これからの日本、経済より大切なこと

  • 飛鳥新社
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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864102896

感想・レビュー・書評

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  • ダライラマ法王14世と池上彰さんの対談をもとに書き起こした本。この対談は、ニコ動でも配信されているようだ。
    http://www.nicovideo.jp/watch/1384656792

    ダライラマ法王14世は言わずと知れたチベット仏教の指導者だが、中国に追われてインドに亡命し樹立したチベット亡命政府の国家元首でもある。1989年にはノーベル平和賞も受賞している。一方、池上彰さんは分かりやすい解説で人気のフリージャーナリスト。そんな2人の対談本だ。

    ダライラマ14世の語り口は、印象としては非常に丁寧。だけど、内容的には奇抜なことは言っていない。対談の根底にあるのは、「行き過ぎた資本主義」「お金とは何か」「幸福とは何か」ということだ。
    「今の世の中で、多くの人を見ていると唯一の関心ごとは働いて給料をもらうことのように見えます」という言葉は、自分も含めてドキッとする。「人生にはもっと楽しむべきものがある。それなのに、なぜ、君たちは働いて給料をもらうことにそんなに一生懸命で、他のことに無関心なんだい?」と問いかけられる。

    ダライラマは、何もお金を儲けることを否定はしていない。「お金やモノは60%くらい、あとの40%は内なる価値の向上と精神的成長を考えてもらいたい」と、かなり実践的なことをいう。世界的な精神的指導者の一人なので、もっと高尚なことをいうのかなと思いきや、決してそういう人では無いようだ。

    一方で、池上さんの指摘にボクは頷くことが多かった。池上さんの本は何冊か読んできたが、池上さんの生い立ちや、経済学を専攻した理由、今時点での池上さんの原動力などについても書かれている。池上さんは、決して裕福な家庭に生まれたわけじゃないし、お父さんがかなり高齢のときの子供だったので、大学も奨学金をもらって通っていたらしい。スーツもお父さんのお下がりだったとか。

    池上さんの問題提起は「さすが冷静な池上さん!」と感じることが多い。
    「日本は本当に格差社会ではなかったのか?否」
    「昔はよかったというが、本当にそうなのか?否」
    「どんどん治安が悪くなっているというが、本当なのか?否」
    「日本人は、昔から勤勉だったのか?否」
    ・・・などなど。

    池上さんは大学では経済学を専攻したらしいが、その池上さんがこう言っている。「お金やモノの動きを見ているだけでは世の中のことは半分も分かりません。人間の心にも目を向けることで、経済という人の営みの理解を深めていきたい」と。これは60歳まじかの池上さんの決心の一言なのだと思った。

  • この本を読んで、竜安寺のつくばいの 「吾、ただ足るを知る」
    の吾唯知足の4字が、頭に浮かんだ。

    ダライ・ラマ法王14世の私たちの世代の矛盾について書かれた言葉は、まさに、その通りの時代だと、痛感する。
    昭和の良き時代、とか、重松 清の本など読むと、良い時代だったのかとも思ったりするけど、、、
    高度成長を伸ばす過程で、わが父も、商社マンの企業戦士だった。
    今のように、土曜日も半ドン(お昼まで勤務の事)でさえ、1日中仕事だった。
    日曜日は、接待ゴルフで、家庭サービスなんて言葉も無かった時代であった。勿論朝は、9時出勤と、名目のみで、会社からの車が、7時すぎには、朝会議のために、家に迎えに来ていた。
    今は、レジャーも、海外旅行も、国内を旅行するより簡単で、安上がり!
    家族も減り、各自の部屋で、エアコン、テレビ、パソコン、携帯、各1台ずつの時代で、便利になった代わりに、冬に暖をとるために、1部屋に集まる事も、なくなったし、食事も、塾や、仕事など、時間の差で、一緒に取るのも、なかなか同席出来ない時代になった。
    人との会話が、声の伝達で無く、機械を仲介にしての会話しかしない時代である。
    漢字の変換も、ボタン1つで、検索され、計算もすぐに解ける。
    海外の人と通話も簡単で、有難いし、何でもが、便利になった。
    でも、これで、幸せと、感じることを出来るのか?

    今、海外に目を向けると、宗教、政治、軍隊、の軋轢で、紛争、戦争、飢餓。

    東日本大震災の時に、小学生の女の子が、「今までの普通の生活が、一番幸せだった」と言った言葉が、今ででも忘れられない。

    もう1度 自分の生活の中の幸せを見つけてみたいと思う1冊である。

  • ダライ・ラマさんの言葉を、池上彰さんの言葉で解説されるので、読みやすかった。
    国や宗教、言葉、立場が全て異なる人の言葉は、たとえ偉大であってもなかなか自分の人生に紐づけることは難しい場合がある。
    その部分を池上彰さんが繋いでくれるので、言葉がすっと入ってくる。

    足るを知る
    なかなか日本人は現状に満足しないけど、十分頑張っているししあわせな環境なんだと思う。
    感謝しながら、でも向上心も忘れずに、暮らしていきたいな。

  • 池上彰著を読むのは2冊目。
    とてもわかりやすかった。
    日本は経済よりも、内面的幸福を大事にしようというような内容。
    お金があれば幸福というわけではない、日本は昔や外国に比べれば治安もずっといい。
    本当にその通りだと思った。

  • ドキュメンタリー映画
    ダライ・ラマ14世でもあったように、日本人の若者は英語を勉強して世界に目を向け発信していくべきという池上さんのことばがあった。うんうん。
    池上さんの出演されているテレビ番組を見ているような感覚で読める本だった。

  • 稲盛和夫も、幼い時の大病のせいもあり、宗教的な精神世界や心についての考えを深めたという。仕事のノウハウ本や、実務に関するマーケティングの本も大事だが、自分の心問いかけて自分自身を見つ直す機会を与えてくれる本も平衡して読もう。


    ・現在の経済システムも、かつての原爆と同じように深刻な厄災を次々と生み出していると私は思っています。
    ・本質的なのは内面の充足です。内面的幸福は、物質的状況とか、感性の満足に支配されません。その源は私達の心にあります。この幸福の大切さを認識することが重要です。
    ・企業にとっては人件費があまりにも高くなったため、雇用システムが不条理なものになってしまったのです。もはや人間に与える仕事が無いのです。私達知性を備えた人間という存在は、私たし自信を排除することによって完成するシステムを作り上げてしまったのです。

  • ダライ・ラマ法王と、池上さんのW著書というだけでも面白いが、同じ問題に対してでもお二人の視点が若干異なるところも勉強になる。
    ダライ・ラマ法王の「この世の幸福を楽しむために、一番に優先すべきことは、精神と心の平安を得ること。二番目が健康、三番目に真実の友人、そして最後に富」というのは心に留めておきたい。でも、それだけじゃあ物足りない、、、と感じてしまうのが人間なんだよなぁ。次から次へと刺激を求めてしまう。その刺激が、社会貢献などのいい方向ならば良いが、悪い方向に行くとまた大変なことになるのだろう、、、。

  • 猊下(ダライ・ラマ法王)と池上さんの対談かと思ったのですが、そうではなく、同一テーマに対してお二人がそれぞれに述べているものでした。池上さんが猊下の言葉に触れることはありますが、その逆はありません。

    とは言え選ばれたテーマも興味深く、お二人の見解も共感できるものばかりです。コラムのような読みやすい内容ながら、大切な事はちゃんと抑えている良書です。

  • 「限りあるものへの欲望は決して満たされることがない。満足を知るなら、失望することも幻滅することもない」「この世の幸福を楽しむために 一番に優先すべきことは精神と心の平安を得ること、2番目が健康、3番目に真実の友人、最後に富」ダライラマの言葉は良い。 彼が経済にも通じており、仏教の立場から世や人の在り方を提案しているのは、本当に尊敬に値する。

     これが、池上さんとの「対談」であったなら、もっとおもしろかっただろなと。(実際にはダライラマのことばを引用した池上さんの解説。)他の著書のように、一般論的な解説・解釈に終始していたのが残念。

     宗教は個人的な苦悩を解決するものなので、池上さん自身の生き方の深堀りし、仏教なり他の宗教から得た個人的な知見を示してくれたらもっと面白かったと思う。

  • 足るを知る者は富む。幸福感を感じられる者になりたいものだ。

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著者プロフィール

池上彰(いけがみあきら)
1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、NHKに記者として入局。さまざまな事件、災害、教育問題、消費者問題などを担当する。科学・文化部記者を経て、NHK報道局記者主幹に。2005年3月にNHKを退職し、フリーのジャーナリストに。
主な著書に、『経済のことよくわからないまま社会人になった人へ(第4版)』(海竜社)他、多数。

「2020年 『池上彰の今さら聞けない日本のこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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