- Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864103923
作品紹介・あらすじ
名だたる廃墟を一望する本邦初の網羅的写真集。
感想・レビュー・書評
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クレイジージャーニーが復活するということで、佐藤健寿さんの作品で、まだ見ていなかった写真集を楽しませていただきました。
自然ではなく人間が造ったものなのに、現存しながらも今そこに人間は存在しないという、なんともシュールな画に、なぜか少しだけですが高揚してしまいます。
やっぱこの人すげーわ!
あー、旅行行きたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
荒廃した建物からは、人がいた気配が漂います。恐らく一生足を踏み入れることのない世界の廃墟26ヶ所。一つ一つに添えられた解説は背景を知る参考になりました。写真は芸術的です。
特に印象的なものだけ抜粋。
・ワンダーランド(中国)
アジア最大のテーマパークを謳って建設されていたが資金面から頓挫。オリエンタルな造りをした城の青い屋根と、人で賑わうことなく解体が進んだ瓦礫の山のアンバランスさが印象的。一連の流れが中国らしいと言えばらしい。
・レッド・サンズ要塞(イギリス)
「マンセル要塞」とも呼ばれる第二次世界大戦時の遺物。海上からすーっと伸びた足が支える頭でっかちな建物は、今にも根本から倒れ込みそう。
・コールマンスコップ(ナミビア)
砂に埋もれ忘れ去られた街があった。安部公房『砂の女』をつい想像してしまう。
・スコット隊の小屋(南極)
『アムンセンとスコット』(本多勝一/著)をつい最近読んだ私にはタイムリーな資料。南極アタック前に築いたこの仮宿は、夢と希望で満ちていただろうに。
・ブルガリア共産党ホール(ブルガリア)
「Forget Your Past」 or 「Never Forget Your Past」?
・大久野島(日本)
今となっては「うさぎ島」として有名になった観光地。しかしかつては「地図から消された島」だった。そして実は、戦争の闇は今なお消えていない。日本からは他に端島(軍艦島)が掲載。
・プリピャチ(ウクライナ)
原子力発電所の大惨事により突如人の住めない街と化した。やっぱり考えてしまうのは福島県のこと。あれからまもなく7年。
・医師の家(ドイツ)
診察台、ホルマリン漬けの医療標本、カルテ等々――使用されていたものがそのまま残り、無くなったのは人間の姿だけ。 -
世界各地に残る26か所の廃墟を紹介。
各4~6ページ、見開きと大小の写真、場所と説明で構成。
他にも廃墟の本は何冊か読んでいますが、これは写真が圧倒的。
ナショジオのは文が物語っていましたが、
こちらは写真が物語っています。
時代の推移、権力や富の衰退、戦争、軍事施設等々、
選ばれた写真が実に明確に廃墟の現場を見せてくれます。
それは剥がれかけた壁紙、逞しく育つ雑草まで、鮮明に。
大きな箱モノは解体するのが大変だから残り、朽ち果てていく。
タイや北朝鮮の街中に聳え立つ、そんな巨大な廃墟の虚しい存在感。
人の消えた町や村、病院は住民や患者の念が漂っているような、
何とも言えぬ寂静感があります。
スコット隊の小屋、医師の家は、去った者たちを待っているかの
ような佇まいが・・・。
美しくもあり虚しい・・・それは「廃棄した未来の一部である」か。 -
廃墟写真ではもうなじみになった、イギリス・レッドサンズ要塞、ナミビア・コールマンスコップ、南極のスコット小屋、そして表紙のブルガリア共産党ホール、軍艦島の航空写真~今や観光名所でフェリーが横づけされて小さく観光客がみえる。アメリカ・カリフォルニア州ボディの町、これは二度目か、フランス・オート=ヴェンヌ県のオラドゥール=シュル=グラヌの第二次世界大戦で独軍により村人が殺され一夜にして廃墟になった村。
今回初めてみたのが、
○セントラリアの町 アメリカ、ペンシルヴェニア州 炭鉱の地下火災により廃止になった町。19世紀初頭から炭鉱町として栄えたが1962年、原因不明の地下火災が発生、地熱が摂氏70-80度にまでなり有毒ガスが発生。住民に避難勧告。2000年代には住民は10人くらいになる。
○ヴァローシャの町 キプロス
1970年代はイギリス支配でビーチリゾート地として栄える。が74年イギリス支配へ抵抗したギリシア系住民がギリシアへの合併をめざして蜂起。対してトルコはそれを阻止するべく東岸に侵攻、ヴァローシャを含めたファマグスタの町を奪還してギリシア系住民を追放。以降ギリシア系住民が暮らしていたヴァローシャは北キプロス・トルコ共和国の支配下に置かれビーチも廃止。写真では草ぶきのパラソルが数十個そのまま砂浜に転がっている。
○シーゲル駅 ベルギー、アントワープ
1970年代に地下鉄が計画されるがとん挫しレールの無い空洞が残る。
○「パワー・プラントIM」ベルギー南部のモンソー=シュル=サンブルにある火力発電所跡。インターコム社(現エレクトラベル社)が1921年建設、2005年頃環境保護団体の抗議があり、2007年廃止。
○ベーリッツ・サナトリウム ドイツ、ブランデンブルク州 1898年開設、第二次世界大戦後ソ連に接収され89年までソ連が占領。その後ドイツ統一後は民間の手に渡り一部リハビリ施設として使われたが2000年に廃墟に。
○大久野島 広島県瀬戸内海
周囲4キロ。1929年日本軍は毒ガス兵器工場設営。今はウサギが300頭もいて「ウサギ島」と呼ばれ観光客も。だが土壌からは基準を越えたヒ素が検出されるという。
○フェルクリンゲン製鉄所 ドイツ、ザールランド州
1873年開設、第二次世界大戦で爆撃を免れる。1986年まで運用、閉鎖後94年に世界遺産に登録。
○クラーコの街 イタリア南部、バジリカータ州
そびえたつ岩と一帯になった住居。10世紀には町の名が聞こえ、人口1000人ほどで推移。1963年頃当時の住民1800人が周辺の街に移住し廃墟に。
○ブラッシュ・パーク デトロイト
19世紀後半から20世紀初頭にかけ高級住宅街として発展。1980年代後半にはほぼ無人に。2013年、デトロイトは1兆8000億円の負債で破たん。
2015.2.6第1刷 図書館 -
世界の廃墟
発行者:飛鳥新社
タイムライン
私の本棚を紹介します。 #ブクログ
https://booklog.jp/users/collabo39698
写真集 -
圧倒されました。
構成上、前項に見開き写真、後項に解説だったので、どうしてもめくったり、戻ったりが増えてしまいました。 -
廃墟に沈む歴史に思いを馳せる。
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写真の物語る力を感じます.文章もいい.
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廃墟は、興味がないと思いながらも、読んでみるか。
という、ただそれだけの理由で読んでみた。
廃墟には建設した時の人々の熱い気持ち。
そして、滅びゆく寂寥感が伝わってきた。
この後、廃墟を極めていくのかはわからないが、はじめての一冊にしてはよかった。