「悟り」はあなたの脳をどのように変えるのか 脳科学で「悟り」を解明する!

  • ナチュラルスピリット
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864512923

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  • 「悟りはあなたの脳をどのように変えるのか 脳科学で悟りを解明する」Andrew Newberg/ Mark Robert Waldman


    東洋哲学の悟りは、個人が得られる最高の意識のレベルだと定義している。

    頭頂葉は自己と他者を区別する部位。ここの活動が減少すれば自己意識が減少する。

    男性の悟り体験は世界、宇宙、意識に、女性は神、愛、人間関係や子供に焦点が置かれやすい。

    悟りの体験は、男性はより大きなスケールで物を見て、女性はコミュニティや家族に視点がいく傾向がある。

    激しいスピリチュアルな覚醒が起こると、幼い頃から教えられてきた教義通りの宗教への信仰は弱まる。「私たちは大丈夫だがあなたはダメだ」という教義が不快になる。

    悟りの5要素
    1.強烈さ
    2.一体感
    3.明瞭さ
    4.明け渡し
    5.気づき

    認識力はほぼ全ての生き物にある。

    認識の段階
    レベル1: 本能的認識 生物的、主観的
    感覚と感情の情報処理、生存に向けた動機(視床、側坐核、前頭葉眼窩面、中脳水道周囲灰白質、扁桃体)
    レベル2: 習慣的反応 心理的、認知的
    学習、記憶の形成と呼び出し、無意識の行動(後部新皮質、中脳、小脳)
    レベル3: 意図的な意思決定 心理的、認知的
    言語と気持ちに基づく情報処理、意識的な目的希求(背外側PFCとその周辺領域、側頭葉、頭頂葉)
    レベル4: クリエイティブな想像 心理的、認知的 
    マインドのうつろい、白日夢、自由な連想による幻想、フロー(休んでいる状態のネットワーク、左右脳に渡る活動、記憶の統合) 
    レベル5: 自省的認識 精神的、直感的
    自身と他者に対する直感的、非判断的、象徴的な情報処理(前帯状、島、楔前部、拡大された前頭葉、頭頂葉の活動)
    レベル6: 自己変革的認識 精神的、直感的
    より深い意味と目的を提供する、人生を変える洞察(視床、新皮質、中脳、扁桃体の構造的変化)


    意思決定とゴールの達成は激しい神経過程で、脳は神経化学上リセットする為に頻繁に肉体と思考過程の休息をとる必要がある。

    仕事中は1時間ごとにリラックスする事。リラックスすると前頭葉が活性化し、マインドはうつろい、白日夢を見てクリエイティブな問題解決に取り組み始める。

    自分の意識を観察するという行為により、人は気分、自尊心、人生全般への満足感を高める事ができる。

    自省的観察と認識によって悟りと自己変革に直結する脳の構造を活性化させられる。

    悟りを開いたと感じる時間は、数秒から数日続く事もあるが、ある時点で通常状態に戻る。だが、脳には恒久的な変化が起こっており、我々は自分自身と世界に関する新たな知識があり、自分の人生により深く円満に満足する能力が増加する。

    黙想的修行のほとんどは前頭葉と頭頂葉の活動が徐々に増大する。

    キリスト教ペンテコステ派の信徒は儀式の際にトランス状態に入り、異語を喋り始めるが、その時、言語領域の前頭葉の活動は突然減少した。つまり、この発声は違う次元から来ていると思われる。

    異言を喋る人たちはその体験は驚異的でパワフルに自己変革を導くと言っている。

    催眠術では前頭葉の活動が増大し、認識力が高まるが、トランス状態では減少し、部分的な意識喪失も伴う。

    自動書記体験方法
    1.最初に思い浮かんだ事を書く
    2.自分が怒りや激憤で満ちていた瞬間を思い出し、その感情がいっぱいになってから思い浮かんだ事を書く。
    次にとても悲しかった瞬間を思い出し、悲しみで自分を満たしてから思い浮かんだ事を書く。
    3.思いつく限り最もクレイジーな一文を書く。読めない文字でもよい。意味のない文でもよい。
    4.深呼吸を10回するか、30秒なるべく早く足踏みする。次に静かに座り、様々な思考や感情が浮かぶのを観察する。次に自分が世界で最も偉大な問題解決の達人だと想像し、その人になったつもりで自分の問題の解決策を1,2行で書いてみる。そして、自分が書いた内容をただ眺め、その問題への新たな洞察を提供してくれるよう、自分の直感に頼む。どこからともなく内なる叡智の片鱗が得られる事に対してあなたは驚くだろう。ここから認識レベル6の個人的変革が始まる。

    あなたが悟りを求めているなら、自分の通常のものの考え方や現実の体験の仕方を積極的に阻害する事で、自ら意図的に悟りを求めていかなければならない。

    「知性は発見の道ではあまり役立たない。そこに直感などと呼ばれている意識の飛躍が訪れ、解決策を思いつくが、その理由やメカニズムはあなたにはわからない。全ての偉大な発見はこうして生まれる」アインシュタイン

    人生に目的や意味がなければ不安や鬱に陥りやすくなる。

    目的意識は、忍耐力、寛容さ、楽観性、慎み、成熟した自己意識、円満な人格の統合を促進する。

    人の信条が変革すると、古い信条に戻るのは神経上不可能。

    キリスト教徒は仏教徒よりも他者への許容度が低い。仏教徒は他教徒との結婚にも積極的。

    無神論者の他者への許容度は真ん中くらい。所得の高低、貧富、性別と許容度は無関係。

    瞑想実践者は許容度が高い。

    脳は嫌な記憶を深く根付かせるようにできている。この連携を断ち切るには、前向きな思考を生み出し続ける事。

    許しと思いやりについて思う事で心拍数と血圧は低下する。愛に満ちた思いやりは、コルチゾールの分泌が減り、免疫力が急増し、他者への同情心、受容、思いやりに関する神経網を構築する。

    他者への先入観を減らす事で脳の主要な部位の体積を増やす事ができる。

    自分を怒らせた相手への許しを実践すると、その態度を社会的な状況にも活かせるようになる。消耗感が減り、眠りの質が高まり、薬の服用量が減る。

    心をオープンにする方法
    1.自分にどんな信条があるかを確認し、それが先入観である事を認識する。
    2.別の見方をする事に上手になる。
    3.他人が自分と同じように考えて行動すると思いこまない。
    4.自分が今持っている信条が誤りだと仮定し、それが真実であるシナリオを考える。これが自分自身の信条の限界を知る役に立つ。
    5.実際にその役を演じる事で他人の信条を試してみる。
    6.わざと少数派の見方をとる。そうして思い込みを変えると世界への見方が変わる。
    7.自分とは異なる境遇や信条を持つ人と交流する。

    否定的な信条に意識を集中させると感情や脳に悪影響を与える。うつ病になりやすい。

    自分自身の信条を疑い、その限界を認識する事で私たちは変化への扉を開き、自分と他者を隔てる想像上の境界を消し去る事ができる。

    意識的な悟り方
    1.1分間、数回あくびをして腕、首、上体をストレッチしてリラックスする。
    2.以下を書き出す。
    ・あなたの人生に深い影響を与えた本や映画、恩師。
    ・自分自身への見方を変えた子供時代の体験
    ・あなたの人生の側面を変革した友情
    ・光明を与えたスピリチュアルまたは宗教的な体験
    ・あなたの世界観を変えた出来事や活動
    ・仕事や金銭との関わり方を変えた特別な体験
    ・あなたのライフスタイルを劇的に改善した健康に関わる体験
    ・あなたの信条を深遠に変えた新たな認識
    ・悟りや人生の変革に繋がったと思うその他のこと。

    5-10分上記を見つめながら想いをうつろわせ、意識があるかないかの状態で浮かぶ全ての感情に浸る。
    次に意識的に洞察を求める。このリストはあなたに新たな方向を示してくれたか?

    からだを最も早くリラックスさせる方法は、極めてゆっくりストレッチすること。例えば首を1分かけて回す。
    からだの緊張を解いてくれるのは動きではなく認識自体でレベル5の情報処理。

    神経のストレスを最も早く排除する方法はあくびをすること。これで前頭葉の活動を劇的に減少させる。
    あくびはすればするほど心配が消えて幸福感の兆しが現れる。

    快適な部屋で椅子に座り、「あー」と声を出しながら息を吐くと認知機能、精神衛生、スピリチュアルな健全さが改善する。

    激しい瞑想の前後に穏やかなリラクゼーションを10-20分する。

    退屈を感じた時は方法を変える。「今ここでの動き」が習慣化されると意識に影響を与えなくなる。

    前頭葉の活動が停止すると習慣や信条のシステムから解放され、頭頂葉の活動が停止すると自己認識が消える。その時、明晰さと幸福を感じ、自分たち自身、世界や宇宙の本質を理解する為の超常的な洞察を体験する。

    意識を消す体験方法
    1.白紙の紙を用意し、机に置くか壁に貼る。
    2.目を閉じてリラックスし、自分の自然な呼吸に数分注目する。
    3.目を開けて全ての集中力を傾けて白紙を見つめる。2-3分、その紙の角、サイズ、白さを詳細に観察して探索する。
    4.紙の真ん中に注意を集中し凝視する。やがて紙は見えなくなる。

    オーム瞑想
    1分間あくびを続け、ストレッチしてリラックスした後にゆっくり息を吸い、「オームー」と声をなるべく長く出し続ける。ムーの時は口を閉じる。グループでやるとよりパワフル。斉唱になれば神経共鳴が起こり、全員の脳の中でニューロンが同様に発信し始める。

    ゆっくりとした動作は前頭葉と頭頂葉の活動を増大させ、スピーディな動きは急速に減少させる。この落差の大きさが最も効果を生む。

    儀式は私たちがより高い精神性と社会的な原則で結ばれ1つになるのに役立つ。

    悟りの体験方法
    はじめにリラックスする。次に悟りを求めるという意図的な意思決定をする。意味ある言葉やフレーズやサウンドを繰り返し唱える。単純な体の動きを足す。サウンドと動きに集中し、少しづつそのスピードを上げる。そこで自然に呼吸は深くなる。その体験に明け渡す。自分の認識に劇的な変化が起きるまで続け、次に動作と詠唱のスピードを落とす。ゆっくりストレッチしてあくびをしてから自分の意識に浮かぶ様々な考えや感情を観察する。自分の人生に洞察を得られるよう自分の直感にお願いする。そして浮かんだ言葉を書き留める。

    グループでドラムを叩くと集中力が増し、感情をコントロールしやすくなる。

    激しい運動から深いリラクゼーションに移ることで脳の発達も促せる。

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著者プロフィール

アンドリュー・ニューバーグ(Andrew Newberg)
1966年生まれ。
ハーバード大学で化学の学士取得後,ペンシルバニア大学医学部を卒業。内科学会専門医,核医学専門医取得後,霊的・宗教的現象の神経学的研究に従事した。
現在,トーマス・ジェファーソン大学放射線医学教授,および統合医療・栄養科学部門教授,マーカス統合医療研究所研究部長。
〈著書〉
Why God Won't Go Away: Brain Science and the Biology of Belief. New York:Ballantine, 2001(邦訳:茂木健一郎(監訳)木村俊雄(訳)『脳はいかにして〈神〉を見るか─宗教体験のブレイン・サイエンス PHP 研究所 2003年)
Brain Weaver: Creating the Fabric for a Healthy Mind through Integrative Medicine.Kales Press, 2021

「2023年 『神経神学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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