最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)

著者 :
制作 : syo5 
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864725378

作品紹介・あらすじ

あなたの余命は半年です-ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副医院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは?究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか?それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!

感想・レビュー・書評

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  • ★4.5

    あなたの余命は半年です――。
    究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか…?
    それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。
    息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ!

    地域基幹病院・武蔵野七十字病院。
    死期を迎える患者に対して、無理な延命治療よりも「死」を受け入れ、
    残りの日々を大切に生きる道もあると説く。死神と呼ばれる桐子。
    患者の意向を曲げてでも情熱を傾けて治療に全力を尽くし、奇跡を信じ、
    奇跡を起こそうと諦めない副院長の福原。
    患者と共に悩み迷い葛藤し、答えが出せなくてもその苦しさを分かち合う音山。
    大学時代、友人同士だった3人の医師たちの「生」について「死」についての物語。
    患者が残された時間をいかに使うかを共に考える患者と医師たちの生きる物語。

    両極端な医師が敵対するシーンが多くあり、ここまで極端な医師はいないだろうって
    思いましたが、誰も間違っていないし、誰も正解でもない。
    もしかして、一人の医師の心の中に3人がいるのかもしれないなぁって感じた。
    命と向き合うお仕事、本当に大変です。彼らは本当に凄いです!

    何度も何度も病や死について考えさせられました。
    頭ではわかってる。いつどのように病がやってきて日常の歯車から外され、
    病院という大きな中でベルトコンベヤーに乗せられるかもしれない…。
    人は必ずいつか死が訪れる…。
    でもそれは、普段意識してなくって、どこか他人事。
    自分自身は漠然と延命治療したくないなぁって思っていましたが、
    福原の様な医師に熱く説かれると嬉しいだろうし、揺れてしまうんじゃないかな。
    また桐子の様な医師に説かれると、やっぱりそうだなぁって思いそう。
    自分自身の死生観。大切な人の生命に関する決断をする時…。
    しっかりと話し合い考えなくてはいけない。
    でも、いざその時…やっばり揺れるんだろうなぁ(*T^T)

    読みながら、何度も何度も泣けました。
    そして、健康に過ごせている事の有難さも感じました。
    一日一日大切に生きようと思った。

  • 奇跡を信じ、最後まで諦めずいろんな治療をしてでも患者の命を助けようとつとめる医師がいる。
    相反して、余命が短いのであれば患者に「死」を受け入れてもらい、残りの日々を大切に生きていくという道を説く医師がいる。

    どちらがいいのか。自分だったら、苦しい治療をするより自分らしく最後を全うしたいかな。
    でもこれが自分の子供だったらと考えると、どうやってでも生きていて欲しいと願うだろう。

    なかなか考えさせられる、いいお話だったと思います。

  • 奇跡が起こる可能性を信じ、最後まで最善を尽くす医師の福原。
    病気の進行度、治癒の可能性、どう生きて死ぬのが患者の為なのかを考える医師の桐子。
    その同期の医師2人の仲裁役で、どうする事が患者にとって最善なのかを模索する医師の音山。
    この3人を中心に物語は進む。

    3人の患者を通して、「生きるとは何か?」という命題にぶち当たる。
    愛する人が重度の病に冒された時、どんな状態であれ生きていて欲しいと願ってしまうかもしれない。
    でも、その患者にとっての「生きる」ということは、他人が願う形とは異なるかもしれない。
    「どう生きるか?」=「どういう最期を迎えたいか?」ということかもしれない。

    福原医師と桐子医師の、
    患者の生きる長さや生きる価値という考え方は真逆だ。
    でも、親友の死に直面した時に、
    今まで医師として客観的に捉えていた「死」がぐっと身近な物になった。

    対極ながらも誰しの心にも内在する、「どう生きるか」という命題への葛藤を、
    福原と桐子が代弁しているようだった。

  • あなたの余命は半年です…ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副医院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは?究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか?それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!

  • 初読みの作家さん。
    日本に帰ってから良く行く書店で、面陳されていた一冊。

    桜の花びらが舞う本の装丁に惹かれ手にしてみると、そのバックはお墓だった。
    そして、このタイトル。
    一度は買わずに帰ったのだが、やっぱり気になって手にした一冊。
    コミックにもなっている。

    医療をテーマにした本は数多ある。
    決して諦めない医者。
    患者に寄り添う医者。
    これまで色々な医者を主人公にした本を読んできた。
    彼らは確固たる信念を持っていた。

    が…
    この本の主人公たちは違う。
    自分が信じる道を突き進んできたつもりだったのに、揺れる。
    悩み、悶え、揺れる。
    それがとても自然に思えた。

    武蔵野七十字病院の皮膚科医、桐子修司。
    患者たちから「死神」と言われる彼は、諦めない、積極的な治療が正しいとは思っていない。
    患者には死を選ぶ権利があるとして、主治医でもないのに、患者と面談をする。

    福原雅和は七十字病院の天才的外科医であり、副院長。
    決して諦めないことが患者のためという信念のもと、技術を磨くことに余念がない。

    そんな二人は大学の同期。
    そして、もう一人の同期、神経内科の音山晴夫。
    二人を理解し、二人の危うさ理解し、手を取り合うことを望む。

    本を開いて、目次でもちょっと衝撃。
    第1章 とある会社員の死
    第2章 とある大学生の死
    第3章 とある医者の死

    読む前から、この患者が最期を迎えることがわかっている。
    何というか、話のスピードよりも、気持ちの方がゆっくりと追いかけていく感じ。
    まさに、自分も悩んでいたんだ…

    1章、2章では、桐子も福原も自分の考えに全く迷いがない。
    正反対の考えを持ち、お互いに受け入れられない。
    しかし、第3章の「とある医者の死」では、迷い、悩む。
    気持ちは揺れて、揺れて、揺れて。

    余命を告げられた時、自分ならどうするか。
    何を望むか。
    真剣に考えさせられた。

    自分と向き合ってくれる医者に望むこと…
    色々あるだろう。
    自信を持って治療してもらえると、頼もしいことに間違いはない。
    だけど…
    自分と一緒に考え、悩んでくれること、答えは出なくても、必要かもしれない。
    人生の終わり方に”正解”を求めるわけではないと思うから。

    「最期の医者は雨上がりの空に君を願う」というタイトルの続編が既刊。
    こちらも読んでみよう。

  • 桜の桃色が美しい表紙と背表紙のあらすじに惹かれて購入を決意。
    「白い巨塔」好きなので、
    医療現場という極限の舞台で繰り広げられる医師同士の対立が見物で読み始めたんですが…
    予想以上に良かった。
    あらすじでは正反対の志を抱き対立する二人の医者ばかりが強調されていますが、
    そんな二人の狭間で揺れ動く、同僚兼友人のバランサー・音山医師にこそ、
    普通の読者は一番感情移入できるのかもしれません。

    3人がそれぞれの長所を活かし、時に短所を補い合いながら、共に患者を救う。
    作中、音山が描き続けたその理想を、
    一番初めに示したのが実は福原だったのが分かった瞬間、
    それまで涙で湿りがちだった胸がこれ以上ないぐらい熱く燃えました。
    「二人とも、うちに来いよ。俺一人じゃ、正直きつい。お前らみたいなやつと一緒に、やってみたいんだ」
    医大生時代の3人での青臭いエピソード、もっと読みたかったなぁ。

    死と向き合う患者の苦悩に涙が止まらず、医師たちの葛藤に胸打たれ、
    でも最後には希望の光が胸に差し込む。
    たくさんの感情を呼び起こしてくれる、素敵な物語でした。

  • 文庫書き下ろし

     日本では、一日でも延命するのが正しい医療だとされる。
     医学部の同期生で同じ病院に勤めた3人の医師がそれに対して三様の考え方をする。

     若くして副院長になった福原は、患者の意向を曲げてでも情熱を傾けて治療に全力を尽くす。第1章の白血病になった会社員は、これから生まれてくる子供のために生きようとしてわずかな望みにかけて、病と闘い壮絶な死を迎える。

     「死神」と陰口をきかれる桐子は、死期を迎える患者に対して、無理な延命治療より死を受け入れて、最後を自分らしく生きるよう勧める。

     迷う音山は、第2章で医学に入ったばかりでALSを発症した女子学生を担当し、時間を割いて在宅診療を続け、迷っていることを率直に告げるが、女子学生はかえって延命を望まず「医者になれなかった自分が死んでいくことをみんながつらく感じて、ALSを克服する治療を進めて欲しい」と思う。

     第3章は、音山にステージ3の喉頭癌が見つかり遠隔転移も認められて、手術による全摘手術ができなくなる。音山は育ててくれた余命わずかな祖母と電話し続けるために声を失う延命治療を拒み、声を出すための手術を福原と桐子に頼む。

     重い問題提起だった。自分ならQOLを大切にして延命血用はしたくないが、自分の子供だったら生き延びられる可能性を求めるだろう。桐子が音山の死を前に悩んだように。

  • 生きるとはどういうことなのかを考えさせられた。その人にとっての生のあり方が治療方針を決定するのであり、延命処置を行わないことは必ずしも敗北ではない。医者は一つの固定観念に縛られるのではなく、柔軟性を持つことが大事なのだと思った。
    生と死に関して相反する考えを持つ医者と自分の考えを持てず悩む医者、彼らの考え方が患者や友の病気を通して変わっていく。とても感動した。涙なしには読めない。医師という立場で読んだら何を思うのだろうか。再読したい本。

  • 久しぶりに何度涙したか分からない作品です。助ける事に最後の最後まで諦めずに全力を傾け、正義感や情熱に溢れる福原、一方、絶対助からないと分かっている患者に最後の命との向き合い方を冷静に勧める桐子、時が流れ、かつて友であった者同士が、相反するアプローチにより仲違いしている。そんな二人の大切な友である音山の病気により、二人は悩み始める。

    この作品は、命は長さではなく、どう過ごせるかと言った事について、究極の死を前にした状態で考えさせられる、とても深い深いテーマだったと思います。自分もいつか死にます。明日かも知れない、だから時間を大切に過ごす、それがいま自分に出来る事。でも死を直前にして、そんな綺麗事言えるだろうか、いや自信はない、、
    それでも毎日時間は過ぎていく。やはり今はやれる事をやろう。

    素晴らしい作品でした。著者の作品は初めてでしたが、是非とも他の作品も精読させて頂こうと思います。

  • 「死」を受け入れQOLを重視する余り、死神と呼ばれる医師、桐子。奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない医師、福原。そして二人を眩しく思いながら、患者と共に迷い、悩み、苦しさを分かち合うことが自分の道だと患者に教えられた医師、音山。
    1~3章で描かれる3つの死から、「生きるとは」、「死ぬこととは」をしみじみと考えさせられる作品。

    表紙を見ただけでは決して手に取らなかっただろうラノベのような作品だけど、小難しくQOLについて説いていない分、かえってすんなりと心に入ってきた。

    「後で死ぬ人は、みんなの死を見届けるのが仕事。先に死ぬ人は、みんなに死を見せつけるのが仕事。」という、無念の死を目前にした女子大生の言葉。死に様を残った者に見てもらう。そういう発想は新鮮だった。
    どう生きるかは、どう死ぬかに集約される。
    奇跡を求めて、最期まであがくもよし、辛い治療をやめて結果、命を縮めることになるもよし。
    自分で決める自分の生き方=死に方…
    色々なことを考えた。
    「必ず訪れる死の前では、全ての医療は時間稼ぎだよ…」

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著者プロフィール

二宮敦人(にのみや あつと)
1985年、東京都生まれの小説家、ホラー作家、推理作家。一橋大学経済学部卒業。携帯小説サイト「魔法のiらんど」「E★エブリスタ」でホラー小説を発表し、2009年に『!(ビックリマーク)』でデビュー。妻が東京藝術大学彫刻科の学生だったことから、多数の藝大生に取材しノンフィクション『最後の秘境 東京藝大』を執筆、ベストセラーとなる。著書に『郵便配達人 花木瞳子が盗み見る』『一番線に謎が到着します』など多数。2019年4月11日、『世にも美しき数学者たちの日常』を刊行。

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