絶望名人カフカの人生論

制作 : 頭木弘樹  頭木弘樹 
  • 飛鳥新社
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本棚登録 : 801
レビュー : 142
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864101158

作品紹介・あらすじ

誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはき、誰よりも前に進もうとしなかった人間の言葉。今までになかった"絶望の名言集"。

感想・レビュー・書評

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  • 最近、気になった本がフランツ・カフカ賞受賞のものだったり(『グルブ消息不明』)本の作者がカフカの再来と呼ばれていたり(『タタール人の砂漠』)で何か縁があるのかなあ、と思って手始めにこの本を手に取ってみた。

    カフカの本は高校生の頃『変身』を読んだのみ。
    作品の真意を理解しているか自分でもわからないが、面白かった記憶がある。

    帯にもアマゾンの解説にもあるカフカの言葉
    「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」
    には共感と同時に爆笑。
    ほかの名言も同じく爆笑、そしてしんみり。
    たまらない。

    右ページにカフカの言葉、左ページに編訳した頭木さんの解説&つっこみがあるのだが、まずカフカの言葉を咀嚼して飲み込み、自分なりに解釈してから解説&つっこみをみると二度おいしい。

    カフカは生涯独身だったが、3度婚約、3度婚約破棄。
    ひとえにカフカの自信の無さ故だったそう。
    でも女性にちゃんとモテたのも分かる、ほっておけない感。
    なんかくすぐられるわー。
    ブス専っぽいのも好感度大(笑)

    親友がカフカの死後、作品を世に出そうと尽力したのも、作品の素晴らしさだけじゃなく、そのほっておけない感のためもあるかも。
    意外と愛されキャラだったんですね。
    例え本人が満足せず、絶望していようとも。

    今回わたしはウキウキテンションで読んでしまったのだけど、本当に絶望している人にはどうなんだろう。

    恵まれているところもあるカフカに「こいつは甘い」と感じるだろうか。
    恵まれているにも関わらず、絶望から逃れられなかった彼をどう思うだろう。

    朗報?がひとつ

    カフカは病気に殺されるまで、自殺をしなかったそうです。
    どんなに絶望していても。

  • セルフエスティーム低っ。ただのネガティブではないし、単純にネガティブだから…で済まないような気がした。生きるのどんだけつらかったろう。あふれて溺れるくらいの“生きづらさ”だったろうと感じた。


    “今”この時代に存在しているものの原型が、もうそこにあった。ニート、ひきこもり、毒親、支配する親、ダブルバインドとかの先駆け、先取りだなぁ…と感じた。でもこれポジティブで「前を向う!」とか言うカフカだったら『変身』は生まれなかっただろう。


    ネガティブ/野心・欲望なし/自己肯定感低い/劣等感/否定/絶望/トラウマ/マイナス…など全てが入り混じって作品が生まれたんだなぁ…と感慨深かった。


    20代で『変身』を読んだ。別にその頃、充実していたわけではないけど、読んでも魅力を感じず良さが分からなかった。今ならたぶんあの頃よりも沁みると思う。


    これ読んでいる間中、何らか歪み(ハンデ)があって親との相性も悪く、良かれと思い色々なマイナスの支援(または叱咤激励)を受けて、失敗し、「どうせまた失敗する」の深いループに陥り、親を憎んでしまうコース…を考えてしまった。その結果(皮肉なことに)ただ文章を書く“自分の書きたいものを書く”というだけの作業になり、それで昇華さえされない…と。笑えない。複雑な気持ち、ちょっと哀しくなった。名言集じゃなくって、純粋なカフカ読もう…。




    ドキッとした文。↓

    “どんな宗教によっても救われることはなかった。ぼくは終末である。それとも始まりであろうか”=八つ折り判ノート= ★14ページ


    “神経質の雨が いつもぼくの上に降り注いでいます。 今ぼくがしようと思っていることを、少し後には、ぼくはもうしようとは思わなくなっているのです。”=フェリーツェへの手紙= ★70ページ

  • カフカかわいい。
    カフカは好きすぎて何回も何回もいろいろな作品を読み返しているけど、関連本や人物そのものを深く掘り下げる気にはならず、よくいる神経衰弱気味の小説家というイメージしかなかった。

    この本はまえがきにもあったとおり超訳してる部分も多いだろうけど、その徹底してネガティブに向かう姿勢の中に何故かかわいらしさを感じてしまう。

  • 鬱々とし過ぎて、結果笑い出したくなります。理解されないとか、さびしいとか、そんなことできないとか…生活水準や仕事や書く才能は人並み以上で、満たされているように見える日常の中で、不足感を丸出しにしています。そして結核にかかってはじめて生きていくことの充足感を得るような、屈折した心の持ち主であるところが、魅力です。

  • 悲観的な視点が得られるかも
    誰よりも悲観的に一生を過ごしたとされるカフカという人物の残した言葉をまとめ解説している。個人的にはあらすじの言葉が印象に残っている。
    悲しいときや辛いときに心を癒やすには,まず悲しい気分に浸り,次に楽しい気分に浸ればスムーズに立ち直れる。つまり,最初から明るい気分になるのではなく,最初に悲しい気分に浸ることで心に染みこんでくる。
    本文自体はいくつか共感できるような内容もあったが,全体的に後ろ向きな考えが書き連ねられていて,解説もいまいち物足りない部分があって,あまりよいとは思わなかった。悲観的な思考もよいが,もう少し次につながるような内容があればよかった。

    • mkkacademicさん
      カフカの知られざる業績に安全管理関係があります☆お仕事につながるかもしれませんので…http://warabi2.dreamlog.jp/a...
      カフカの知られざる業績に安全管理関係があります☆お仕事につながるかもしれませんので…http://warabi2.dreamlog.jp/archives/51760623.html
      2015/06/04
  • 【感想】シンパシイを感じたので、滑稽でもあり痛くもある。
    かつてカフカ全集は持っていた。が、いまいち良さは感じられず、同時期に揃えたカミュ全集ほど熱心には読まなかった。
    年を経ていくらか感じかたがかわっているのかもしれない?

    【内容】カフカの日記や手記や手紙が異常なまでの弱さを浮き彫りにする。

  • 友達に、「あなたの突き抜けたネガティブさはこの本を思い出させるわ。読んでみ。」と教えてもらった。

    書簡や日記から抜き取ったカフカの文章に、選者?編者?の解説をつけた箴言集みたいになってる。解説のおかげで背景とかが分かるので良いのですが、だんだんとカフカの元の文が面白すぎるので、恋人や父への手紙とかはもういっそ最初から最後まで丸ごと読んでみたい!という衝動に駆られました。

    結局結婚できなかったとか言っても、なんやかんや最期の時まで恋人がいたみたいだし、嫌で仕方なかったわりにはちゃんとサラリーマンやってたみたいだし、親友と呼べる人もいるんですよねえ。結婚にそれほどの夢を抱けない現代の価値観から見れば、わりと絶えず恋人がいて、親友もいるってのは羨ましいくらいだけど。

    確かに、なんでそんなダークサイドばっかりに焦点当てるの?という文章だらけなんだけど、これ、周りの親しい人から見たらちょっとしたシニカル・ジョークというかネガティブ・ジョークみたいなものだったのでは?とも思ってしまうんですよね。

    「まーた、フランツったら、そんなことばっかり言って!ホントにもうヤレヤレƪ(˘⌣˘)ʃ」みたいな感じだったんじゃないのか?とか思ってしまう。

    捻くれててイジけた変人であることは確かだけど、周りの人にはそこが魅力みたいに思われて、わりと愛されてたんじゃないのかな?とか、思う。まあ、カフカ自身はそういう交友関係にあまり救いを感じるタイプではなかったかもしれないし、そういう意味では本当にあらゆることに絶望してたのは事実かもしれないけれど。

    だって私自身、既にもう、もっと彼のことを知りたいなー、みたいな気分になってますもん。

  • 絶望したっ!!
    絶望先生読んだことないけど。絶望カフカ先生です。
    この絶望っぷりは素晴らしいって言いたいぐらい絶望してる。
    ダメであることが彼のアイデンティティだった。
    最初からダメだと思っていれば、本当にダメだった時に傷つかなくて済む。
    好きな人にも、大切な人にも、自分がダメであることを分かってもらっていれば、彼らからがっかりされなくて済む。
    だから隠さない。自分がダメであることを隠さない。
    むしろアピールするのです。
    そして、ダメだダメだと言いながら作品を発表する。

    彼は誰よりも自分を愛している。だからこそ、自分をダメだと思っている。そこに矛盾はないのです。

    お手紙、渡しちゃえば良かったのにな、お母さん。
    そんなお母さんだからこそ、あんなお父さんであり、こんなカフカさんだったのでしょうね。

  • *「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」これは20世紀最大の文豪、カフカの言葉。日記やノート、手紙にはこんな自虐や愚痴が満載。彼のネガティブな、本音の言葉を集めたのがこの本です。悲惨な言葉ばかりですが、思わず笑ってしまったり、逆に勇気付けられたり、なぜか元気をもらえます。誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはいた、巨人カフカの元気がでる名言集*

    「将来にむかって歩くことは僕にはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」って、もう振り切り過ぎでしょ!ネガティブなのに、何故か可笑しくて、共鳴してしまうカフカの名言たち。落ち込んでいてもいなくても、心に優しく染み入ります。この名言たちを編集・解説した著者のカフカ愛と手腕にも脱帽です。

  •  フランツ・カフカのネガティヴな発言だけを集めた本。
     この本によると、カフカは殆どポジティヴな発言はしていないようなので、「ネガティヴな発言だけをあつめた」という表現は間違っているかもしれない。
     正直、思った程に響いてはこなかった。
     さすがにカフカだ! と思わせるような文学的な発言もあるのだが、全体的に絶望感が物足りない(なんという感想だ!)。
     実際にはカフカ自身、ものすごく絶望しているのだろうが、それがあまり伝わってこなかったのだ。
     読み手の僕に問題があるのだろうけれど、「この気持ち、良く判る気がするよなぁ」と思える発言が大半を占めていたりする。
     ということは、僕自身、色々なものに絶望しているのだろうか。
     それはそれで、絶望しているという自覚が無い分、余計に怖いことなのかもしれない(汗)。

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著者プロフィール

1883〜1924。チェコのプラハ生まれ。プラハ大学で法学を専攻。ジョイス、プルーストとならぶ現代世界文学の最も重要な作家。著書に「失踪者」「城」「審判」など。

「2013年 『ミレナへの手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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