屍の記録 (ミステリ珍本全集12)

著者 :
制作 : 日下三蔵 
  • 戎光祥出版
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本棚登録 : 15
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864031585

感想・レビュー・書評

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  • 長編の『屍の記録』『呪縛の沼』2篇とも、事件の設定がとても本格好きには魅力的(明治~昭和に至るまで3世代に渡って造り酒屋で発生する当主の失踪事件、とか、湖畔に建つサナトリウムでクリスマスの夜に起きた医院長の密室殺人事件など…)。もちろん、事件に付随するお約束要素もてんこ盛りでワクワクするし、トリックも作者的にはこだわって盛り込んでいるんだろうという感じで(解説でトリックの必然性に乏しい、とは指摘されてて、それはその通りなんですが)、テンポの良いストーリーの進め方とあわせてキャッキャと楽しめる1冊でした。

  • アンソロでしか読んだことのない鷲尾作品をまとめて。
    タイトル作品は、出だしと舞台設定から「ちょっと気取った横溝作品」を期待したのだけどそれほど陰惨なこともなく、けれど事件の核心についてはさほど不満もないので面白く読めた。スケールは微妙かもしれないけれど、リアルに感じられる範囲の真相だったかな、と。
    収録されている他作品でいえば「雪崩」が印象に残っていて、青年の非行性を描いた点で、最近読んだ大下宇陀児「見たのは誰だ」を思い出した。あちらがラストに希望を持たせたのに対してこちらは陰惨な終わりである違いと、大下作品のほうが長く、殺人事件とその冤罪の二つの問題を組み入れただけに読みごたえがあって面白かった。もちろんこちらの「雪崩」も面白くなくはないし、サスペンスドラマを見ているような気軽さでラストへ向かう転落ぶりを眺めることは出来るし、終わりに臨む犯人のうすっぺらい独り言から、悪をなす人間なりの生き方みたいなものが(理解できないまでも)にじみ出てくるような良さがあった。
    個人的には結構満足。長期休みに読みたかったな。このミステリ珍本シリーズは総じて長期休み用だけど…。

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