高一族と南北朝内乱 (中世武士選書32)

著者 :
  • 戎光祥出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864031905

感想・レビュー・書評

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  • 高師直With一族で、その他扱いされがちな高一族を一人ひとりを網羅して、学術研究書としても素晴らしいと「自己評価」された珠玉の一冊
    その出自は天武天皇-長屋王-在原業平-高階一族と繋がり、太平記の印象とは異なり多くの歌人を出している事も血筋からは成程と思う
    この印象のまま感想を書くつもりだったが、P232第三章の副題が「文」の一族とあり、「意外に合戦は不得手な観さえある」と、著者に感想を先に言われてしまった
    それはP34「博識さを物語る初登場」に高師直が故実由来の豊富な知識を誇る様子に象徴されている

    高は高階朝臣の略記であり、高一族は名字を持たない稀有な武士というのは記憶しておこうφ(. . )メモメモ
    (子孫で大平・大高・南などの名乗りもある)

    足利一門、吉良上野介が高家と言うのも皮肉(冗談だよ)
    足利氏(古河公方)の子孫が喜連川氏を名乗り(面白い小説にもなっている)俗に最小大名として有名だが、その家老に高四郎左衛門がいて喜連川騒動を起こしたらしいは、室町初期の縮小コピーのようで微笑ましい

    室町初期(鎌倉後期)に隆盛を誇る高氏の子孫がみすぼらしく消えていったのは、文人官僚として早くから行政官として活躍したがため、細川家・山内家のような後続の弱小国人が領地集約や継続統治に意識を傾け自治区特権を拡大し続けた方向に気が向かなかったと指摘している

    現代日本は官僚統治が長く、規制や既得権が増え、時代に合わせた統治機構に変えられず、不公平という名の調整で辻褄を併せることに国会議員(既得権応援団・官僚の犬)が高氏だとすればまもなく衰退する

    同じ行政マンでも、細川タイプのように自己の強みを見極め、その点を集中強化、不当不正な既得権から権益を没収した分を国庫に組み入れる手法を学び、それが行われる国造りこそが「今」必要だと「亀田としたか」先生は高らかに主張する

    彼こそが救世主だと気が付く日本人も多くなるだろう

    途中から脳に酸素が不足したかも(´・ω・`)チガウヨ

  • 高一族について、著名な人物や嫡流はもちろんのこと、庶流や重臣にいたるまで取り上げられており、とにかく内容が濃い。前著「高師直」を読んでいたことで、かなり理解の助けになった。知れば知るほど、この時代が面白くなっていくなぁ。

  • 県立図書館

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著者プロフィール

亀田俊和(かめだ・としたか)
1973年秋田県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(文学)。現在、国立台湾大学日本語文学系助理教授。主な著書は『室町幕府管領施行システムの研究』(思文閣出版)、『観応の擾乱』(中公新書)、『高師直 室町新秩序の創造者』(吉川弘文館)、『征夷大将軍・護良親王』(戎光祥出版)など。

「2021年 『新説戦乱の日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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