    「もしもあなたが手術を受けるとしたら、その時にチェックリストを使ってほしいと思いますか」
    93%が「はい」と答えた。

  • これは面白かったです。
    医療、建設、航空の各分野での事例がとても参考になりました。投資については、若干蛇足かなと思いましたが…

    「チェックリストはマニュアルではない」という点は、自分の仕事を振り返ると、反省してしまう部分があります。

    自分の仕事(ソフトウェア開発)で「チェックリスト」というと、どうしても「細かな機能の一つ一つをシラミ潰しに確認するためのもの」という認識があったのですが、そうではなく、削れるところまで削った、上級者のためのエッセンス、というニュアンスは、なるほどと思いました。

    そう捉えると、また色んなフォーマットのものを、色んなシーンで使えるな、と思い、仕事で色々試してみようと思えました。

  • チェックリストの必要性を説いた書籍である。
    チェックリストはあるにこしたことはないが、どのように作成したらいいかをもう少し詳細に書いて欲しかった。

  • チェックリストは、言ってしまえば、脳の機能のアウトソーシングだ。

    100%完璧な状態で、人間が実行することをリストアップしておく。

    そうすれば、状態が80%でも、100%と同じ行動が取れる。ポカミスも減る。

    そして、これから何をするのか、あれやったっけ、と心配する認知コストの節約も生まれる。

    サブタイトルの

    「ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!」

    が意味することはそういうことだ。

    なかなかシンプルな考え方だとは思うのだが、どうにもチェックリストに「嫌悪感」を感じる人もいる。

    多分チェックリストを使う事が、自分が80%の状態になる可能性を肯定してしてしまうという認識によるかもしれない。

    「俺はいつだって完璧にやれる」、というやつだ。

    しかしながら、大半の人にとってそれは幻想だ。

    人の状態は、簡単に変化するし、そもそも記憶ほどあてにならないものはない。

    本書は「チェックリスト万能論」を謳う本ではない。チェックリストを使うだけで、仕事がすべてうまくいくなら、世の中の問題はほとんど解決しているだろう。

    ただし、それを使うことで、「ずいぶんマシ」になることは多い。

    状況に合わせて、適切なリストを使うこと。これは積極的に推奨されて良いのではないだろうか。ただし、「適切なリスト」は、それほど簡単には作れない、という点は忘れない方が良いだろう。

  • 序章と1章は、医療現場における人間の能力の限界について書かれています。。アメリカでは、毎年5千万以上の手術が行われ、15万人が手術の後に亡くなっているそうです。これは、交通事故で亡くなる人の3倍以上で、その半数は防げるものであるとの研究結果があります。つまり、なんらかのミスにより多くの命が失われたり、危機に晒されているという現実があるのです。医療現場以外におけるチェックリストの活用方法については、高層ビル建築現場や飛行機のパイロットの例がよくまとめられていてわかりやすいです。高層ビル建築現場でのチェックリストの活用方法は、複数の関係者でチェックリストを使う場合のヒントになると思います。また、飛行機パイロットの例では、チェックリストの作り方、そしてそれをより洗練されたものにしていく手順を学ぶことが出来るでしょう。一方、8章で語られている投資で成功する方法については、「おまけで書きました」という感じを受けます。

  • 世界中で頻発する手術時の医療ミス(合併症)を防ぐため、WHO と「手術の安全性のエキスパート」が提言した手法は、なんとわずか数項目のチェックリスト。ER を彷彿とさせるような緊迫感のあるエピソードはもちろん、建築業界や航空業界に取材した様々な知見、WHO で行なった大規模な臨床実験結果などを折り込んで、この「最小限の投資で最大の効果」を得られる施策について紹介する。「チェックリスト」を世界中の病院に普及させることで、手術時の死亡率を低下させようという著者の意気込みが伝わってくる一冊だが、残念ながら日本の状況については言及がない(本当にここ十年で、日本はこの手の話題で名前が出てくることのない国になってしまった…)。

    ミスが許されないという意味では、IT 業界の本番作業も似たところがあるので、何かしら参考にしたいものだ。

  • 2011年07月 06/046


    簡単なまとめ。

    失敗の原因は二つ。
    ・知らないことによるもの「無知」
    ・知っているが正しく活用できない「無能」
    知識が増えている現在、「無能」についての問題が重要となっている。

    なぜなら、現代の職業の多くが複雑な仕事になっているからである。
    一人の人間が複雑な仕事に取り掛かる場合二つの問題がある。
    ・切羽詰まった状況では当たり前のことを忘れがちになるといった「記憶力と注意力の危うさ」
    ・チェックするのが無駄に思えるような手順を飛ばしたくなる「手順を省く誘惑」

    その二つの問題を解決するためにチェックリストは必要である。

    設計と工事を切り離すなど細分化しながらプロジェクトを進めることができている建築業界の事例では、「現状把握とコミュニケーションの円熟化」に重点を置いている。

    建築業界で使われる二つのチェックリストは以下のもの。
    ・手順の間違いを防ぐチェックリスト
     →単純な手順が飛ばされるのを防ぐための具体的な手順のチェック
    ・話し合いをさせるためのチェックリスト
     →チームとして問題を認識し、解決にあたってもらうためのコミュニケーションのチェック

    建築業界ではこの二つのリストを用いて、各自で仕事を行い、到達するとチームは立ち止まっていくつかのチェックをしなくてはならない一時停止点で全てがなされたかをチェックし、問題に適切に対応している。

    ・チェックリストは長すぎてはいけない。項目は5~9個まで。
    ・一時停止点での確認時間は60秒以内にとどめる。
    ・チェックリストは、熟練者を助けるためのシンプルで使いやすい道具。

  • 多分自分からは手に取ることはなかった本。うーん耳が痛い…。昔大きな組織で働いていた時には使っていたし、作ったこともあったのに。どんな場面でも本当は作れるし、作るべきだなあ、と。今時間あるんだし、少し真面目に考えてみようかなあと思うけど、なぜか元気が出ない。

  • 元々読むつもりのなかった本だ。ただアトゥール・ガワンデという著者を辿っただけのことだ。チェックリストに興味を抱く人はまずいないだろう。ところがどうだ。のっけから引き込まれた。恐るべき文才である。複雑化する医療業界にチェックリストを導入することで事故率の減少を目指す奮闘ぶりが骨子であるが、そこに至るまでのエピソードが短篇小説の如く鮮やかに描かれている。なかんづくハリケーン・カトリーナと航空機事故の件(くだり)が忘れられない。
    https://sessendo.blogspot.com/2019/12/blog-post_19.html

  • チェックリストはマキュアルではなく熟練者を助けるためのシンプルで使いやすい道具である。
    巻末のチェックリスト作成のためのチェックリストは参考になる。

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著者プロフィール

1965年生まれ。ブリガムアンドウィメンズ病院勤務、ハーバード大学医学部・ハーバード大学公衆衛生大学院教授。「ニューヨーカー」誌の医学・科学部門のライターを務め、執筆記事はベスト・アメリカン・エッセイ2002に選ばれ、2010年に「タイム」誌で「世界でもっとも影響力のある100人」に選出されている。著書 『コード・ブルー』医学評論社 2004、『予期せぬ瞬間』みすず書房 2017、『医師は最善を尽くしているか』みすず書房 2013、『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』晋遊舎 2011、『死すべき定め』みすず書房 2016)。 [個人サイト]Atul Gawande http://atulgawande.com/

「2017年 『予期せぬ瞬間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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