『takram design engineering|デザイン・イノベーションの振り子』 (現代建築家コンセプト・シリーズ18)

  • LIXIL出版
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864800129

感想・レビュー・書評

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  • デザイナーにも非デザイナー(orデザイン知識の浅い人)にも絶対に全て伝達してやるぞという意思が感じられて素晴らしい。takramの考え方については結構勉強済みなつもりなので、まずはこれを美術系の内輪で終わらせない、情報伝達への情熱に感動した。

    単に振り子の例えが好き。私は正直これらのデザインは振り子というより「entanglements」だと捉えているので、完全に賛同しているとは言えないけど、ゆるくて抽象的なコンセプトだった考えが最終的に一つのデザインとして完成する行程をとてもよく表現できていると思うので好き。

    ただ、「振り子」の例えはあくまで「デザインとエンジニアリングは2つの離れた違う分野」と捉える前提の上で成り立ってるから、「新しいデザインは分野と分野の間の空白に生まれる…」とかなんとか話してた田川さんの考えに反する気が。

    時折、「思考は人類にだけ許されたウンタラ…(優勢思想)」「ビジネス・クリテイティビティ・テクノロジー(分野のカテゴライズ化)」とか、ちょっと時代錯誤的な表現がそのままになってるのが気になる。田川さんほどの人でも、ビジネスの波に揉まれるとこういう言葉遣いになってしまうのか…?

    takramのデザイン思考について非常によくまとめられた素晴らしい本だけど、どうしてもそこが引っかかって星5がつけられなかった。

  • 問い・コンセプト・プロトタイプという抽象度の異なるレベルに対するTakram流アプローチが綴られている。具体的には、Problem Solving(問題↔解決)、Storyweaving(具体↔抽象)、Prototyping(作る↔考える)が挙げられており、何かと何かの間を連続的に変化させて思考・実験する振り子的なアプローチである。これらの取り組み自体がプロトタイプ的であり、今も進化し続けているだろう。いつかアップデート版が出ることを期待したい。

  • 断片的に見聞きしてたTakramのデザインプロセスを俯瞰して把握できた。
    作品とコンセプトを試行錯誤しながら問いの精度を上げてく、一人の作家が無意識的にやっていそうなプロセスを、言葉に体系化することでチームとして活用できる形にしている。

  • 思考のフレームとして具体的に実践可能

  • デザインイノベーションに関して書かれた良著。
    振り子という概念、二軸を持つという概念がおもしろかった。ダンスでも上の意識としたの意識があって初めて芯が通るという話があるが、それと通じるものを感じた。両極を併せ持つことで軸と独自性が生まれる。

    <メモ>
    ・何かを生み出す行為には、多数の専門性を有機的に組み合わせるプロセスが必要となっている。時代はそれぞれの要素を個別に扱うのでなく、統合的に複雑なものを複雑なままに扱い、それらを織り上げ、繋ぎこむことを要求している。
    ・2つの思考領域を行き来する振り子をつねに揺らしている。問題を少なくとも2つの切り口からみる。部分と全体、固体と群、具体と抽象、大小、遠近、主観と客観、虫の目と鳥の目、一つの枠組みにとらわれず、対局、逆、別の視点をもっていたい。
    ・二項対立でなく、相互刺激を生み出したい、。
    ・具体的な方法論3つ
    「プロトタイピング」つくることと考えることの間で揺れる振り子。仮説と現実の乖離を肌で感じていくもの
    「ストーリーウィービング」具体と抽象の間で揺れる振り子。プロトタイピングとコンセプトメイキングが相互に刺激を与えられる状態を作り出す。どちらかが先行するとプロセスが固定化する。時と必要に応じてプロセスの逆戻りをも前向きに捉えること
    「プロブレムリフレーミング」問いと答えの間で揺れる振り子。問いに対する答えをえて、問いを問い直す。
    ・この世に存在しない画期的な製品・サービスであるほど、過去の経験から判断するのは困難。できるだけ早い段階で具体的に体験できるプロトタイプをつくることで、ステークホルダーに伝え、共有することができる。
    プロトタイピングは暗闇の中で手触りのあるものをポンと投げて、そこで音がしたらあそこに水があるとわかることや、別でコーンというとあそこはガラスのゆかかなとわかるように、仮説を投げ続けることで、自分の周辺に広がっているコンテクストが現実味を帯びてくるようなソナーのような役割を果たす。
    ・問いを動かす。問いを絶対的でうごかせないものとしてではなく、逆に積極的に動かした方がよいものと考えられないか。解答を得る際のエネルギーを問いの洗練に費やせないか。思考の境界線も固定のものでなく可変なものとして捉えられないか。飛躍の余地を見出し、予定調和の進行から大胆に抜け出せないか。
    ・プログラムリフレーミング 問いの精度をあげること。反復的なプロセスであること。越境性を包含すること、超越性を包含すること、。
    越境性は専門性の間の往来を表現したもの。水平性をイメージさせる言葉。
    垂直に捉えるものが超越性。自分のスケールより大きな問いを視野に入れるもの。俯瞰する感覚。ヒエラルキーからの超越、時間軸からの超越、空間的制約からの超越など。

  • エンジニアリングだけでなく、他の専門領域との振り子でも同じ話が出来る。これからはこういう人間が必要とされてくるんだろう。時々読み返したい。

  • 再読。

  • takramによるデザイン・エンジニアリングのお作法についての解説本。プロダクトデザイン(ものづくり)だけでなく、コンセプトデザイン(ものがたり)も重視し、両者を往復するデザインの振り子原理は面白い。顧客のフィードバックを十分に獲得できない(しない)プロトタイプの過ちは身近によくあるかも。課題の再設定を行うことや「問い」と「答え」の往復など、今後に生かしたい知恵がいっぱい。

  • 具体のプロダクトにしても、サービスやシステムといったソフトに類するものにしても、それらの概念を生み出していくプロセスの中で有益な議論、コミュニケーションを積み重ねていくことは難しい。

    抽象的な議論に終始したり、議論が噛み合わないままこう着したりといったことが多くある。

    そういった状況を乗り越えるためのいろいろな手法が盛り込まれている本だった。

    特に、様々なタイプのプロトタイプとその特長が分かりやすく整理されている点、「答えの質は問いの質に左右される」という指摘などが印象に残った。

  • プレゼンの参考になりました。手元に置いておくか検討中

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