最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)

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感想 : 330
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864725378

作品紹介・あらすじ

あなたの余命は半年です-ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副医院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは?究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか?それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 難病患者と向き合う二人の医師の物語。
    両者は極端に異なる医療方針を有するが、そのそれぞれに完全には否定しづらい信念があり、それゆえにいずれの気持ちにも共感する読者がいることだろうと思う。また、両者の中間に位置する見解を持つ友人医師に救われる者もいるであろう。それゆえに「最善の医療とはなにか」という究極の命題を読者に問いかける作品となっている。
    病気あるいは死への向き合い方を考えさせられる良書である。

  • ライトな読み口ながら、問題提起はとても重い。
    東京藝大のルポを書いた二宮さんが、こんな小説も書いておられたとは知らなかった。

    武蔵野七十字病院には『死神』と呼ばれる医師がいる。
    桐子は、末期患者に、治療を続ける必要はない、死を敗北にするのもしないのも自分次第だと告げる。

    「僕たち医者は患者を救おうとするあまり、時として病気との戦いを強いるのです。最後まで、ありとあらゆる方法を使って死から遠ざけようとする。患者の家族も、それを望む。だけどそれは、はたして患者が本当に望んでいた生でしょうか?医者や家族の自己満足ではないか?患者が他人の自己満足に巻き込まれ、死に敗北するようなことがあってはなりません」

    「死に振り回されると、往々にして生き方を失います。生き方を失った生は、死に等しいのではないでしょうか。逆に、生き方を維持して死ぬことは、生に等しいとは言えないでしょうか」

    他方で、桐子の同期であり、副院長でもある福原は、患者の命が尽きるまで病と闘い続けることを求め、絶対に最後まで生きること、奇跡が起きることを諦めない熱血漢である。

    死は敗北だと思う福原と、死を敗北にしてはならないという桐子。そして、二人の同期であり、医師としてのあり方に悩む音川。

    読み終わったあと、しみじみと、自分がいかに、死について深く考えず、平均寿命を生きることを前提に漫然と生きているのかを実感した。
    病は誰にでもふりかかる。静かに進行し、突然牙をむくこともある。
    私たちは、どう生きるかより、どれだけ生きるかを医療に求めてきたのだろう。辛いだけの延命以外に、短くとも自分らしい生き方を求めることが当たり前になっていい。どういう治療を求めるかは、自分が残りの生をどのように全うしたいかにつながる。
    しかし、家族が病に倒れたら、その生き方を悩みなくサポートできるかというと…考えてみてもわからない。自分の治療を決めるよりも、ずっとわからないかもしれない。

    治療方針が自分の意に沿わないからといって病室から追い出したり、元同僚なのに誰一人力を貸さなかったり、合鍵一つで手術室勝手に使えたり、どんな病院やねん?と素人ながらに舞台設定に疑問を感じるところだけど、本作は病院内の描写のリアリティは追究されていないのだと思う。
    二人の対極にある医師が、最終話で悩み衝突し、共に力を尽くす。
    続編があるらしいから、是非この二人のその歩みを読んでみたい。

  • ★4.5

    あなたの余命は半年です――。
    究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか…?
    それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。
    息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ!

    地域基幹病院・武蔵野七十字病院。
    死期を迎える患者に対して、無理な延命治療よりも「死」を受け入れ、
    残りの日々を大切に生きる道もあると説く。死神と呼ばれる桐子。
    患者の意向を曲げてでも情熱を傾けて治療に全力を尽くし、奇跡を信じ、
    奇跡を起こそうと諦めない副院長の福原。
    患者と共に悩み迷い葛藤し、答えが出せなくてもその苦しさを分かち合う音山。
    大学時代、友人同士だった3人の医師たちの「生」について「死」についての物語。
    患者が残された時間をいかに使うかを共に考える患者と医師たちの生きる物語。

    両極端な医師が敵対するシーンが多くあり、ここまで極端な医師はいないだろうって
    思いましたが、誰も間違っていないし、誰も正解でもない。
    もしかして、一人の医師の心の中に3人がいるのかもしれないなぁって感じた。
    命と向き合うお仕事、本当に大変です。彼らは本当に凄いです!

    何度も何度も病や死について考えさせられました。
    頭ではわかってる。いつどのように病がやってきて日常の歯車から外され、
    病院という大きな中でベルトコンベヤーに乗せられるかもしれない…。
    人は必ずいつか死が訪れる…。
    でもそれは、普段意識してなくって、どこか他人事。
    自分自身は漠然と延命治療したくないなぁって思っていましたが、
    福原の様な医師に熱く説かれると嬉しいだろうし、揺れてしまうんじゃないかな。
    また桐子の様な医師に説かれると、やっぱりそうだなぁって思いそう。
    自分自身の死生観。大切な人の生命に関する決断をする時…。
    しっかりと話し合い考えなくてはいけない。
    でも、いざその時…やっばり揺れるんだろうなぁ(*T^T)

    読みながら、何度も何度も泣けました。
    そして、健康に過ごせている事の有難さも感じました。
    一日一日大切に生きようと思った。

  • 余命わずかな患者にとって、医師として何をすることができるのか、すべきなのかを問いかける三編の物語。
    医学生時代からの友人同士だった、三人の医師が登場する。

    「死神」とあだ名され、辛く困難な治療を受けさせる事よりも、逃れられない死を受け入れることを勧める医師、桐子。
    対して、病院の副院長で外科医としても一流の腕を持ち、あらゆる手段を尽くすことを理想とする福原。
    そして、かつて友人同士だったふたりが、いつしか治療に対する考え方の違いから仲違いしていることに心を痛める音山。

    急性骨髄性白血病、ALS、そして下咽喉癌。
    壮絶な治療、患者や家族の苦悩がこれでもかというほどに描写され、桐子の考え方も否定しきれない思いにひきずられるが…
    音山の選択は、自分の大切な人を最後まで苦しめることなく生きる、彼にとっての“最善の生”を選択したということだった。
    福原=生、桐子=死、という単純な話ではなく。


    kanegon69さんのレビューを読んで、ずいぶん前からブクログの本棚に並んでいた本。
    二宮敦仁人さん、初読。
    読みやすい明快な文章で、よく出来た作品、という感じ。

    夢と希望に満ちて笑いあっていた三人の医学生たちが、同じ病院で患者と向き合っていた間に、何故こういう考えに至ってしまったのか。
    恩師の楠瀬教授がご存命だったら、表し方は違えど同じように情熱を宿した教え子たちに、何かを教えてくれたのだろうか。
    そんなことを思いつつ、けれど続編を読むのは、体力気力のある時にしよう。

    また、テーマの性質上、患者には死に至ってもらわなくてはならないのだから仕方ないが…
    急性骨髄性白血病もALSも癌も本当に厳しい病気で、作中のように進行することがあるのは否定できないが、これを読んでいた人がもし同じ病名を告知されたら…もう、すぐに桐子の考えに傾いてしまいそうだ。
    けれど、実際には必ずしもそうではない。
    実際に助かった人も、いるのですよ。本当に。

    福原に、単純に奇跡、奇跡と連呼させるだけではなく、いくらかのページを割いて、医学の進歩と現実的な希望も見せてくれたら、と思った。


    他の方も書いていたけれど、『ブラック・ジャック』のDr.キリコと同じ名前を使ったために、脳内映像があの姿になって困った。

  • 4.2
    面白かった。
    登場人物が極端に少なくて読みやすい。
    桐子は周りには理解されなくても、とても患者思いで、ただ観点や大切なことが他の人とは違っていて
    、でも患者が桐子の意見を受け入れるということは誰よりも患者の気持ちが分かっていて、患者の立場に立てていると言うことかもしれない、と思いながら読むととてもいい気持ちに感じることが出来ました。

  • 二宮さんのホラーが好きで…あまりにも違う系統なのでびっくりしました。
    キャラが立っていてとても読みやすいです。しかしそういうところがラノベ風味になるとこほでもあります。
    どの話も泣いてしまいました。1つしかない命に誰にも平等に死が訪れる。
    どのような死が幸せな死なのか?と考えた時に自身が納得して死んでいけるそんな境地になれる事が大切なのかなと思いました。
    もちろん先が気になって続編を購入しました。

  • 初読みの作家さん。
    日本に帰ってから良く行く書店で、面陳されていた一冊。

    桜の花びらが舞う本の装丁に惹かれ手にしてみると、そのバックはお墓だった。
    そして、このタイトル。
    一度は買わずに帰ったのだが、やっぱり気になって手にした一冊。
    コミックにもなっている。

    医療をテーマにした本は数多ある。
    決して諦めない医者。
    患者に寄り添う医者。
    これまで色々な医者を主人公にした本を読んできた。
    彼らは確固たる信念を持っていた。

    が…
    この本の主人公たちは違う。
    自分が信じる道を突き進んできたつもりだったのに、揺れる。
    悩み、悶え、揺れる。
    それがとても自然に思えた。

    武蔵野七十字病院の皮膚科医、桐子修司。
    患者たちから「死神」と言われる彼は、諦めない、積極的な治療が正しいとは思っていない。
    患者には死を選ぶ権利があるとして、主治医でもないのに、患者と面談をする。

    福原雅和は七十字病院の天才的外科医であり、副院長。
    決して諦めないことが患者のためという信念のもと、技術を磨くことに余念がない。

    そんな二人は大学の同期。
    そして、もう一人の同期、神経内科の音山晴夫。
    二人を理解し、二人の危うさ理解し、手を取り合うことを望む。

    本を開いて、目次でもちょっと衝撃。
    第1章 とある会社員の死
    第2章 とある大学生の死
    第3章 とある医者の死

    読む前から、この患者が最期を迎えることがわかっている。
    何というか、話のスピードよりも、気持ちの方がゆっくりと追いかけていく感じ。
    まさに、自分も悩んでいたんだ…

    1章、2章では、桐子も福原も自分の考えに全く迷いがない。
    正反対の考えを持ち、お互いに受け入れられない。
    しかし、第3章の「とある医者の死」では、迷い、悩む。
    気持ちは揺れて、揺れて、揺れて。

    余命を告げられた時、自分ならどうするか。
    何を望むか。
    真剣に考えさせられた。

    自分と向き合ってくれる医者に望むこと…
    色々あるだろう。
    自信を持って治療してもらえると、頼もしいことに間違いはない。
    だけど…
    自分と一緒に考え、悩んでくれること、答えは出なくても、必要かもしれない。
    人生の終わり方に”正解”を求めるわけではないと思うから。

    「最期の医者は雨上がりの空に君を願う」というタイトルの続編が既刊。
    こちらも読んでみよう。

  • ドラマを見てなんとなくしか想像出来なかった医療の世界。生と死と向き合う医者、患者のリアルなストーリーだけれど、不思議と読了後は暗い気持ちにならずに綺麗な気持ちのままでいられるところが著者ならではの筆致なんだと思う。
    医療に関する小説をほとんど初めて読んでみて、自分の知らない世界を擬似体験できたような錯覚。

    表紙のデザインもとても好き。

    音山の、同期2人に対する思いや葛藤、自分なりの役割を見つけ出したところに強く共感。勇気づけられる言葉だった。


    「心配してばかりの自分と、どこか悟ったように現状を受け入れている雄吾。いつのまにか不安定な側と、支える側とか逆転してしまった。あの日からだ。移植を決断した日から。」

    「二人は音山よりも優秀で、今なお尊敬に値する友人だと思っている。だが、それでも…二人は強過ぎる。人としてその身に備えた何かが強過ぎて、弱い、苦しんでいる誰かの心に噛み合わない。」

    「なあ、俺たちの娘…偉いな。頑張ってるな。凄いな…」

  • 私の死生観にあったお話。
    死神の言わんとすることはよくわかります。
    尊厳を持っていのちを全うしたいものです。

    しかし、、この本の
    「息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!」とか
    「大反響!感動小節第一位!」とか
    いうオビは要らん。。。

    ドラマならより良いのかもしれません。
    本だと表現がやや浅い感じがします。

  • またステキな一冊に出会えました。

    ステキな一冊と書きながらも、内容はある意味で非常に重い。

    武蔵野七十字病院を舞台に3人の患者の死をテーマにし、そこで「死」に戦いを挑む(生きる事に執着する)天才外科医であり、七十字病院副院長である福原と、患者には「死」を選ぶ権利があると主張する皮膚科医の桐子のW主演作。

    「死」に抗う福原と、「死」を受け入れる桐子。

    意見が対立する医学部時代からの2人はそれぞれの信念で患者と向き合ってきた。

    そんな水と油のような2人とその間でなんとか2人を中和させようとする同じ医学部時代からの同期の音山。

    音山の癌をきっかけに水と油の2人が共にお互いを必要とし、お互いの足りないところを補完し合い、友人である音山の「死」に向き合う。

    スーパーDr.が神の手で患者を救う物語でも、未熟なDr.が成長していく物語でもなく、いかに生き、いかに死ぬかの物語。

    人は目の前の「死」に立ち向かう勇気を持ったときに「生」を実感出来る。


    説明
    内容紹介
    ★映画化企画進行中! ★

    シリーズ累計40万部突破!
    本読み書店員が選ぶ「感動小説」第1位!
    自分の余命を知った時、あなたならどうしますか?
    死を肯定する医者×生に賭ける医者
    対立する二人の医者と患者の最後の日々――
    衝撃と感動の医療ドラマ!


    【あらすじ】

    あなたの余命は半年です――ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは? 究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか? それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生! <文庫書き下ろし>

    <全国の書店員様からのおすすめコメント>

    とてもとても重い作品で、死ぬ事について何度も何度も考えさせられました。その中で最後の最後に一粒だけ用意されていた小さな希望に私は自然に涙を流していました。
    (TSUTAYA 三軒茶屋店 栗俣様)

    「あなたは大切な人の余命を知った時、どうしますか?」対立する2人の医者を通して命の重さを考えさせられました。
    (紀伊國屋書店 新宿本店 宮本様)

    医者達が織りなす「生」についての物語は考えさせられる部分が多く、ラストは涙が止まりませんでした。
    (オリオン書房 ノルテ店 澤村様)

    著者の集大成的なこの作品は涙がこぼれる場面が多々ありますので通勤・通学中に読まれる場合はご注意ください。
    (福岡金文堂 姪浜南店 林田様)

    医師達の「本気」が文字から浮かびあがってくるようでした。彼らは本当に、強い。人間賛歌とはこのような作品のことを指すのではないでしょうか。
    (宮脇書店 本店 藤村様)

    死の恐怖が安らぎと受容に変わったとき、本当に生きる意味とは何なのか、迷いながらも最後まで戦い抜いた患者、医師達に涙があふれました。
    (伊吉書院 類家店 上道様)

    「死」を透かして見えてくる「生きる」ことの真の意味。死が怖れから安らぎに変わる瞬間をあなたは知るでしょう。
    (東郷倶楽部 代表 医師 東郷清児)
    内容(「BOOK」データベースより)
    あなたの余命は半年です―ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副医院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは?究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか?それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!
    著者について
    ●二宮敦人(にのみや・あつと)
    1985年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。累計20万部を突破した『! (ビックリマーク)』等、次々に新作を発表する注目の新世代作家。著書に『18禁日記』『郵便配達人シリーズ』『最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常』『なくし物をお探しの方は二番線へ』『廃校の博物館 Dr,片倉の生物学入門』等がある。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    二宮/敦人
    1985年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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著者プロフィール

一九八五年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。二〇〇九年に『!(ビックリマーク)』でデビュー後、『一番線に謎が到着します』『裏世界旅行』『最後の医者は桜を見上げて君を想う』など、癒し系ミステリーからホラーまで幅広く小説を執筆。一方で、初ノンフィクション作品『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』 がベストセラーとなり、以後、本書や『紳士と淑女のコロシアム 「競技ダンス」へようこそ』などでも評判に。

「2021年 『世にも美しき数学者たちの日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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