アフリカンブラッドレアメタル―94年ルワンダ虐殺から現在へと続く『虐殺の道』
- 無双舎 (2010年4月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864084116
作品紹介・あらすじ
アフリカの真実はこの厚さ30ミリの中にある!-歴史上の最大の殺戮、虐殺と"ルワンダ虐殺"を分ける最大の違いは、殺しのスピードだ。"100日殺戮"というが実質1ヶ月余で80万人を、しかもナタや棍棒、石といった素朴な武器で殺し尽くしたというのは史上例をみない。-妊婦の腹は抉られ、生きたまま女の身体は切り刻まれる。男の頭にはナタが振り下ろされ、骨を割る鈍い音が鳴った。両親のかたわらでは子供が命乞いをする-。なぜ、この惨劇が起こったのか。
感想・レビュー・書評
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ルワンダ虐殺の背景を書いたルポ。戦争は怖いの一言に尽きます。人間は怖いですね。戦争は貨幣(資源含)を得るための手段であるという事実を突き付けられたような気がします。
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2012年72冊目。
94年のルワンダ虐殺が起きるまでの背景から、
その虐殺がコンゴでの紛争にどう移動したか、
また、それらの闘いの陰にある先進国の思惑(最先端技術やCO2削減に必要なレアメタル争奪戦)、
それらをまるで時系列の縦の幹(ルワンダ虐殺からコンゴ紛争まで)と、その幹の要所要所から生える枝(関係国の思惑)のように表現された本。
一読では全ての関係性を読み解くのは難しいかもしれない。
それくらい、これらの事件はいくつものアクターが複雑に絡まり合っている。
「ルワンダの戦いは終わった」とあっさり考えていた自分に恐怖を覚えるほど、自分の無知を思い知った。 -
遠い国、ルワンダ。一見すると、僕たちとは全く関係無いように見える。
でも、実は大きく繋がっていることに気づいた。
僕たちが今使っている携帯電話、遊んでいるゲーム機、それは全てコンゴやルワンダ人たちの犠牲から作られている。
ルワンダでの80万人以上の犠牲者、コンゴでの500万人以上の犠牲者から作られている。
知らないって怖い、自分に何が出来るか分からないけど、まずは知りたい。自分の足で、自分の目で、コンゴを見たい。いつか絶対行って、現実を感じてやる。
最後に、この恵まれた日本で生まれたことに感謝する。そして、いつだって今自分の環境は誰かに支えられているからあるものだと考えて、全力で生きていこう。 -
報道されないアフリカの紛争と大国の思惑、グローバリゼーションの流れ。そのつながりは、日本に住む自分たちもつながっているし、今これを入力しているiPhoneとも関係がある。この本で、大津さんは、40年以上アフリカの今を追い続ける視点と体験からそう言う大きな流れを人の生活レベルまで落として見せてくれる。その延長線上の今。そこで今大きな存在感を示す中国。一方望まれながらも存在感の弱い日本。ここでも時代の流れを読む力、チャレンジの大切さを感じる。
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『ホテル・ルワンダの男』が住民サイドのドキュメントだとしたらこの本は当事者サイドを当たったドキュメント。
政治的に成熟していない資源国が先進国のシナリオで争うと言う悲劇。
出てくる人間の単位が数万人、数十万人。これが命を落した人の数、難民として国を離れざるを得なかった人の数として何度も普通に出てくるところが恐ろしい。
少数の民族が多数の異民族の上に立つ鬱憤、差別が積もり積もって94年のルワンダのジェノサイドへ。それがスタートとなり現在まで続くアフリカの内紛。
レアメタルの権利を狙うアメリカの遠謀によってこの悲劇は引き起こされた、と書かれています。確かに94年のルワンダの虐殺時にアメリカがとった不可解な行動はこの本の内容を裏付けるような行動ばかりでしたね。
ネルソン・マンデラすらアングロサクソンのカードだったのか…と彼の大陸の闇の深さを思い、溜息が出た。
モノクロですが普通に人骨の写真が何枚も載っているので(しかも襲撃に遭って割れた頭蓋骨とか)その手の映像が苦手な人はちょっと覚悟が必要かも。
鉈で割られた頭蓋骨が並んだ写真は真面目に衝撃を受けた…。