- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864100977
作品紹介・あらすじ
50代、独身、母と二人暮らし。仕事や将来への不安はあるものの、穏やかな日々を過ごしていた。お参りに行った神社で、「しあわせをください」と、ふとつぶやいた翌日、近所の野良猫が、父の思い出の木の下で5匹の子猫を産んでいた。「猫は嫌い、絶対に飼わない」と言っていた二人だったが…。笑って泣ける、うそのような本当の物語。
感想・レビュー・書評
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猫嫌いの母子が住む家の庭で、野良猫が子猫を5匹産み落とし‥?
心温まる出会いの実体験~猫エッセイ。
かっては犬を飼っていた実家。
一度は家を出たけれど40過ぎて戻ってきて、今は母と二人暮らしになっている著者でした。
猫は苦手でしたが、ある日‥
父の思い出がある白木蓮の木の下で、野良猫が子猫を生んでいたのです。
絶対に飼いたくはないので、すぐに近所にある動物愛護協会へ駆け込みますが、空きがないので預かれないという。
かといって保健所にだけは‥
さあ大変!
里親探しが始まりました。
母猫が子猫に乳をやり、なめてあげ、一緒に眠る姿。無邪気な子猫たち。見ているだけで何だか‥経験のない優しい気持ちになっていきます。
里親を希望する人たちとの出会いもありました。
そしていつしか‥
可愛くてたまらなくなった子と母の2匹は自分たちで飼うことに。
うちも私が子供の頃は犬派だったので、色々思い出します。
その後飼っていた猫が行方不明になった後、野良猫が庭で子を生んでしまったこともありました。
親も猫嫌いではなかったけど、何匹もは困っちゃう。
おっかさん猫の方も心得たものというか、隠れて点々としながら子育てしていたので、里親探しは経験ないんですが。
少し育ってから、お宅はこの子なんかいいですよね?というように、1匹だけ置いていったのを育てたことが2度(笑)
残念ながら今はいないんですが‥
もったいないぐらい愛をもらった楽しい思い出がいっぱいです。
幸せになりたかったら、猫を飼うのがいちばん早い。
ってことですよね~☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もうね…泣いてしまうことはわかっていました。
読まないほうがいいよ。ってもう一人の自分が言ってました。
でも、読まずにはいられませんでした。
あまりにうちの子達にそっくりで…。
愛犬とのつらい別れから、二度と動物を飼うのはやめようと
固く誓って生きて来たこと…。
ところが、ある日突然やってきた野良猫ちゃん親子。
そのけなげな可愛らしさに
固い決意もなすすべもなく巻き込まれていく森下さん母娘…。
その様子が、すべてかつての自分と重なります。
ただ、この本には猫ちゃんが与えてくれた幸せもたくさん書かれていました。
今もお別れした悲しみでいっぱいの私に、
元気だった頃の姿や、楽しく幸せな日々の方が
はるかに多かったことを思い出させてくれました。
号泣はしてしまいましたが、
今までの涙とはほんの少し違う温かい涙でした。
この本を読むことができて良かったです。
森下典子さん、ありがとうございました。 -
「いとしいたべもの」を読む前にと同じ著者のこちらを図書館で借りてきました。
私は犬を飼っているので、猫が出てくる本には今まであまり手がのびなかったのですが、これは読んで大正解でした。
犬とか猫とか関係なくペットを飼っている人には共感できることがたくさん散りばめられています。
ペットを飼う前には気付かなかったけど、本当に一緒にいるだけで気持ちが豊かになれるんです。
そんな家族の一員を大事に大事にしていきたいと、改めて思わせてくれた一冊でした。 -
猫嫌いの母娘家族の玄関先に
野良猫が5匹の子どもを出産。
子猫の里親探しや
母猫と子猫1匹を残して
育てる決意をするというストーリー。
今まさに 我が家にも
野良猫と赤ちゃん猫3匹がおり
とても参考になる本でした。 -
最高に心温まるエッセイです。猫に変な偏見を持った著者の家の前で野良猫が5匹の子猫を出産し、直ぐには引き取り手がいないため、しかたなく世話をし始めることから始まる著者のエッセイ。一緒に過ごす中で、愛情が生まれ、一緒に過ごす幸せの気持ちが伝わってきます。私自身は動物は飼ったことがないため、猫は自由奔放な生物かと思っていましたが、この作品から猫にも感情があり、様々な表情があることがわかりました。いつかは別れがくるがそれでも愛さずにはいられない、"いっしょにいるだけで"良い。猫を飼いたくなるお話でした。
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じんわりとした良いエッセイ。
森下さんの本はいろいろ読んでいるけど、すべてを通して飾らない、正直で真面目な人であることがよくわかる。
たぶん、この正直さゆえにたくさん傷ついたり苦労もあるだろうなと思う。
この本も同じ。書いている心の不安や猫に癒される感覚はとてもよくわかった。 -
段落が多いが気になって気になって仕方ないので途中で放棄。「日日是好日」と同じ著者とは思えない。
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2019年12月9日図書館から借り出し
新潮文庫になる前の元の本
創作ではなく、実際に家の庭で子供を産んだ猫親子と暮らした日々を綴ったもの。劇的な展開はないけれど、家で生まれた猫を育てたことがある人たちなら、その頃のことを思い出す縁になるのではないか。子猫たちの性格がそれぞれ違っているあたり、ついつい昔の猫たちのことを思い出してしまった。