ハキリアリ (ポピュラーサイエンス)

  • 飛鳥新社
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本棚登録 : 107
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864101608

作品紹介・あらすじ

地球上で最も人間くさい振る舞いをする昆虫のすべて。切り取った葉で食用キノコを栽培し、2000部屋もある大住居を構え、体の表面で抗生物質まで作り出す。驚くべきハキリアリの生態にピューリッツァー賞作家が迫る。80点以上のカラー写真、イラストを収録。

感想・レビュー・書評

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  • ハキリアリは中南米に生息する、「農業を営む」アリである。
    「ハキリ」という名前が示す通り、葉を切って巣に運ぶ。だが彼らはその葉を食糧にしているわけではない。その葉を元に、キノコの仲間である真菌類を育てている。

    ハキリアリは他のアリの仲間と同様、社会性の動物である。卵を産む役割を持つ女王アリを中心に、働きアリや兵隊アリが協同で1つのコロニーを形成している。集団構成員は数百~数千、時に数百万匹に及ぶこともある。働きアリは細かく分業がされ、葉を切り取る係、その葉を運ぶ係、育てている菌の面倒を見る係とさまざまである。大きさも異なる。
    アリは1匹だけで生きられるわけではなく、コロニー全体として成立していることから、個体を超えた「超個体」的存在と見なす研究者もいる。

    分業は相当に細かく、葉を運ぶアリが寄生バエに襲われるのを防ぐ係、通路をいつもきれいにしておく係もいる。すごいところでは、有害廃棄物を中間集積場に持って行く係とさらに最終ゴミ捨て場に持って行く係が分かれている。後者は高齢のアリの仕事である。こうすることで、感染がコロニーに広がったり、若いアリが有毒物質で倒れるのを防いでいるのではないかと考えられるそうである。

    女王アリは受精卵を産むが、正常でない卵が生まれることもある。働きアリもときに孵化しない卵を産むことがある。こうした卵は「栄養卵」と呼ばれ、幼虫や女王アリに与えられる。

    菌はコロニーに代々受け継がれるものであり、アリと菌は相利共生状態であると言える。作物の菌に寄生する病原体もおり、地下の巣では攻防が繰り広げられている。
    他のコロニーを襲って、よく育った菌を奪うアリの強盗団もいる。

    ハキリアリの巣はときに想像を絶する大きさになり、数千の部屋が作られることもある。ある研究グループが、巨大なコロニーにセメント(!)を流し込んで型取りをしてみたところ、6トンのセメントと8000リットルの水を要したそうである。

    本書では、豊富な写真とともに、ハキリアリのディープな生態を紹介している。
    比較的薄い本だが、驚異的な世界が詰まっている。

    <参考>
    『新版 動物の社会』


    *テレビでハキリアリの番組をやっていて、おもしろそう、と借りてみました。番組では、実験室にハキリアリの巣を再現していて、それはそれで圧巻。(本書にはなかったのですが)ハキリアリが多くの巣をパトロールするやり方が「巡回セールスマン問題」を解くヒントになるのではないか、なんていう話も出ていました。粘菌が地下鉄路線図を設計する2010年イグノーベル賞の話をちょっと思い出しました。
    複雑系、実は小さい生きものが解く!

    • ぽんきちさん
      vilureefさん

      私が見たのは「地球ドラマチック」でした。「ダーウィンが来た」でもやっていたようですね。

      いろんな役割があって楽しそ...
      vilureefさん

      私が見たのは「地球ドラマチック」でした。「ダーウィンが来た」でもやっていたようですね。

      いろんな役割があって楽しそうですよね。私は女王様のお世話をしてときどき栄養卵を食べさせてあげる係がいいかな(^^)。
      2013/07/22
    • usalexさん
      私は通路をいつもきれいにしておく係りがいいです。
      私は通路をいつもきれいにしておく係りがいいです。
      2013/08/03
    • ぽんきちさん
      usalexさん
      ありがとうございます(^^)。
      きれい好きでいらっしゃるのですね。
      いろんな役の希望者がいて、ブクログ内仮想ハキリアリコロ...
      usalexさん
      ありがとうございます(^^)。
      きれい好きでいらっしゃるのですね。
      いろんな役の希望者がいて、ブクログ内仮想ハキリアリコロニーが作れそう~。
      ・・・あ、でも女王アリがいませんね(^^;)。
      2013/08/03
  • コスタリカに行ったとき、念願の葉をかついだハキリアリの行列がどこでも簡単に見られるのに感激した。よく見ると葉を切り出す係と運ぶ係のタイミングが合わないのか、切り出された葉のかけらが地面に大量に落ちているところもある。偶然巣にいきあってその巨大さにびっくり。
    本書はそんなハキリアリの社会から行動、菌が育つようなじめじめした地下で、細菌の繁殖をどうやって防いでいるかなど、さまざまな生態を解説している。たくさん写真と図があって、わかりやすい。
    同じ著者の蟻の自然誌は途中で挫折したがこれは楽しかった。装丁も凝っていてこれは新刊で買ってよかった!

  • TV番組で特集していたのをチラ見したことがあったせいか図書館で本書が目につき、なんといっても表紙写真の美しさに、まずは借りてみようと手にした。

    テキサスにいたころ、小さな葉っぱを傘のように掲げて運ぶアリたちをよく見かけたが、これはやはりハキリアリだったようだ。なんでアリが葉っぱを運ぶのかな~?と思っていたが、菌園のための葉っぱだったのか。

    アリが社会性昆虫なのは誰もが承知のことと思うが、ハキリアリほど、複雑に緻密にそのシステムが構築されている昆虫も珍しいようだ。あらゆることがすべてコロニーの発展維持に都合よく進むようにコントロールされており、彼らが育てている菌ですら、コロニー全体の生態系の環の中に取り込まれているというから驚きだ。彼らをして「超個体」と呼ばれるというのも納得。
    また、小さな小さな彼らの、脳の神経の働きや、彼らが葉を切り取る時の足に伝わる振動までしっかり計測され研究されていることにもびっくり。
    研究者の根気強い取り組みを想像すると頭が下がる。
    好きじゃなきゃやってられないだろうな~。

    本書はその興味を引く記述だけでなく、美しい写真やわかりやすい図説が非常に豊富で、それを眺めているだけでも楽しい。
    実は節足動物、すっごく苦手なんだけど、そんな私でも思わず見入ってしまうような芸術的ともいえる写真が満載。

    そして人間の家一軒立てられるくらいのセメントを流し込み巨大な巣の掘りだしが行われた写真など、とても小さなアリの所業とは思えずただただ驚嘆。
    う~ん、でもこのコロニーのアリたちはどうしたんだろう。この作業のために全滅しちゃったってことなのかな…?ちょっとかわいそうかも。

  • エドワード・ウィルソンの書いたものはやや読みにくいが、これは圧倒的に読みやすくおもしろい。1章と2章に『人類はどこからきて、どこへ行くのか』のエッセンスが記されているので、この『ハキリアリ』を先に読んでおくと、わかりやすいと思う。

    巨大な巣の周りに幹線道路を持っているのだが、この幹線道路も含めて巣として捉えるという視点がよかった。

    葉を切るアリだけではなく、運ぶアリ、運ぶアリを守るアリ、菌を育てるアリ、ゴミ処理だけをするアリ、幹線道路の整備や掃除を担当するアリなどなど、葉を切る物珍しい点だけではなく、かなり分業されて社会性が高まっているのが良くわかった。
    ちなみに帯には「人間くさい」とあるが、人間以上に社会性を高めているハキリアリに人間くさいというのはちょっと違和感ある。
    ちなみに『ハキリアリ』は翻訳も違和感がなく読みやすい。

  • 菌栽培アリの進化の年表を示した図版
    asukashinsha.jp/popular-science/leafcutter/

    多摩動物公園
    生きているハキリアリのコロニーを観察出来る

  • 写真やイラストもいっぱいあって、ハキリアリマニア(?)感涙の一冊だが、ぼくはうーん、そこじゃないんだよなーと思いつつ読んだ。なぜ一介のアリが農業を営むに至ったか。どういう必然性と試行錯誤があったのか。そこが語られないので、葉っぱの切り方とかキノコの育て方とか教えてもらっても、手の届かないぎりぎりにバナナ置かれた猿みたいな気分になる。

    本当に不思議だな。

    ハキリアリ。日本にはいないのだろうか。いないのはどうしてなんだろう?
    いたらいたで葉っぱを千切っちゃうから困るんだろうな。

  • NHKの「ダーウィンが来た」でやっていたハキリアリの特集にあまりにも感動して読みました。脅威的な組織力!そこに変な話ですが人間臭さが感じられる。このアリに愛おしさを感じないひとがいるでしょうか。でも本に載ってる写真がアリのアップが多くて電車の中で読むのはちょっと気を使いました(^_^;)

  • 読みやすくて、面白かったです。

  • 読む前はハキリアリについてヒトのほうが効率的な農業をおこなうと思っていたけど、実は、栽培しているきのこと意思疎通してきのこのために害のある葉を何ヶ月もとらないなど色々なことをしていることがわかった
    超個体についてすごくよくわかった
    8章が一番面白かった

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