- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864881418
感想・レビュー・書評
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1973年に起きた、大学教授による女子学生暴行事件(とされたもの)について、事件当時若手記者として取材した著者が、45年を経て真相に迫ったノンフィクションである。
本書は2018年刊で、22年に『そして陰謀が教授を潰した』と改題して文庫化された。
まあ確かに、『老いぼれ記者魂』というタイトルはいかがなものかと思わなくもないが(w)、読んでみれば内容にピッタリではあるのだ。
多くの人が忘れかけた古い事件を追い続ける著者の執念に、感服つかまつった。
大学内の権力闘争や、のちの「地上げの帝王」の暗躍などが事件の背後にからみ、真相は面妖だ。
単なるハニートラップ、もしくは美人局のようでいて、そうとも言い切れない。
著者の取材行から垣間見える“被害者”A・T子(著者は最後に本人にたどり着く)の人間像は、複雑な多面体のようだ。
終盤で著者が提示する結論には、十分得心がいった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
青山学院大学内部の教授による強姦事件を筆者が調査。被害女性への電話インタビューまで実施。留学か就職を狙う女子学生、彼女を愛人にしていた早坂太三、敵対する教授を追放したい勢力が三つ巴で1人の教授に接近し奇怪な冤罪事件が起きたとわかる。警察の誰か指示されているかのような捜査や歪な裁判なども恐ろしい。
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ジャーナリストの執念と矜持を感じさせるノンフィクション。かつて取材した事件にこだわり、納得するまで調べ上げる記者魂に心を揺さぶられた。私もかくありたいと思う。
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まだセクハラ、アカハラという言葉もなかった1973年に青山学院大学を舞台に起きた女子大生暴行事件。逮捕・起訴された春木猛教授は有罪判決され社会的に全てを失っても死ぬまで自らの潔白を訴えていた。本書の出版は謎めいた事件背景を40年ちかく断続的に追いかけてきた元記者の人生最後の締めくくりともいうべき仕事である。