もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために

著者 :
  • 幻戯書房
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864881319

感想・レビュー・書評

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  • 18/02/07。

  •  あっさりと棄て、なきものにし、忘れ去ろうとしたものは再帰する。なぜなら成就したものはめざされたものではないから。関係の世界を根拠づけ得ない内在の思想。ねじれ。佐幕対勤皇は勤皇へとねじれて攘夷対開国へと辷り、さらに開国へとねじれて国権対民権へと辷った。あっさりと棄て、なきものにし、忘れ去ろうとしたものは再帰する、劣化の度合いを強めて。

    『国に勢いのあるときはよい。しかし、国が衰退するときは、たとえ理性で判断すれば勝算がなく、ダメだとわかっても最後まで力の限りを尽くし、最後、和を講じるか死を決めるか、というギリギリまでを持ちこたえるこの最後の頑張りがカギになる。この理性判断と不合理な思い入れの「広大な中間地帯」で、羽根を広げ、相剋の劇が展開される結果(結果?──引用者)が「瘠我慢」となる。この「瘠我慢」たる私情の発現に場を与えることこそが、弱者たることを含んだ自己の覚悟には必要で、それがあって小国は小国のままによくその「独立」を維持できる。』33頁

  • 東2法経図・開架 304A/Ka86m//K

  • 『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』
    加藤典洋

    われわれの内なる危険領域へ踏み入る
    2018年、明治150年、そして天皇退位……。新たな時代の予感と政治経済の後退期のはざまで、今、考えるべきこととは何か。失われた思想の可能性と未来像を探る批評集。

    ◎定価:本体2600円+税 ◎四六上製 ◎刊行日:2017年9月
    http://www.genki-shobou.co.jp


    【簡易目次】
    1 二一世紀日本の歴史感覚
    (もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために――丸山眞男と戦後の終わり;三〇〇年のものさし―― 二一世紀の日本に必要な「歴史感覚」とは何か)
    2 スロー・ラーナーの呼吸法
    (ヒト、人に会う――鶴見俊輔と私;書くことと生きること ほか)
    3 「破れ目」のなかで
    (矛盾と明るさ――文学、このわけのわからないもの;戦争体験と「破れ目」――ヤスパースと日本の平和思想のあいだ ほか)
    4 明治一五〇年の先へ
    (上野の想像力;八月の二人の天皇 ほか)

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著者プロフィール

加藤典洋(かとう・のりひろ)
1948年、山形県生まれ。文芸評論家。早稲田大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒。『言語表現法講義』(岩波書店)で新潮学芸賞、『敗戦後論』(講談社/ちくま学芸文庫)で伊藤整文学賞、『テクストから遠く離れて』(講談社)と『小説の未来』(朝日新聞出版)で桑原武夫学芸賞を受賞。『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』(幻戯書房)、『敗者の想像力』(集英社新書)、『戦後入門』(ちくま新書)など著書多数。

「2018年 『白井晟一の原爆堂 四つの対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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