最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784864725378

作品紹介・あらすじ

あなたの余命は半年です-ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副医院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは?究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか?それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 2024.2.1 読了 ☆10.0/10.0


    星が足りないくらいの感動作。
    涙に溢れて、書きたいこと感じたことが多すぎてここに書ききれないほどの読後感でした。


    初めて読んだ作家さんでしたが、見事なまでのリアルな医療小説でした。



    というのも、自分自身がこの小説の第一章に出てくる病気と同じ種類のものを患い、2年ほどの入院生活を味わい、病を乗り越えた過去があるからです…


    話すと長くなってしまうので割愛させてもらいますが、ここに出てくる患者さんやその人たちを支える家族側の感情、葛藤、生々しい死の匂い、残された家族のその後などが、手に取るように、時に当事者として、理解できる部分が多すぎました。



    読みながら、過去の壮絶な入院生活を思い出してしまい、涙が止まりませんでした。



    本作は難病患者と向き合う二人の医師の物語です。

    余命を多少伸ばすような治療より「死」を受け入れて、残りの日々を充実させることを勧める「死神」こと桐子。
    最後まで、奇蹟を信じて「生」をあきらめない副院長の福原。
    相対する二人を取り持つ音山。
    大学時代、友人だったこの3人の「生」と「死」に対する物語です。


    そして、患者に残された時間を患者自身がいかに使うかを、医師とともに考え、時にもがき、苦しみつつも人生の戸締りを良きものにしていくという、患者と医師たちの生きる物語でもあります。



    読んでいく中で何度も何度も、病や死について考えさせられました。

    頭では分かってるつもりでも、いつどのように病がやってきて自分の人生から日常の歯車を外し、奪っていくのか分からない。

    いつか自分がまた、病院という大きな中でベルトコンベアーに乗せられるかもしれない…。


    そして、人には必ずいつか死が訪れる…。
    でもそれは、普段意識なんてしてなくて、どこか他人事。


    でも想像してみれば、今この瞬間だって救急車に乗せられて生死を彷徨っている人だって、抗がん剤の副作用に苦しんでる人だって、家族に看取られながら穏やかな死を迎える人だって、はたまた突然目の前からいなくってしまう人だっているのだ。


    自分自身は漠然と延命治療したくないなぁって思っていましたが、福原の様な医師に熱く説かれると嬉しいだろうし、揺れてしまうんじゃないか…。
    また、桐子の様な医師に淡々と説かれると、やっぱりそうだなぁって思いそう。


    自分自身の死生観とはどんなものだろうか。
    親や恋人など、大切な人の命について決断をする時…。
    しっかりと話し合い、考え、正解なんてないのだろうけど自分なりの正解を模索しなくてはいけない。



    本作に登場する3つの死を通して、どれだけ生きたかではなく、どう生きたか?どう最後を迎えるか?そのために今何ができるか?


    色々なことを考えさせられる物語です。


    そして、大きな病気を乗り越えた今の自分の健康に想いを馳せ、感謝し、当たり前などないと噛み締めて、生きていこうと思わせてくれました。


    内容はかなり重いですが、自分自身の生き方、大切な人との時間、考えるきっかけになると思います。おすすめです。

  • これはやられた。
    この「生」と「死」の直球物語には、涙なくては読めなかったです。
    今、この瞬間を生きている自分を愛おしく、ありがたく思います。
    3編からなる中編連作ストーリ。

    余命を多少伸ばすような治療より「死」を受け入れて、残りの日々を充実させることを勧める「死神」こと桐子。
    最後まで、奇蹟を信じて「生」をあきらめない副院長の福原。
    相対する二人を取り持つ音山。
    大学時代、友人だったこの3人の「生」と「死」に対する物語

    ■とある会社員の死
    白血病と診断された会社員。
    辛い抗がん剤治療の先にあったのは完治ではなく寛解。
    再発の可能性を減らすためにはリスクの高い造血幹細胞移植が必要。
    移植をするのか・しないのか..
    桐子との面談を通して命について考えさせられます。
    そして、会社員のとった決断とは..
    妻に残した手紙に目頭が熱くなります。

    ■とある大学生の死
    2浪してようやく受かった大学の医学部。しかし彼女はALSと診断されてしまいます。
    しかし、ALSってこんなに早く進行するの?
    間違いなく「死」に近づく中で、彼女のとった選択は?
    そして彼女の主治医となっている音山の苦悩。
    さらに彼女の両親の会話に鼻の奥がツーンと来てしまいます。
    彼女を看取ることで、音山自身が医者になってやりたかったことに気付かされます。

    ■とある医者の死
    ここはネタバレになるので、コメントしません。
    下咽頭癌と診断された医師。
    その医師の下した決断と、その要求に応えようとする医師。

    3つの死を通して、どれだけ生きたかではなく、どう生きたか?
    延命は本当に患者のためなのか?
    考えさせられる物語です。

    そして、今の自分の健康、家族の健康をとてもありがたいと思います。

    とってもお勧め

  • 二宮敦人 著

    ブクログのakodamさんの本棚レビューを拝見して、是非読みたいと思って手にしたこの作品。
    このシリーズ3作目出てたんですね〜
    なんてコメントしてしまったんですが…(・・;)
    読み始めて、うむ~(・・?違和感が、、
    そっかぁ、この作品はこのシリーズのまさに一作目(1巻目)で、私が読んだ
    「最後の医者は雨上がりの空に君を願う」の上下巻は続編だったんだ!と気付いた(-。-;
    私の早とちり…ごめんなさいm(_ _)m
    続編から先に読んでしまいましたが、特に問題はなかったけどねσ^_^;

    1巻目のシリーズ最初の本作品は続編よりも、病気そのものの状況(病状)それに伴う精神的な部分も詳細でよりリアルに描いていました。
    死に至る病について、患者の立場から医師の立場からみえる状況や感じとる医療に携わる上での方針や目指すものを現実的な視点で描かれており、圧倒されました。

    こんなことを言うのは、どうなのか?と憚られるのですが…”よくぞ描いてくれた!”と、
    何だか胸がすく思いがした。
    私は物語りに登場するような患者である当事者の立場であるので、正直、本作を読むのは…時に、とてもとてもシンドイ気持ちになった。
    可哀想だ、辛すぎる、泣ける、という気持ちの先に、その苦しみ分かる、副作用の耐えられない状態(痛み、下痢、痒みetcの耐え難い諸症状)
    やるせない、どうすべき?どう乗り越える?死生観という拠り所のない分厚い壁に阻まれるような感じがした。

    それでも、最後には、これから最期まで生きてゆく上で自分の人生の指針になった本だと思えました。 この本に出会えて良かった。
    akodamさん、ありがとうございます♪
    本作に登場する患者たちのように、迷って、迷って、迷うことの悩みをずっと持ち続けていたように感じる。
    健康な人には分からない、死を間近に感じる病人の気持ちなんて…。
    でも、今健康である人は分からなくたっていいんだって思う。分かる必要もないんだって思う。
    想像は出来ても、実際に病人を襲う身体的苦痛や不安な気持ちなんて自身がその身で体験しなければ分かるはずはないと思う。
    医師だってそうだ!どんなに病気に対する知識があっても、その痛みを共有することは出来ない。
    自分だってそうだったんだ!
    健康な時は想像の範囲でしかその痛みを感じることは出来なかった。
    それでいいんだって思う。
    それが健康な身体である証拠だと思うから。
    将来の痛みや不安を恐れずに今ある健康体を大切に生きてほしいと心から思う。
    健康なうちに叶えられる可能なあらゆる夢を願いに変えないで、出来る限り実現してほしいと思う。
    病気になったから…そんなこと言ったりするんだ!って…思うだろう。
    そう!その通りなんだ!悔いて振り返るのは病気になってからでも遅くはない。

    ⭐︎とある会社員の死
    死の恐怖に追い詰められてる浜山さんが、健康な妻から「死ぬのはみんな同じだよ…」って言われて、健康なお前に言われたって、何の慰めにもならないんだよ、って余計に気分がおちて不安になる気持ち、すごくよく分かるって思っちゃいました
    (´-`)失礼だとは思うけれど、病人同士で「色々あるけど、頑張ろうね」という感覚と元気な人に言われる感覚とでは微妙に違う思いになってしまうことも事実。温度差かな(・・?)
    元気な人は勿論、悪気もないどころか励ます気持ちで言葉をかけてくれているのに、
    きっと癇に障るような意固地な気分でしか受け取れない時もある。どうか分かってほしい、それが病人なんだということを…(・・;)
    (いつか、そんな気分さえ去ってゆくから)

    ⭐︎とある大学生の死…
    まりえは自分に言い聞かせた。
    “人は必ず死ぬ。
     その致死率は百パーセントなのだ。
     生が全てを手に入れる可能性なら、
     死は全てを失う必然だ。”
    まりえの親は言う
    「生きてるだけで…いいのに」
    「親としてはよ、生きてるだけで、ほんとう
     に生きてそこにいるだけで、
     それでいいのに。」
    この言葉には流石に鼻の奥がまたしてもツーンと痛くなって涙が溢れる…(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
    そこがミソなんだよなぁって思う。
    人は1人で生きてるわけじゃない(>人<;)
    だからこそ悩み苦しみ辛くなるんだよね。
    自分の人生なのに選択が出来なくなる理由。

    ⭐︎とある医者の死…
    母親を早く亡くし、親代わりのお婆ちゃんの愛情に応えたい想い、大切な人を想う気持ちは医者も患者も何の変わりもない。
    同じ医師を目指した大学の同期の友人である
    福原と桐子。
    対立してるかに見える二人だが、そのどちらの友人に対しても、二人の実力も医療に対する真摯な拘りも認め、心から尊敬の念を抱く音山医師。
    「戦い方は、一つじゃない」
    音山の信念が…3人のそれぞれ違うように見える信念と同時に結びついている友情がとても胸に痛くて…けれど爽やかで人間らしく感じられて、清々しい気持ちになった。そして泣けた。

    “武蔵野七十字病院の主要な登場人物の若き医師たち”の死生観を抉る三つの医療物語。
    絶対に諦めない信念を強く心に秘めた副医院長の天才外科医師の福原。
    かたや、対立するかのように治る見込みのない患者に目の前に立ちはだかる死に向けての選択肢を患者に説く”死神”とまで揶揄されながらも患者の残された時間に重きをおく信念を貫こうする桐子医師。
    優しい心根を持ち、同期の二人には敵わないと思っていたが、患者の死を体験して得られた大切な意義に気付く。自分の病気を通して医師として患者に寄り添った医療を目指す原点に立ち返った音山医師。
    この本の中に登場する医師はどの医師も理想的なお医者さんだと思う。
    だから少し希望の光が見えた気がする。
    なかなか現実では、そんな理想的な医師が主治医となり一緒に病気に立ち向かうことすら難しい問題だと思う…(・・;)

    大きな病院の医師が恐るべき存在になってしまうのは、医療に携わる上で患者の死に対する医者の慣れと、患者と医者の間で一緒に向き合わなけれはいけない病気について、
    学ばない医者。それに立ち向かうことの出来ない弱い立場の患者だと思う。
    自分の強い立場を笠に着る医者は論外だが、
    患者の立場に立って寄り添うフリでもいい、今後の医療に生かせるように真摯に病気に向き合い立ち向って、患者の声を聞くのが本物の医師だろうなぁって思います。

    *とある私の主治医…(真面目で時々トンチンカンなことを真剣に話す、いつも冷静なようでいて、熱意ある医師)

    治療前に担当看護婦さんと談話する
    「治療中いきなり、主治医の〇〇先生に、
     まだ生きてるもんね!って…
     言われちゃったよ(" ̄д ̄)!」
    「え〜嘘っ(๑•ૅㅁ•๑)あの先生がそんなこと言
     ったの〜⁉︎信じられない!」
    「そんなこと言われてどう思いましたぁ⁉︎」
    「やっぱり、外科医やなぁ〜と思ったわ」
    「え〜‼︎-_-、…。」
    「ところで先生、他の患者さんには、まさか   
     そんなこと言ってないよね〜⁈」
    「言ってない、言ってない!聞いたことも
     ないですよ〜」
    「そ、じゃあいいんだけど。いや、
     いいんだけどじゃないわよ、(๑•̌з•̑๑)੭ु
     …ったく」(⌒-⌒; )
    とは言え、もう既に手術は不可能な域で、
    手遅れかと思われた状況時に、その主治医の先生の素早い対応と治療のお陰で最悪の状態を脱し、今現在も元気に生きていられてる訳なので、ホント心から感謝です。m(_ _)m
    誰かに付き添ってもらうこともなく、
    一人外来で抗がん剤治療も通い続けた。
    そして自分で歩いて通院出来るうちは入院せずに元気に乗り切ろうと思っている。
    この先のことは…とりあえず、胸の中にしまっておくけど(*´ー`*)

    私はある日、分かったんだ!
    いつも強気な主治医が情けない声で言った。
    「僕のために、嫌なやりたくもない治療を続  
     けるのはやめてほしいんだ…」
    私は心の中で、「はぁ?誰が辛い副作用のある治療を(いくら尊敬する先生でも)先生の為にする訳ないじゃん」と思った。
    何を言い出すかと思えば…と。
    その時は正直意味が分からなかった(・・?)
    主治医は続ける、、
    「治療方針を説明して処方していた治療薬を  
     ずっと…高い医療費払っていながら服用し
     ていない患者さんがいたんだ!ショックを
     受けたよ、、何で治療薬を処方して服用し
     てもらってるのに、ちっとも効かないどこ
     ろか、どんどん悪くなってきていて、治療
     薬がその患者さんには効かないのか?
     治療薬を変更するべきか?検討していたら
     何ヶ月も飲んでないって言われた」
    まさかや〜!(◎_◎;)(ちむどん観過ぎ^^;
    何で、そんなこと!って思った
    「副作用が辛くて、薬中止したい時は言って
     ほしい!hiromidaさんは勿論、ちゃんと
     言ってくれると信じているけど…。」
    「当たり前ですよ〜!」と私と看護婦さんは  
      同時に言った(・_・;
    後で、色々考えてたら…
    「そっかぁ、副作用が辛くて、勝手に休薬
     して、薬飲んでるフリしてまで、主治医の
     お医者さんに見捨てられたくはなかった
     んだ!治療止めること、治療しないことは
     即ち、医師と患者としての今後の医療は臨
     めないってことになるのか…!?(・_・;?」

    何だか、しんみりしちゃったよ(´;Д;`)

    長い長いレビューをゴメンなさい(>人<;)
    途中からは、すっかり、自分の悩み相談か、医療に対する自分の現状と疑問や思いになってしまったけど…本作を読んでいると、逸れたような話にまで波及しちゃいました。
    本作の主要とされる福原医師、桐子医師のような視点から医療に臨まれている医師達は実際にいると思うし、自分の人生だから当たり前のことなんだろうだけど…
    最終的には「あなたはどうしたいですか?」と選択を委ねられる。
    本当に選択は難しいし、決められない。
    「好き嫌い?」の問いでもないし、
    「やるの?やらないの?」って簡単に決められる問題ではないのだと思う。
    抗がん剤や分子標的薬や治療を続けるか?否か?
    一人では決められないけど、家族の意見を考慮しても最終判断を下すのは自分だ!
    だって、自分の人生なんだもの。
    元気なうちに決めておかねばならぬ問題。
    最初にこのレビューで書いたけど、私はこの本を読んで、やっと自分が目指すべき残りの人生の指針が決まった。
    もし、私と同じように癌という病気に悩んでいる方、確率⁉︎選択⁉︎と戸惑い、残りの人生をどう過ごすか?途方に暮れている方がいらしたら、一度、本作を読んでみられたらどうかしら?って思います。
       余計なお節介だけど…(・_・;

    こんな重い言い方でレビューを終えるのは
    私らしくないので、言っておきます!
    「心配しないで下さい」
    誰も心配してないわ!(^◇^;)笑
    今後も元気にしっこくブクログに下手なレビュー載せていきますんでヨロシクです。◠‿◠。

    • 松子さん
      ひろみ、おはよ(^^)
      最後の医者は…読み終わったよ
      すごく色々と考えさせられる作品だった

      これからレビューをアップするんだけど、ひろみの...
      ひろみ、おはよ(^^)
      最後の医者は…読み終わったよ
      すごく色々と考えさせられる作品だった

      これからレビューをアップするんだけど、ひろみの感想がきっかけで読んだ事と、ひろみの感想の中で心に響いたところをレビューの中で書いても大丈夫かな?
      もし、やめてー!って思ったら、省くので遠慮なく言って下さい(^^) 念のため確認をと思って…
      2022/07/30
    • hiromida2さん
      まっちゃん、こんにちは٩( 'ω' )وピョン!
      全然、大丈夫(^^)v
      何を書いても、自分の本棚の中のレビューなんだもん
      OK!(。•̀◡...
      まっちゃん、こんにちは٩( 'ω' )وピョン!
      全然、大丈夫(^^)v
      何を書いても、自分の本棚の中のレビューなんだもん
      OK!(。•̀◡-)..。☆♪
      何も気にすることなく好きなことレビューしてね(^.^)
      わざわざ、確認ありがとう♡
      2022/07/30
    • 松子さん
      ひろみ、おつかれっ(^^)
      今日も暑かったねぇ

      こちらこそ、ありがとう♪
      感想アップします

      今日図書館に続きを借りに行ったら
      在庫が無く...
      ひろみ、おつかれっ(^^)
      今日も暑かったねぇ

      こちらこそ、ありがとう♪
      感想アップします

      今日図書館に続きを借りに行ったら
      在庫が無くて
      近隣図書館で在庫あるところを調査して
      見つかったら連絡しますだって
      図書館って、すごいねぇ、親切だよねぇ!
      2022/07/30
  • 難病患者と向き合う二人の医師の物語。
    両者は極端に異なる医療方針を有するが、そのそれぞれに完全には否定しづらい信念があり、それゆえにいずれの気持ちにも共感する読者がいることだろうと思う。また、両者の中間に位置する見解を持つ友人医師に救われる者もいるであろう。それゆえに「最善の医療とはなにか」という究極の命題を読者に問いかける作品となっている。
    病気あるいは死への向き合い方を考えさせられる良書である。

  • 地域基幹病院、武蔵野七十字病院に、桐子修司・福原雅和・音山晴夫と言う3人の医者がいた。
    3人は、医大の同期であった。

    福原雅和は、奇跡の手と言われ、最後まで、奇跡を信じ、難病の患者を立て続けに救い、そして、若くして副院長になった。

    桐子修司は、手の施しようのない難病の患者に、治る見込みのない治療を受けるより、真剣にその死と向き合うべきだと、冷めた口調で言う。

    音山晴夫は、患者と一緒に迷い悩む、優しい医者であった。

    福原と桐子は、その医療方法で、対立していた。
    その二人の仲を取り持つ音山。
    彼が、ようやく、良きアイデアを思いついた矢先、大量の血を吐いた。下咽頭癌の発症だった。

    冷静な桐子と、自信満々な福原が、親友の病気を前にして、徐々に変わっていく。

    昨日まで、普通に生活していたのが、いきなり、余命何年とか何ヶ月とか告知されたとき、自分は、冷静でいられるか。
    命の価値はその『長さ』ではなく『使い方』であると、肝に銘じて生きていきたい。

  • もし自分が病気になってしまったらこういう気持ちになるのかな、と感情移入してしまう本。
    患者の気持ちが繊細に描写されていて涙なしでは読めなかった。

  • ★4.5

    あなたの余命は半年です――。
    究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか…?
    それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。
    息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ!

    地域基幹病院・武蔵野七十字病院。
    死期を迎える患者に対して、無理な延命治療よりも「死」を受け入れ、
    残りの日々を大切に生きる道もあると説く。死神と呼ばれる桐子。
    患者の意向を曲げてでも情熱を傾けて治療に全力を尽くし、奇跡を信じ、
    奇跡を起こそうと諦めない副院長の福原。
    患者と共に悩み迷い葛藤し、答えが出せなくてもその苦しさを分かち合う音山。
    大学時代、友人同士だった3人の医師たちの「生」について「死」についての物語。
    患者が残された時間をいかに使うかを共に考える患者と医師たちの生きる物語。

    両極端な医師が敵対するシーンが多くあり、ここまで極端な医師はいないだろうって
    思いましたが、誰も間違っていないし、誰も正解でもない。
    もしかして、一人の医師の心の中に3人がいるのかもしれないなぁって感じた。
    命と向き合うお仕事、本当に大変です。彼らは本当に凄いです!

    何度も何度も病や死について考えさせられました。
    頭ではわかってる。いつどのように病がやってきて日常の歯車から外され、
    病院という大きな中でベルトコンベヤーに乗せられるかもしれない…。
    人は必ずいつか死が訪れる…。
    でもそれは、普段意識してなくって、どこか他人事。
    自分自身は漠然と延命治療したくないなぁって思っていましたが、
    福原の様な医師に熱く説かれると嬉しいだろうし、揺れてしまうんじゃないかな。
    また桐子の様な医師に説かれると、やっぱりそうだなぁって思いそう。
    自分自身の死生観。大切な人の生命に関する決断をする時…。
    しっかりと話し合い考えなくてはいけない。
    でも、いざその時…やっばり揺れるんだろうなぁ(*T^T)

    読みながら、何度も何度も泣けました。
    そして、健康に過ごせている事の有難さも感じました。
    一日一日大切に生きようと思った。

  • 初読みの作家さん。
    日本に帰ってからよく行く書店で、面陳されていた一冊。

    桜の花びらが舞う本の装丁に惹かれ手にしてみると、そのバックはお墓だった。
    そして、このタイトル。
    一度は買わずに帰ったのだが、やっぱり気になって手にした一冊。
    コミックにもなっている。

    医療をテーマにした本は数多ある。
    決して諦めない医者。
    患者に寄り添う医者。
    これまで色々な医者を主人公にした本を読んできた。
    彼らは確固たる信念を持っていた。

    が…
    この本の主人公たちは違う。
    自分が信じる道を突き進んできたつもりだったのに、揺れる。
    悩み、悶え、揺れる。
    それがとても自然に思えた。

    武蔵野七十字病院の皮膚科医、桐子修司。
    患者たちから「死神」と言われる彼は、諦めない、積極的な治療が正しいとは思っていない。
    患者には死を選ぶ権利があるとして、主治医でもないのに、患者と面談をする。

    福原雅和は七十字病院の天才的外科医であり、副院長。
    決して諦めないことが患者のためという信念のもと、技術を磨くことに余念がない。

    そんな二人は大学の同期。
    そして、もう一人の同期、神経内科の音山晴夫。
    二人を理解し、二人の危うさを理解し、手を取り合うことを望む。

    本を開いて、目次でもちょっと衝撃。
    第1章 とある会社員の死
    第2章 とある大学生の死
    第3章 とある医者の死

    読む前から、この患者が最期を迎えることがわかっている。
    何というか、話のスピードよりも、気持ちの方がゆっくりと追いかけていく感じ。
    まさに、自分も悩んでいたんだ…

    1章、2章では、桐子も福原も自分の考えに全く迷いがない。
    正反対の考えを持ち、お互いに受け入れられない。
    しかし、第3章の「とある医者の死」では、迷い、悩む。
    気持ちは揺れて、揺れて、揺れて。

    余命を告げられた時、自分ならどうするか。
    何を望むか。
    真剣に考えさせられた。

    自分と向き合ってくれる医者に望むこと…
    色々あるだろう。
    自信を持って治療してもらえると、頼もしいことに間違いはない。
    だけど…
    自分と一緒に考え、悩んでくれること、答えは出なくても、必要かもしれない。
    人生の終わり方に”正解”を求めるわけではないと思うから。

    「最後の医者は雨上がりの空に君を願う」というタイトルの続編が既刊。
    こちらも読んでみよう。

  • 余命わずかな患者にとって、医師として何をすることができるのか、すべきなのかを問いかける三編の物語。
    医学生時代からの友人同士だった、三人の医師が登場する。

    「死神」とあだ名され、辛く困難な治療を受けさせる事よりも、逃れられない死を受け入れることを勧める医師、桐子。
    対して、病院の副院長で外科医としても一流の腕を持ち、あらゆる手段を尽くすことを理想とする福原。
    そして、かつて友人同士だったふたりが、いつしか治療に対する考え方の違いから仲違いしていることに心を痛める音山。

    急性骨髄性白血病、ALS、そして下咽喉癌。
    壮絶な治療、患者や家族の苦悩がこれでもかというほどに描写され、桐子の考え方も否定しきれない思いにひきずられるが…
    音山の選択は、自分の大切な人を最後まで苦しめることなく生きる、彼にとっての“最善の生”を選択したということだった。
    福原=生、桐子=死、という単純な話ではなく。


    kanegon69さんのレビューを読んで、ずいぶん前からブクログの本棚に並んでいた本。
    二宮敦仁人さん、初読。
    読みやすい明快な文章で、よく出来た作品、という感じ。

    夢と希望に満ちて笑いあっていた三人の医学生たちが、同じ病院で患者と向き合っていた間に、何故こういう考えに至ってしまったのか。
    恩師の楠瀬教授がご存命だったら、表し方は違えど同じように情熱を宿した教え子たちに、何かを教えてくれたのだろうか。
    そんなことを思いつつ、けれど続編を読むのは、体力気力のある時にしよう。

    また、テーマの性質上、患者には死に至ってもらわなくてはならないのだから仕方ないが…
    急性骨髄性白血病もALSも癌も本当に厳しい病気で、作中のように進行することがあるのは否定できないが、これを読んでいた人がもし同じ病名を告知されたら…もう、すぐに桐子の考えに傾いてしまいそうだ。
    けれど、実際には必ずしもそうではない。
    実際に助かった人も、いるのですよ。本当に。

    福原に、単純に奇跡、奇跡と連呼させるだけではなく、いくらかのページを割いて、医学の進歩と現実的な希望も見せてくれたら、と思った。


    他の方も書いていたけれど、『ブラック・ジャック』のDr.キリコと同じ名前を使ったために、脳内映像があの姿になって困った。

  • 終末期医療を自分目線で、どう受け止めるか問いかけてくるような作品だった。
    「あなたの余命〇〇日」
    現役バリバリの今それを突きつけられた時に、どれだけパニックになるかを予習できた。想像力MAX状態で読んでいないと、あっという間に他人事になってしまう。

    ──完全な絶望に突き落とされる方がまだマシだ。希望をちらつかせられるのは辛いんだ。努力や運次第で手の届くところに置かれたものを、取り上げられることの方が辛いんだ─

    この気持ちが痛いほどわかる。
    成功率は70%です。この薬は40%に効き目があります。数字が恐い。私のギャンブル恐怖症も期待値に振り回されるのが嫌だからだ。そこから逃げることは、、諦めや負けになるのか。それとも死を受け入れることになるのか。そこまでの想像はできない。


    同じ終末期医療だと『サイレントボイス』はしっとりしていたが、こちらは白い巨塔みたいな派手なドラマ。どちらも学びはあるが、現実に直面するのがこわい。

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著者プロフィール

1985年、東京生誕。一橋大学経済学部卒。著書は他に「!」「!!」「!!!」「!!!!」「暗黒学校」「最悪彼氏」(ここまですべてアルファポリス)、「占い処・陽仙堂の統計科学」(角川書店)、「一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常」(幻冬舎)などがある。

「2016年 『殺人鬼狩り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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