経済で読み解く日本史⑤ 大正・昭和時代

著者 :
  • 飛鳥新社
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感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864106948

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  • 人々は経済的に困窮すると、ヤケを起こして、普段は見向きもされない過激思想に救済を求める

  • 上念氏の本は以前から読んでいたのですが、最近ネットにて「経済で読み解く日本史」のシリーズとして全5巻セットが文庫本で出ていることを知りました。文庫本なので持ち運びがしやすく、どこででも読めて助かります。

    第四冊目は、大正・昭和時代⑤です~
    以下は気になったポイントです。

    ・大東亜戦争の発端は、日露戦争の戦後処理にあった。あれだけ協力してくれた英米との約束を反故にして、満州の権益を独り占めにしようとした(p2)

    ・本シリーズの一貫したテーマは、「人々は経済的に困窮すると、ヤケを起こして普段は見向きもしないような過激思想に救済を求める」(p6)

    ・金の生産量が人間がつくる商品よりも不足して金(ゴールド)の価値が高くなるのが、デフレである。デフレとは、モノとお金のバランスがお金不足によって崩れること(p7)

    ・戦前の交換レートで金本位制に復帰するには、すでに大量に発行してしまった貨幣を吸収して減らす必要があった、貨幣を吸収するには利上げが必要、しかし利上げをすると不景気になる。利上げにより人々が貯蓄を選好すれば景気は悪化する(p9)

    ・第一次世界大戦の終結から昭和恐慌に至る間に経済が低迷した本当の原因は「デフレ」であること、インフレではなく、デフレであることが重要(p25)

    ・植民地獲得の主な目的は、1)増加する本国人口のはけ口、2)原料の供給地、3)過剰に生産される製品を売りさばくための市場、である(p33)

    ・鉱山ビジネスに参入してきたスタンダードオイルのロックフェラーは、新たな鉱山を購入するたびにハインツとの泥沼の訴訟に巻き込まれるので、1906年に1200万ドルの大金を払ってモンタナのすべての権益を購入した(p57)

    ・第一次世界大戦の東部戦線において、1908年3月にロシアのボルシェビキ政権との間で「ブレスト=リトフスク条約」を締結し、ドイツ・オーストリア・トルコ連合軍の勝利が確定、フィンランド・エストニア・ラトビア・リトアニア・ポーランド・ウクライナは独立できた(p80)

    ・ハイパーインフレとなる条件、1)生産設備の徹底的な破壊、2)労働力の中長期的な不足、3)高額紙幣の大量発行(p109)

    ・旧平価での金本位制復帰とは、1ドル2.5円だったのを、25%円高の、1ドル=2円(デフレ志向)で復帰すること(p121)

    ・ゴールドが大量に流出したときにイギリスができることは2つ、1)減少した金の量に合わせて貨幣量を減らす、デフレを引き起こす、2)金とポンドとの交換を停止する=金本位制の離脱(p155)

    ・日銀の直接の国債引き受けについて大事なのは、この政策により貨幣量が今後も増えていくという期待の形成である、それで得た財源(財政政策)はおまけ(p165)

    ・ヒトラーは政権発足からわずか4か月で一党独裁を実現した、ドイツという国家よりもナチスという政党が上にあるので、ファシズム体制と呼ぶ(p180)

    ・日本はなぜ高い関税をかけられても日本製品の輸出が伸びたか、その理由は為替レートの大幅な切り下げにある、金本位制を離脱したことで100円=13ポンドが、5ポンドにまで急落した(p183)

    ・太平洋戦争の敗戦によって受けた日本の被害総額は、1340億円で、とうじの国富(正味資産)総額の41%であった、失業者1000万人(p204)

    ・日本は1973年に変動相場制に移行したので為替介入はしないと約束したのであったが実際には輸出企業の衰退を恐れてやっていた、やめた途端に、為替は250円から120円となった(p253)

    2019年11月17日作成

  • この国が二度と戦争に突入することがないように
    正しい経済政策を歴史から学べ。
    歴史を学ぶ本来の目的は、平和な未来を築くため。
    ぜひ高校生に読んでほしいシリーズ。

  • 日本の昭和の時代は,第一次世界対戦や第二次世界対戦など常に戦争に彩られた時代であったと言えるかもしれません。何かとネガティブなイメージがつきやすいこの時代ではありますが,どうしてそのような大きな問題が発生したのかということを新しい視点から考えるということも重要なのではないか。そういうことを本書を通して知らされたように思います。

    通常の学校教育などでは政治を中心に歴史は語られていきますが,その背後にある経済の大きな影響力を考えずに歴史の有り様を認識するのはとても危険なことなのではないかと,本シリーズ全体を通して私も強く感じるようになりました。

    特に昭和という時代を経済から読み取る上においてとても重要なのが金本位制のありようです。これが本当に問題の元凶なのだということが,著者の精緻な説明の中からしっかりと理解できたように思います。

    歴史の教科書ではなぜか途中から,ある日突然軍部なるものが台頭して日本を暗黒の時代に変えてしまったというファンタジーが語られているそうなのですが,やはりここには当時の世の中の景気の悪さから生じる過剰な思想への傾倒というのが見え隠れしているそうです。

    1907年恐慌から始まる貧困化に端を発する第一次世界大戦。最初の大戦でギリギリまでドイツを追い詰め,次の大戦の火種ができたこと。その背後にある,金本位制のドグマにとらわれた官僚たち。そうして続くデフレ,デフレ。

    これを救ったのは誰あろう,かの高橋是清!第4巻でも高橋是清の活躍は目を見張るものがありましたが,ここで彼の名前が登場した瞬間,私も「是清キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」と思いました。しかし,マスコミにあおられ国民は危険な思想に傾倒し,是清が狙われた226事件ののち,国債が大量に刷られ軍事費に消えていく。悪性インフレ,人の困窮,極端な思想の背後にコミンテルン。日本にもアメリカにもコミンテルンの政治工作が。怖いなぁ,コミンテルン。

    戦後にGHQの介入で,為替レートが固定され,朝鮮特需で経済復活。プラザ合意で円高が進み,円高不況へと。なんとまぁ出るわ出るわ,経済的な理由。ここから平成の世へとつながっていくのでしょうが,なんとなくデフレで全部説明できるのかなぁと予測しつつ,次巻も楽しみたいと思います

  • 諸外国との関わりが一層意味を持ってきた大正・昭和時代。戦争や内政の混乱などの原因の一つに当時の金融システムの脆弱性があった。それが本シリーズを通して議論されている金本位制。当時はグローバルスタンダードだったこの制度をどうして当時は積極的に採用していたのか。貨幣の天井が決まっているから、生産性の向上に対して十分なカバーができず、デフレを誘発してしまう。その結果困窮した庶民による過激思想や暴力行為に繋がる。戦争や共産主義のデモ行為などはそうして起こってきた。
    中学、高校では暗記科目であった、当時の出来事の裏を経済の流れを汲み取って理解できる本です。

  • 大正昭和ほぼ戦争の経済事象。小さな歪みは各国あれど、金本位制の限界が根源と読んだ。外交政策は経営学が必要。しっかり国を発展してもらってこちらが恩恵を受けられるように。本書の主張の反対側の意見も読んでみたい。

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著者プロフィール

1969年、東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部「辞達学会」に所属。日本長期信用銀行、学習塾「臨海セミナー」勤務を経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。著書に『日本分断計画』(ビジネス社)、『習近平が隠す本当は世界3位の中国経済』(講談社+α新書) 、『経済で読み解く日本史【全6巻】』『れいわ民間防衛』(以上、飛鳥新社)など多数。

「2022年 『日本分断計画Ⅱ ロシア・中国に操られる自称愛国者を駆逐せよ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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