ダブルファッジ・ブラウニーが震えている (ヴィレッジブックス)

制作 : 上條ひろみ 
  • ヴィレッジブックス
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本棚登録 : 29
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864913591

感想・レビュー・書評

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  • ここ数年、10月は「ハンナの月」だった。
    ジョアン・フルーク著「ハンナ・スウェンセン・シリーズ」の発売が10月だったからだ。

    風が涼しくなってきたころ、
    毒のあるキュートでポップな表紙に、
    主語は甘いもの、述語は不穏なものというタイトルが、
    10月の発売予定欄にあるのを見つけては、
    今年も来た! これが来た! と、ワクワクするのである。

    それが2017年10月に見えなかったものだから・・・・・・ ぎょっとしてしまった。
    色々想像したり、気を揉んだり、覚悟を決めたりしていたのだが、無事、11月に発売されたので、とにかくもうホッとした。

    多くの人がそうであるように、私もハンナとは2000年『チョコチップクッキーは見ていた』からのつきあいである。
    長く気の置けない関係の、頻繁に会うことはできないが、会えば昨日も会っていたかのように話せる友人のような存在だ。
    ハンナ・スウェンセン・シリーズの新作を読むのは、年に1度の便りを見る喜びなのである。

    元気? ご家族のみなさんはどうしてる? え、お母さんがそんなことに? へーえ、それはそれは! え、姪っ子ちゃんがそんなに大きくなったの? 恐竜?!
    お店はどう、順調? レシピは増えた? わあ、おいしそう! それで、あなたの死体レーダーは最近どう? ・・・・・・

    そんなこんなで18巻目である。

    正直に言うならば、いつの頃からか、マンネリを感じるようになっていた。

    ハンナのプライベート、たとえば家族や恋愛、地域のことで、なにかハプニングが起きる。
    そこに、殺人事件も起きる。
    ハンナが動く。甘い物がある。説明がある。レシピが出る。
    ハンナが移動する。甘い物がある。説明がある。レシピが出る。
    ハンナが話を聞く。甘い物がある。説明がある。レシピが出る。
    殺人事件が解決する。プライベートの方も一段落する。
    ただし恋愛については決着しない。
    次巻につづく。つづく。つづく。・・・・・・

    話にお菓子をどうからませるか、どうレシピを出現させるかが、なかなか見事な玄人技である。
    その技を愛でつつ、マンネリゆえの安心感を楽しむような節が、たしかにあった。
    さすがに、この恋愛模様は、決着をつける頃ではないかと思い始めてもいた。

    そうしたら、前巻『ブラックベリー・パイは潜んでいる』で、様子が変わったのである。

    上記のような話運びはそのままに、話の風味が苦みをおびたのだ。
    そして、この巻『ダブルファッジ・ブラウニーが震えている』でもその変化は終わらない。

    長いつきあいの読者というのは勝手なもので、変化がなければマンネリと言い、変化があればこれは違うと言ってしまう。気安い友人に、つい本音を言いすぎるようなものだろうか。
    そのつきあいは間違いなく楽しく快いものなのに、つい、些細な不満点にのみ注目してしまって、その価値を自分の中でどんどん下げてしまうことに、似ているかもしれない。

    人は変化するし、シリーズは変化する。読者たる私も変化する。
    変化が止まったら、それは死を意味する。それはいけない。望むことではない。

    ハンナ・スウェンセン、クッキー・ジャーの店主、ミネソタ州レイク・エデンの名探偵。
    あなたは私に、コージーミステリーの存在と、アメリカのお菓子の数々を教えてくれた。
    ユーモアが日々と人生を明るくする証拠の数々を見せてくれた。
    不器用な女性が、コンプレックスに悩んだり、家族の問題につまづいたりしながらも、それを次第に解決したり解消したり、よい方に変えていく姿を見せてくれた。
    つまり、今回のこの変化も、よいほう、楽しいほう、居心地のよいほうに進んでいく途中なのだろう。
    だから、ハンナ・スウェンセン、私はこれからもずっとあなたからの便りを楽しみにしている。

    次が2018年の10月だか11月だかは知らないが、できれば、もう少し早めに予定を知らせてくれると嬉しい。

    そして、変化といえば。
    今回のレシピには、ハンナの末妹ミシェルが紹介する料理がいくつもあった。
    そのうちの一つ『絶品ポーク(ポークチョップとつけあわせ)』(339頁)は、お菓子ではなく、立派なディナーの一品である。

    『「鶏胸肉でやってもよさそうね」ハンナはクロックポットに材料を入れながら言った。・・・・・・
    「それがこのレシピのいいところなの」クロックポットのひとつに覆いをかけて、冷蔵庫に運びながらミシェルが言った。「うまくいくとわかれば、材料をいろいろ変えて楽しむことができる。・・・・・・」』 (337頁)

    姉妹の言に従って、早速応用を利かせて作ってみた。応用の点は以下のとおり。

    鶏胸肉を使った。ポークチョップの大きさを考えて、一つを四切れくらいにわけた。
    キャンベルの缶は、たまたまうちにあったものに置き換えた。
    トマトクリーム×2 オニオンスープ×1 ポテトクリーム×1
    粉末グレービーミックスがないので、検索して原材料を確認し、適当なハーブ(ディルウィード、ガーリックパウダー、塩、胡椒など)に置き換えて入れた。
    クロックポットなるものがない。どんなものか検索したら、炊飯器で代用できそうなので「炊飯」ボタンを押してみた。

    たいへんに美味しく、家族にも大好評だった。近々また作ることだろう。
    次巻以降もこういう楽々豪華レシピがあると、とても助かるし、嬉しい。
    楽しみにしている。   

  • クッキー・ジャーシリーズの第十八作。

    前作で車の事故で人をひいてしまったハンナ。
    結局不起訴になって、良かったが、
    その判事が殺されてしまう。

    これだけだとかなりハンナに関わる事件だが、
    もうそんな殺人がどうでもよくなるぐらいハンナの身に大事件が。
    母のサプライズ結婚式でラスベガスに行ったはずが、
    ハンナにもサプライズが用意されており、
    昔の男友達がベストマンとして呼ばれていて、急接近。

    長年ノーマンとマイクの間で揺れ動いていたのに、
    あまりに急でロマンティックな展開に、
    これはまた恋に落ちたとたんに相手が殺されるパターン?
    と勝手にびくびくしてしまった。

    クッキー・ジャーもリサと末妹ミシェルに任せっぱなしだし、
    事件もなんだかとってつけたような結末だし、
    浮かれ過ぎじゃないのかなー、ハンナ。
    大丈夫かなー。

  • 今回のハンナちゃんにはがっかりです。訳者あとがきにもあるように、別人か??てなぐらいひどい。もしくは著者が変わったか、ぐらいの。
    恋愛についてもだけど、クッキージャーの運営もすっかりリサとミシェルに頼りっぱなしでもう引退したら?と言いたい。ちゃんと朝起きなさいよ。
    とはいえ、肉を肉で挟む料理は非常に魅惑的ですね!妹達は毎日こんなの食べてて、スタイルを維持できるなんてうらやましい。夜中のコーナータヴァーン、行ってみたい・・・。

  • 失敗した。長く続くシリーズではありがちなのだけれど、1つ抜かして読んでしまった。あとがきを読んでいて気づいた。本編を読んでいる間には気づかなかったくらいなので、抜かしても問題なく楽しめたのだけれど。最初は主人公の母のサプライズ結婚式でラスベガスへ。夢のような三日間の後、日常生活に戻ってから、またまた死体と遭遇。新しい展開があって、この後の展開が心配でしょうがない。(でも、その前に抜かした巻を読まなくちゃ。)

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