- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864881494
作品紹介・あらすじ
女子中学生・ユキコさんが探偵役として活躍する表題連作ほか、日常の謎あり、スリラーあり、ハードボイルドありと、多彩な推理が冴え渡る。名作『黒いハンカチ』(1958)以来60年ぶりとなるミステリ作品集(巻末エッセイ・北村薫)
感想・レビュー・書評
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小沼丹生誕百年記念で刊行された少年少女小説の推理編。表題作シリーズ5作を含む15作が収録されている。
日常の謎、にしては容赦ない事件も描かれるが、少年少女が謎をといては、深入りせず、あっさり通り過ぎていく。この屈託のなさは時代だろうかと思いつつ読み終えて、解説の北村薫が書く「感情とのこの距離感」という言葉にああと膝を打った。
不思議に魅力的な風を感じる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
50~60年代にジュニア誌に発表された、全集未収録の作品。生誕百年記念刊行。
あの時代ならではのあっけらかんとしてはいるものかなり物騒な事件がてんこ盛りで(これジュニア誌だったのよね…?と最近の基準で考えるとビックリするような…)、犯行の動機も探偵の行動もかなりブラックです。だがそこが面白い。
別荘地を舞台にした短篇達は堀辰雄っぽくもあり、美しさと恋心と感傷が根底に流れるこれまた良作でした。素敵。
そして巻末エッセイの北村薫先生が全て語ってくれていて、これ以上感想に書けることがないですわ…見事なエッセイでした。 -
中学生が事件の謎を解く探偵ものが中心の短編集。この子達の健康診断の結果は全員Aなんでしょうね…という健やかさで、楽しく読んだ。
ふつうの人がけっこう簡単に悪事をはたらくんだけど、それがばれてもがっつり制裁されない点、探偵さんたちの在りように比べて事件の中身がわりと爽やかではないところに時代を感じるし、そこがおもしろポイントのひとつ。誘拐とか怪事件が多かった時代の、少し前の日本の柄の悪さ。猫が好きな人は、本書を小沼丹の最初に一冊にしないようお願いします。
本書も別荘ものがいくつか収録されていて、読むだけで転地効果があった。涼しくてひと気がなくて時間が余っていて、そこでしか会えない人たちがいる。憧れる。
著者プロフィール
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