秦帝国と封泥 社会を支えた伝送システム

  • 六一書房 (2024年4月10日発売)
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本 ・本 (177ページ) / ISBN・EAN: 9784864451802

作品紹介・あらすじ

 本書は戦国時代後半から、統一秦、楚漢戦争を経て前漢初期にいたる時期を対象としている(中略)
 この時期は、文字や制度が社会を管理する中国歴史時代の幕開けでもある。その後は、科挙が象徴するように、ゆたかな識字層に支えられて、中華帝国は二〇〇〇年の歴史を歩むことになる。(中略)
 この秦という社会を支えたシステムを、本書では「捺印」にクローズアップしてとらえた。社会を支えたシステムとは、端的にいえば、文字を利用して制度を運用することであり、それを「捺印」にかかわる三つの視座でとらえてきた。一つは、「捺印」の所作や行為を復元することであり、一つは「捺印」が組み込まれた一連の行動様式を評価することであり、一つは捺した印章の文字を評価することである。
それぞれ、「第一部 封泥の実態」、「第二部 文字を書き印を捺す」、「第三部 秦封泥の文字と秦の社会」が該当している。(中略)
 方法論や関心の異なる研究者が集い、情報や物資の伝達を検討することは容易ではない。しかし、封泥を共通の資料として、各自が新たな着眼点を見出し、それを共有することで、少しずつ研究は進展した。ことに、理化学分析との協業は大きな役割を担った。X線CTスキャン装置を利用した分析の推進は、各研究者には大きな刺激を与えた。(中略)
 新たな研究は、新出資料のみが切り拓くものではない。既存資料の再評価や分野を横断した検討にもその可能性は潜在している。本書で示した、封泥の形態情報の検討、封泥と簡牘資料を対照した検討、あるいは封泥や印章の文字の検討などは、それぞれの分野に新たな影響を与えるものと見受ける。秦封泥研究や戦国秦漢時代の研究、文書行政の日中比較研究等への貢献も望まれる。
 本書は、より多くの方の手に届くよう、できるだけ平易な形で示すことを心がけた。内容によっては、専門性が高いもの、あるいは独創性が強いものも含まれている。そこは、秦漢時代の研究の緻密さゆえと、お許しを願いたい。(本書“後記”より抜粋)

感想・レビュー・書評

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著者プロフィール

国立歴史民俗博物館准教授(東アジア考古学) 
【著書・論文】『金鈴塚古墳と古墳時代社会の終焉』(編著、六一書房、2022年)、「社会の変化と動物表象・造形の変化」(松本直子編『心とアートの人類史』雄山閣、2022年)、『秦帝国と封泥―社会を支えた伝送システム』(共編著、六一書房、2024年) 【趣味・特技】3Dデータいじり

「2025年 『REKIHAKU 特集・3Dからみえる研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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