僕たちはガンダムのジムである

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  • ヴィレッジブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864910125

作品紹介・あらすじ

本書は『機動戦士ガンダム』の量産型MSジムから、僕たち普通のサラリーマンの、これからの働き方について考える本である。アニメ『機動戦士ガンダム』というのは、僕たちが生きてきた企業社会の縮図である。僕たちは、「ガンダム」に登場するジムのようなものであるということに。そう、ガンダムではなく、ジムなのだ。装甲が弱く装備も貧弱。いつもやられる-。

感想・レビュー・書評

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  • ビジネスパーソンの大多数は「普通の」人であって、独立して凄い会社を立ち上げられるわけでもないし、ノマドと称して自由っぽい働き方が出来る訳でも無い。
    でも、そんな普通の人が会社を動かし、社会を動かす存在なのだ、決して少数のカリスマが世界を握っているのではない、という常見氏の仕事に対する見方がエッセンスとして凝縮されている。
    (ジョブズがいくら閃いたって、実際にアクションするのは社員たちだ。)

    他にも著作はあるのだが、この本が最も根源的なテーマを扱っている様に思え、一番読み応えのある本だと思う。
    逆に言うと、他の著作はこの本のエッセンスから波及した枝葉的なトピックが多いので、この本を読んだらあとは参考程度に、という感じか。

    ヘンに「意識高い系」を意識して、「自分は普通の枠から飛び出さなければいけない!」などと脅迫的に思い込まされた結果、自己啓発に取り組んだりするくらいなら、一歩引いて冷静に淡々と普通であることを肯定的に受け止め、やれる範囲でやる事をやる、そんな感覚がいいのだろう。

    就職前に読めたらよかったと思う一冊でもある。

  • そうそう,ガンダムになりたくなっちゃうんだよね。きら星のように輝く同業者を見ると特に。でもふと考えてみると,ガンダムになりたいのとも少し違って,ガンダムがやっていることを自分もやりたい,ということだったりする。そうすると,一人じゃできないからチームでやる。そうするとできることがたくさんある。そうやって仕事をしているわけですね。
    しかし,この著者も「自分はジム」といいながら,こんな本を出せているなら「ガンダム」じゃないの?と思うけど,きっと上に行っている人にももっと先の世界があるんだよね。そこが苦しくて楽しいところかも。
    とりあえず,私はガンダムじゃなくて,ハロを目指しますか。

    ・・・ちょっと追記。たしかに、最近の教育だったり、世の中の風潮だったりが「あれもこれもできなくちゃ」と脅迫的なのは気になる。かと思えば「そんなにがんばらなくてもいいよ」という方向に振れすぎたり。がんばりすぎてくたびれて、何もできなくなってしまう人を増産している気がして、そういう意味ではジムだと自覚する(?)ことで健全になっていくのかもね。いつからこういう感じなのかなあ。完璧で能力が高い人しか生き延びられない、と思わせられる世の中は、息苦しいよ。

  • タイトル落ち。ちゃんと読んでないけど愚痴ばっか。

  • ## 感想
    社会が量産型の人材を生み出す仕組みについては共感。ジムであることに絶望せずに生きる方針もしっくりきた。
    ただし、著者の価値観に「役職・年収が上がることがそのまま正」という部分を感じ、「地に足をつけてジムとしての幸せを」と説く部分と矛盾を感じてしまった。
    また前半でジム型人材が置かれる環境の負の部分を提示しておきながら、帰結が「頼まれたことをやる」となっており、なんの解決になっていないのも気になった。
    したくないことをしなきゃならずに失敗するのは、それ一本に頼りすぎているからでは?とも思う。
    「やりたいことを見つけなきゃ」に縛られる必要がないことには同意だが、根本的に燻り続ける理不尽や不満を抑えるものは提示されておらず、対処療法的な印象。
    痛みを和らげることができても、痛みが必ずあることを受け入れる前提で、本当にそれしかないのかは甚だ疑問に思った。

    世の大半がジムならば、ジムがその理不尽な環境を変えようと思わない限り、ジムが蹂躙され続ける事実は変わらないのでは?とも思う。


    ## 実践・参考にしたい
    - 自分がジムであることを自覚し、地に足がついた幸せを探す
    - ジムであることを卑下しない
    - 新しい働き方のブームに振り回されない
    - 夢を諦める期日を設定
    - 人格の好き嫌いと言動の好き嫌いを分けて考える
    - 帰れるところを作る
    - 等身大の人から刺激を受ける

    ## 残ったフレーズ
    - 常に曖昧な不安を抱き続けるジム人材
    - 学校は歯車工場
     - 教えられるのは「答えがありそれを覚える勉強」、その先で求められるのは「自ら問いを立て解を導き出す勉強」
     - 特別であるために上位校を目指し、自分がガンダム(特別)である幻想を抱く
    - 企業の求める人物像に自分を合わせる学生たち
     - 学生に演技を強要する
     - 内定者は特別だと勘違い
     - 「カッコをつけたお見合い」
     - 就活で聞くのは「やりたいこと」だが、入ってやるのは「やらなければならないこと」
    - 会社員生活によるジム化
     - 気付けば考え方が企業の基準に
    - スゴイ人にならなければいけない病
    - ノマドワーカーもかつてのフリーターと同じ帰結に至る可能性
    - キャリアにはアップもダウンもない…全て等しい轍、結果論でしかない
    - 自分探し、自分磨きの終着点はどこ?
    - 自由の追求は、必ずしも幸せをもたらさない

  • ガンダムのジムの焦点を当てて、組織論やら処世術のようなのことを説いている。
    出版から10年近くたち、状況は多少変わってきているとはいえ、本質的な部分は変わっていないのではないかと思います。
    ガンダムの例えとか、歌詞の引用とかは、同年代には刺さりますね。

  • ガンダムの世界観を現代社会の働き方に当てはめたら、ピタッとはまってる。
    それをちょっと学術的に書いている本
    それだけ奥深い本。

    武器というのは、自分で磨くものであるが気づくものでもある。p154

    ガンダムにはなれなくても
    ジムカスタムやネモぐらいにはなりたいと思います。

  • 前半は良くあるロスじぇね世代向け自己啓発書だったけれど、後半になるとマグネティック・コーティングを施したのかニュータイプに覚醒したのか、キレキレにドライブしていったなぁ。

    「ガンダム」は現代起業の縮図であり、世の中は1%の凄い人(ガンダム)ではなく99%のその他大勢が動かしている・・・というのが著者の主張。そこで「君は生き延びることができるか」と問われているのであり、生き延びる方法を模索しよう、という本。

    <blockquote>絶対数で言うならば、そこでは描かれていない、無数のジム対座区によって戦争は進んでいったはずである(P.105)</blockquote>
    ガンダムってアニメ史的にはそういう普通の戦いをはじめてちゃんと描いたから評価されてんじゃないの? と思いつつ、「ホワイトベース」は新卒一括採用、OJT研修、ブライトがアムロをなぐったのはパワハラ、しかし、ブライトもまた悩める中間管理職(しかも劇中設定年齢19歳!)とサクサクとガンダムに喩えて、現代の労働問題を解きほぐす。

    <blockquote>自己分析という手法によって、いかにして主体的な人間であり、目標設定遂行の能力がある人間であるかを立証することが就活のなかに内包されるようになっていった。(P.75)</blockquote>
    多くの人はそうではないのに自分は主人公であるという錯覚が受験や就活のエントリーシート、面接によって醸成されていく。企業もそこに漬け込み"洗脳"しあたかもガンダムであると(グローバル人材だとか意識高いだとか)思い込ませる。錯覚した"ジム"は頑張る自分に酔いしれ、酷使され潰れていく。これがいまファースト・リディングやワタミといった豚が経営する会社で起こっていることだと思う。

    <blockquote>ジムに期待されるのは、ガンダムやホワイト・ベースを援護しつつ勝つこと。
    (仕事とは)自分に期待されていること、特異なこと、楽勝で成果を出せることで勝負することである。(P.125)</blockquote>
    "ジム"であるのに"ガンダム"になれと、せめてカスタム・タイプの(ジョニー・麗伝承さモデルとか)になれと「キャリア・アップ」の洗脳を企業は、市場は仕掛けてくる。労働とは食い扶持を稼ぐことが第一義であり、それを効率的にするために「成長」があるはずなのに、プライオリティーが逆になってしまっている。

    <blockquote>頼まれた仕事は天職(P.127)</blockquote>

    <blockquote>仕事というのは、ほとんどは「やらなければならないこと」なのだから、基本的に公卿プレイだ。だから、楽しむというスタンスが大事なのである。(P.133)</blockquote>
    <blockquote>「評価」と評判は違う。「評価」は主に業績にたいするものであり、会社が評価した物だ。「評判」は、周りの人がその人について感じていることだ。意外にもこの「評判」というものが会社生活ではモノを言う。(P.137)</blockquote>
    <blockquote>世の中は仕組まれた自由と、包帯のようなウソで出来ている。「デキる人」に騙されないようにしよう。かれらはたつぃかに普通以上の力があるのだろうが、とはいえ、演出されている部分も大きいからだ(P.144)</blockquote>
    →シャアがザクを赤く塗ったのも"演出"よね。「赤い彗星」という綽名を名乗ることによって、戦意を喪失させていった。

    "ジム"が生き延びるためには戦略を企むことが必要だ。例のウサギと亀のレース、無策で愚鈍に挑んだ亀は所詮は動物なのである。戦略とは自分にとって有利に物事を進められるポジションを見つけること。ポジションの違いを作り出すこと。つまり「自分が戦う環境を選ぶ・作る」ことが大事なのだ。

    例えば自分がアッガイだったら水中船に持ち込む。ボールだったら物陰に隠れて、銃口を向ける。自分の居場所を作る。自分の土俵で勝負する。

  • 就活の神さまによる自己啓発やノマド信仰に対する警鐘。すでに次の新刊『「意識高い系」という病』が出ているけど、周回遅れで本書を読む。ある意味、会社員道の本と言える。ホワイトベースを会社に、乗組員を会社員にたとえることによって、ガンダムのようなスーパーヒーローではなく、地味で量産型のジムこそが会社を支えていることを解き、会社員の生き方を提示する。

    常見氏のサラリーマン時代(ジム時代)の話がもう少し盛り込まれているとよかったのではないだろうか?

    <登場するガンダムのシーンの説明で、会社員道に結び付けられているもの>
    ・やらされた仕事を通して彼らは一人前になっていく。
    ・度重なる厳しい戦いに疲れてしまったアムロ(うつになるアムロ)
    ・3分で9機のリックドムを失うコンスコン艦長(ダメ上司の例)
    ・名もなき兵士が乗ったジム対ザクのバトルシーン
    ・ランバ・ラルという名シーン。「モビルスーツの性能のおかげ」=「大企業に入社したおかげ」
    ・ガルマの死の後、左遷されるシャア
    ・連携して戦うジム。チームワークのたとえ。


    <目次>
    はじめに
    第一章 僕たちの「戦場」は今、どうなっているのか?
    第二章 僕たちはこうしてジムになる。
    第三章 僕たちジムのための人生戦略

    <僕たちがジムになる理由>
    1 学校教育と受験戦争
    2 就活
    3 会社員という日々

    『大卒就職の社会学』・・・就活の変遷を分析。企業が学生に「自己分析」を強いていったのか?

    <僕たちジムのための人生戦略>
    自分の存在価値を再確認:『フォレスト・ガンプ』
    期待されていること、できることで仕事をする
    職場にいるジム型人材に学べ:日本の会社にジョブズは必要か?
    『戦記』を書く:自分10大ニュース
    自分の人生戦略を考える:自分のポジショニングを意識せよ
    騙されないための知識・情報武装法
    「幸せ」を客観視する
    「帰れるところ」を作る


    2012.12.26 読書開始
    2012.12.27 読了

  • リクルートの愚痴ばかり言ってる。表題のガンダムのことは何一つわからなかった。辞めた会社の悪口ばかり言う人とは、一緒に仕事したくない。いい仕事人とはいえなさそう。

  • 勇気付けられるビジネス本。明日からもジムとしてがんばろ。

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著者プロフィール

千葉商科大学准教授

「2021年 『POSSE vol.49』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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