産科女医からの大切なお願い―妊娠・出産の心得11ヵ条

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  • 無双舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864084024

感想・レビュー・書評

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  • なんとなく頭でわかってはいても、改めて言葉で、断定的に言われることによってとっても理解が深まる本。
    子供がかいたら中学生か高校生までには一度読んでもらいたいと思う。
    抜粋↓
    「女性を見たら妊娠と思え」医者なら誰でも知っている診療の心得。
    葉酸を1日0.4mg接種すると、赤ちゃんの神経系の異常や口唇口蓋裂などさまざまな異常が減るというデータがある。これは、妊娠がわかってから摂取し始めても効果がない。妊娠する3か月くらい前から摂るのがよいとされている。
    決して大袈裟な話ではなく、無事に妊娠出産を終える保証は誰にもない。たとえ命を落とさずにすんでも、出産後の出血や血栓症で命を落とす手前までいくお母さんを見かけることは、大きな病院に勤めていたら決して珍しいことではない。
    男性が父親になるにあたっては、健康や命に係わるリスクはない。メスが自分の身体を危険にさらして出産するのは人間だけではないので、「神様は不公平だ!」と叫んでも仕方ない。(中略)「二人の子供を産むためなら、苦しくても私がんばる」と思える相手の子供を産みたいもの。
    WHOの提唱するウィメンズヘルスの大原則として、女性は自分で積極的に望んで妊娠すべきというのがある。これは当然のこととして、女性だけでなく男性も積極的に望んで妊娠すべき。
    日本のここ数年の年間出生数は100万を少し上回るくらいだが、中絶されている赤ちゃんの数は25万件近い。生まれてくる子供の1/4にあたる命の数がその裏で中絶されている。
    妊娠初期(3ヶ月まで)の流産率は15%以上。
    流産してしまったらやはりとても悲しい。そんな時は思う存分泣いてください。でも一つだけ喜んでください。ちゃんと妊娠できる体であることがわかったのです。立ち直ったら前を向いて次の妊娠のことを考えましょう。
    お腹の赤ちゃんが何か異常を持っていないか、心配になるのは親として当然のこと。でも、この世に完全に正常な人間なんていないし、生まれつき重いものから軽いものまでさまざまな病気を持って生まれてくる赤ちゃんは現実にたくさんいる。
    施設によっては妊婦健診のたびに超音波検査を行うところもあるが、毎回検査することに医学的な意味がある訳ではなく、妊婦さんに赤ちゃんの顔を見せてあげて愛着をもってもらおうというもので、詳しい検査を毎回している訳ではない。
    親はどんな子供を持つか選ぶことはできない。お腹の中に授かれば、どんな赤ちゃんでもあなたの赤ちゃん。だから「どんな子が産まれても自分の子だ」という覚悟で親になってほしい。
    法律上「赤ちゃんに病気がある」というだけの理由で人工妊娠中絶を行うことは認められていない。ところが実際は「病気や障害のある赤ちゃんを産むことで著しく母体の健康を害するおそれがある」という理由をつけて法律に則った中絶が行われている。母体保護法の建前と現状の乖離があることは(略)
    医師によっては中絶が法律上可能な妊娠21週6日までは、中絶につながる可能性のある胎児の超音波検査は行わないという人もいるし、赤ちゃんは母親の付属物で、外に出たら生きられない存在なのだから、まだ人権はない、と割り切る人もいる。
    悩んだ末の判断はすべて尊いものです
    夫婦が二人の間に子供を望むなら、病気を持った子供を授かった時にどうしたいと思っているのか、お互いの考えを事前にすり合わせておくのもいいかも。それも大事な価値観のひとつ。
    検診では、(中略)赤ちゃんが生きていることや、今現在元気にしているということはわかりますが、それはあくまでも検査しているその瞬間の元気度。ノンストレステストで元気だと判定されれば、およそ3日以内の元気度は保証されると言われているが、その先の保証はない。
    2003年の周産期死亡数(妊娠22週以降の死産と出生後1週間未満の早期新生児死亡の合計)は4626例。1000例のうち5.3例。母体死亡は年間50人。
    「自然なお産」って何なのかというと、「不自然な」医療介入のないお産のことだと思う。医療らしい医療のなかった明治初期の日本の母体死亡率は10万人あたり400~450人。現在のアフリカと同等。これが医療介入が全くない「自然」なお産のリスク。現在の日本の母体死亡率は10万人あたり5人。
    何も手出しをされることなく自然に産める人はそれが一番いい方法。ただ、自然に産めるかどうかがお産が完全に終わるまで誰にもわからないのが現実。
    妊娠出産を経験した先輩からのアドバイスは、身近で貴重に感じられるが、あくまで1つのケースをして参考にするにとどめましょう。また、他人に自分の経験を元にアドバイスする時も「これは私の場合で、あなたにあてあまるとは限らないけど」と断ってアドバイスするのがよい。
    世の中の人全員が子供がほしいと思っているわけではないし、子供を持たなくても幸せな人もたくさんいる。妊娠、出産と幸せであるということは、必須条件でも何でもない。
    女性だけでなく、男性も含めて皆それぞれの人生を、精いっぱい生きている人が社会を作っているので「子育てしたことのない人には所詮わからない」「難なく子供を授かれた人にはわからない」などと言わずに、自分とは違う立場の人を理解しようとすることが大事。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「中学生か高校生までには一度読んでもらいたいと思う。」
      抜粋を読ませて貰って、教えてあげなきゃダメと言う思いが強くなりました。。。
      「中学生か高校生までには一度読んでもらいたいと思う。」
      抜粋を読ませて貰って、教えてあげなきゃダメと言う思いが強くなりました。。。
      2013/01/09
  • 2013.10月

    「踊る産科医」のもとになった本。内容はほぼ一緒だけど、読んで損はない。

  • 図書館にて。著者の本やブログなどを最近よく読んでいたので内容に目新しいところはなかった。
    主に中高生女子向けの本なのかな、という感じ。娘に読ませたい本。とはいえ後半は高校生時代とかは遠すぎて読んでも面白く感じないかも。(私の場合は・・・あまりにもこういう話は現実感がなかったので)

    「どんな子もあなたの赤ちゃんです」。まだ出生前診断とかそういうところについては考えられていないし、自分でどう思っているのかよく分からない。
    あと経過が順調でも突然大変なことがあったりするんだなーと改めて怖くなった。体調管理がんばろう。

  • 流産や障害をもった子供についてなど
    あまり聞けない妊娠・出産話も書いてあった。
    体験談がたくさんあり、読みやすい。

  • 今話題の産科女医、宋美玄先生の妊娠・出産に関する本です。女性だけではなく、男性にも読んでほしい、という彼女の願いに答えて僕も読みました。彼女の関西人キャラもあいまって、非常に面白い作品になっています。

    1.セックスをしたら妊娠します。
    2.「この男の子供を産むためなら死んでもいい!」と思うような男の子供しか妊娠してはいけません。
    3.妊娠しただけでは喜ばない。安易に他人に言わない。
    4.神様から授かったら、それがどんな赤ちゃんでも、あなたの赤ちゃんです。
    5.産む、産まないは自分たち夫婦で決めましょう。
    6.かかりつけ医をもちましょう。
    7.赤ちゃんは全ての運命をあなたに預けていることを忘れないで。
    8.赤ちゃんが完全に元気であるか分かる方法はありません。
    9.出産は出来うる限り安全な場所でしましょう。
    10.下から産んでも、お腹から産んでも、あなたはお母さん。
    11.妊娠・出産は一つとして同じものはありません。

    ネットで話題となったこの『妊娠心得11ヶ条』を書いた宋美玄医師は、『59番目のプロポーズ』を書いたアルテイシアさんと親友だったという縁で、彼女のブログには随分とお世話になっています。何でこれを男の僕が紹介するのかというと、先日、地元の病院が中心になって主催した
    『安心して産んで育てられる社会を作ろう』
    というシンポジウムに行きましてね。産婦人科の過酷な勤務実態と、将来、産婦人科医のなり手がいないんだ、ということを知ったからでした。

    肝心の内容は非常に面白いし、また非常にためにもなります。特に、膣外射精(俗に言う『外出し』)は避妊の方法じゃないよ。という箇所です。これは結構誤解している方も多いのではないでしょうか?これは違う本ですが、
    『もろだしガールズトーク ~アラサー流 愛とエロスと女磨き』
    という本でアルテイシアさんが彼女に
    「外出しって避妊の方法じゃないの!?」
    と驚く彼女に
    「あのなぁ、そういって何人の女の子が今までに 私のところに来たと思う? 最初から性教育を受け直せ!」

    と彼女を叱り付ける強烈なキャラクター『S子先生』として 登場したときから、僕は彼女のファンです。

  • 平易で読みやすく、大事なメッセージのつまったすごくいい本でした。
    性交渉を持つ可能性のある女性、
    またこれから妊娠出産を考えている女性、
    とにかくすべての女性に勧めたい本です。

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著者プロフィール

1976 年生まれ。産婦人科医。『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)ほかヒット多数。『少女はどこでセックスを学ぶのか』(徳間書店)、『生理だいじょうぶブック』(小学館)など。

「2023年 『50歳からの性教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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