とくにある日々 (5) (ヒーローズコミックス わいるど)

  • 小学館クリエイティブ (2024年8月29日発売)
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本 ・マンガ (130ページ) / ISBN・EAN: 9784864682794

作品紹介・あらすじ

仲良しJKのしいちゃんときみちゃんは、他の部の活動を手伝いながら、自分達の部活も満喫して
いた。
が、ある日突然、生徒会のメンバーが2人の部活の監査(?)にやってきた!?
さらに、廃部になった部活の墓場も見つけてしまいーー?
ちょっとドキドキするけれど、結局楽しい第5巻。
【うれしい描き下ろしを収録!】

感想・レビュー・書評

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  • この(5)も良い味が出ており、ますます、旨味が増してきた、と感じるのは、きっと、私だけじゃあるまい。
    一つ上の面白さに達する突き抜け方はしているが、読み手は置いてきぼりにしない、この塩梅が素晴らしいんじゃないか?
    本編が面白いのは言うまでもないが、『とくにある日々』は表紙もまた、注目すべき点だろう。
    (4)のフェルトも可愛らしかったが、粘土細工で作られたしいちゃんときみどりちゃんもキュートだ。
    このセットを読者プレゼントにしたら欲しがるファンは多いだろうけど、素材的に、どんだけ気をつけても途中で壊れてしまいそうだから、なか先生に大事に保管して貰うしかあるまい。
    この(5)の本編も、いつも通り、一瞬一瞬を大事にすべきアオハル感がギュッと詰まっていて、それでいて、他の学園モノとは異なる好さを、しっかりと出せている。
    熱血って感じは一切ないんだけど、自分が好きな事、やりたいと思った事に、彼女たちは決して、手を抜かずに向き合っており、その姿に羨ましさを感じてしまうのは、私から若さが抜けてきているのか。
    私のオジサン化はさておき、改めて、頭で理と利を考えるしいちゃんと、楽しさを求める心が体を動かせてしまうきみどりちゃんは、ベストコンビだ、と感じた。
    きみどりちゃんが積極的に動けるのは、しいちゃんがここぞってトコで、しっかりとブレーキをかけてくれる、と信じているからだし、逆にしいちゃんはきみどりちゃんの明るさに引っ張られて、一人じゃ出ない大胆なアイディアで日々を楽しく出来ている。
    どの回も良かったが、私的に、この(5)で推したいのは、アオハル感の中に漂う栄枯盛衰を実感させる70話だ。どんなに楽しくても、むしろ、楽しいからこそ、時の流れから零れ落ちてしまうモノがある。花見と言う一時のイベントであるからこそ、寂寥感を下地にした楽しい催しで、きっと、きみどりちゃんは、ほんの少しだけ成長したに違いない。

    この台詞を引用に選んだのは、小西先生に対する好感度がしっかりと上がるものだったので。
    教師って言う、生徒に教え、育てる役目に対して誇りを持っているのも大きいだろうけど、何より、小西先生は人間としての器が出来ているんだろう。
    カッコいい大人の定義みたいなモノは色々だろうけど、こうやって、本当に困った時、この人に頼ろう、と思わせる雰囲気は大事なんじゃないだろうか。
    「あなたたち、いつも、2人で楽しそうだけど、大人を頼りたくなったら、いつでも頼っていいからね」(by小西先生)

    こちらもまた、私の琴線に触れるものだった。
    私自身が、あまり、ギャンブルにのめり込んでいないってのもあるにしろ、この理屈には「確かに、そうかも」と思わせるだけの筋があった。
    改めて、きみどりちゃんの良さが見える。
    彼女のように、自分の直感を信じて行動できるのは、人間としての強みだな。
    「全員、初回で、定石とかも生まれてないから、ただただ素直な奴が勝つこともある、それがギャンブル」(by天の声)

    これも、妙な説得力っつーか、言っている事は解る、と思えるものだった。
    人に仕事を任せたのであれば、こうやって、シビアさを示すのも大事なんじゃなかろうか。
    〆切があるからこそ、人は与えられた仕事に対して、個人差は生じるにしろ、真面目に取り組める。
    「できたら来るじゃ一生来ないから、できなくても1週間後に報告してくれ」(by瀬賀こなみ)

    そして、これもまた、きみどりちゃんの良さが、心にガッツンと来る台詞だ。
    良い事をした、ちゃんとした結果を出した人をストレートに誉めるってのは、意外に難しい、と大人になってから感じる。
    まだ学生だからってのもあるにしろ、自分のした事は正しいのか、と自分の中で悶々と悩んでしまっていたしいちゃんを、良い意味合いで何も考えずに肩車して、「良かった」と言えちゃう、きみどりちゃんの心は実に美しい。
    こうやって、無自覚で、友達のモヤモヤを吹っ飛ばせるのは若さだろうな。
    「あのゲームの内容、よかったから、肩車したげる」(by高島きみどり)

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