震災後の不思議な話 三陸の怪談

著者 :
  • 飛鳥新社
3.71
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本棚登録 : 55
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864104814

作品紹介・あらすじ

未曾有の災害と「幽霊」体験。亡き人を身近に感じ、ともに生きる"スピリチュアルな復興"の記録。昔話や民間伝承と重ねて、「死者の声」に寄り添う試み。

感想・レビュー・書評

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  • 怪談集と思ったら、それぞれの話の前後に著者の解説が入るという形式。「新耳袋」のような形を期待して購入したので、残念。講義を受けているような感覚になりました。
    著者と読者の自分との思惑が一致しなかったので、仕方なし。

  • 表紙とタイトルを工夫すれば読む人がもう少し増えるのでは…と感じた。少し勿体ないように思う。スピリチュアルメインの本は正直言ってあまり好きになれない。この本はスピリチュアルに徹しているわけではないし、かと言ってフィールドワーク寄りでもなく中途半端で残念な感じがした。この手の本は書き方や伝え方が難しいと思う。(著者の解説や想いが濃すぎて何ともいえない仕上がりになっている。)

    切ない話が多く後半は胸が締め付けられる思いでいっぱいになりました。ひざ掛けの話はグッときた。東北に伝承や民話が多く、さらに遠野という地が存在している意味が少しだけわかったような気がした。

    建物や町の復興と人の気持ちを、〈復興〉というたった二文字で一括りにしていいのか…と改めて思った。「震災後、幽霊が増えている」と『看取り先生の遺言』でも触れられていた。生きていることと亡くなるということは地続きなので、きっちりと境い目を作って区切ってはいけないのではないか…と改めてそう思った。たとえ目に見えないとしても、たしかに存在しているものの居場所を大事にしてあげてほしい。

    2017.3.11大きな図書館で震災6年目を迎えた。館内にいた人々と1分間の黙祷をした。それまで騒がしかった図書館内は黙祷中の60秒間だけは無人のように静まり返っていて、耳鳴りのようなシーン…という静寂の音を聴いた。きっとあれが死者と生者の合同の祈りの音だったのかもしれない。

  • →:感想、他は引用

    復興によって新たな建物が建ち、新たな街で生活できる人が増えていくことは、昔の街並みが消えてしまうさみしさこそあれ、震災の記憶を新たな希望にする光だと思います。しかし、復興が一向に進まないと、いつまでも悲しみだけが残ってしまうことになるのです。(略)悲しみがいつまでも残るというのは、どういうことでしょうか。昔の町に対する思い出と、そして亡くなった方への思い出が残ってしまうということです。マスコミではほとんど報じられていませんでしたが、震災後の被災地では、「亡くなられた方々」が「復興していない町に出てくる」という「幽霊譚」が頻々と語られていたのです。震災後、東北の復興を手伝っているうちに、あちこちで、立場も被災地とのかかわり方も違う人たちから、「幽霊」の話をよく耳にするようになりました。(略)それまでなんとなく聞き流していた「怪異譚」は、ただの「怪談」ではなく、「自分はいいから、大事な人に何とかして生きてほしい」という亡くなった人の願いであり、それが会話にのぼるということは、亡くなった人たちのことを少しでも長く記憶にとどめようとする、無意識の人の心のメカニズムではないか。(略)やがて私の中に「復興の手伝い」だけでなく、「亡くなった方々の思いを伝えなければならない」という思いが強くなってきました。それから三陸に行くたび、または被災地で知り合った人と首都圏や関西の避難先で会うたびに、その私の考えをお伝えして、話を聞かせていただくことにしたのです。(略)作り話のようなものもあれば、どこかで聞いたことがあるような内容も少なくありません。しかし、それらは、「作り話だから」とか「非科学的だから」と排除していいものではないように思います。幽霊譚が語られる背景や、話の中に込められた被災地の方々の心に思いをはせるべきでないでしょうか。(略)本書では、震災後に語られた不思議な話を単に列挙するのではなく、そこに込められた人々の思いを、東北の人々が伝え、信じてきた民話や民間伝承と重ねてご紹介し、「このような古くからの言い伝えが残っているところで、震災後、こういう怪異譚が語られていた」という共通性や、背景について掘り下げるよう、心がけました。(略)震災後の東北では「口コミ」で、幽霊にまつわる不思議な話が語られていながら、同時期のマスコミが、被災地への配慮やオカルト批判を恐れ「自粛」の名のもとに、触れようとしなかったことは、日本人の精神世界、「スピリチュアル」な「霊性」という側面からみた心の復興に問題を投げかけたのではないか。そのことに少しでも、感じていただけたらと思います。

    →その意図が怪談実話集でなく、民俗学的、口承文芸からの「霊性」の研究ならば、ネットが発信源と思われる「韓国の噂」や「夜になると亡者が現れる村」などが混じっていたり、その語り口から炭櫃が回らないのも仕方がないかもしれない。参考文献の掲示があれば良かった。

  • 東日本大震災にまつわる、不思議な体験をした方に話を聞いてまとめた本。
    …に、著者の解説がついている。
    正直、失礼ながら、体験談だけで良かったかなと思ってしまった。
    その、様々な体験談は、どれもリアルで本当にこうであったに違いないと思うものばかりで、鳥肌がたったり涙が出たり…。
    津波で婚約者を失った女性が震災からちょうど1年後に婚約者に声をかけられ(遺体すら見つかっていない状況だった)その場で泣き崩れていた時、たまたま通りがかったお坊さんがしてくれた話が印象的だった。
    『亡くなった方のほとんどは、今生きている人が幸せになってくれることを望んでいます。(中略)もしできれば、今日のような日に大事な人の思い出話をしてあげて、それ以外の時は、大事な人が生きている時以上に幸せになれるよう頑張って生きてください。』
    私自身、身内の不幸をずっと頭の片隅で引きずっている境遇の為、この言葉が凄く身に染みたし、震災で大事な人を亡くして気持ちが立ち止まっている人が、なんとか…なんとか前に進むことが出来るよう願うのみです。

  • 只の怖い話ではなく、そこに生きていた人々が亡くなって、亡くなった事に気付いていない悲しみ、後に残された人は、その思いを自然に受け止めている事が書かれています。

  •  地震と津波で多くの人が亡くなった東日本大震災。その前後、様々な人々が様々な体験をしていた。
     自身で聞き集めた怪談と、言い伝えや記録を引用しながら震災にまつわる怪談を伝えることの必要性を記した、決して怖くはない、心を癒やす怪談集。

     怪談の書き方や民話や言い伝えからの考察があることに、普段から「怪談」に慣れ親しんでいる人には「いまいち」と感じる人もいるかもしれない。だが"怪談"を含む「震災にまつわる随筆集」と思って読めば、悪くない内容だった。
     怪談でないと伝わらないモノがある。怪談だからこそ伝わるモノがある。

  • 悲しい話。

  • 子育て幽霊という話がある。

    死んだ母親が残された子供のために飴玉を買いに来る話だ。
    昔話としても有名だが、死してなお子を思う切ない愛情が人の心を打ち、長年語り継がれてきたのだろう。

    しかしこの様な不思議な話は何も昔に限ったことではないようだ。
    本書は東日本大震災において被災地で聞いた不思議な話を集めたものである。

    心霊物というと、おどろおどろしい不気味な話が多いが、この本に収録されている話の多くは、亡くなった母親の子供達を思う切ない行動や、超常的な力に助けられた話など暗さは感じられず、どちらかというと胸を打つ感動的な話が多い。

    その他、死んだことが分からずタクシーに乗り込む霊や、遺品を探す霊、残された婚約者を励ましに来た霊など多くの話が書き綴られており、あの世の世界というよりは、どこか日常生活の延長上にある普通な描写で、怖さを求める人にとっては拍子抜けだろう。

    震災後、被災地においてこれほど数多くの心霊に関する目撃談があったにも関わらず、ほとんど話が漏れ伝わらなかったのは、日本においては霊的な話はタブーであるとの戦後の風潮が大きく作用しているからであろう。

    霊の存在を信じない者も多い。

    幻覚を見たのだろうと言う人もいるだろう。
    しかし本書には、多くの人が同時にその場で、同じものを見、聞いた話が数多く収録されている。
    感情で否定する前に、まずはこれほど多くの目撃談があるという事実を受け入れことが、科学的かつ理性的な人間の最初のとるべき行動であると思う。

  • 実質4。不思議な話自体をもっと多くいれて欲しかった。話に関する著者の解釈には同意するが、少し冗長的に感じたので、マイナス1。ただ、おすすめの本には変わりありません。

  • 東日本大震災後に報告された幽霊にまつわる実話。
    震災後は、昼夜を問わず、あちこちで幽霊が見られたという話が
    興味深かった。
    しかも、透明だったり、足が無かったりでなく、生きている人間と同じように見えるらしい。
    この手の話が、あまりマスコミで取り上げられることがないのでおもしろかった❗

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