かないくん (ほぼにちの絵本)

著者 :
制作 : 松本大洋  糸井重里 
  • 東京糸井重里事務所
4.10
  • (157)
  • (163)
  • (87)
  • (11)
  • (2)
本棚登録 : 1534
レビュー : 165
  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865011074

感想・レビュー・書評

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  • 「ほぼにち」で出した大人向けの絵本。
    生と死に付いて考えるためにはちょうど良い素材だが、残念ながら読み聞かせには重すぎて不向き。かといってブックトークにも使えそうも無い。
    ただ、あまり好きでもなかった松本大洋は、この作品でかなり見直すことになった。
    何かしら良い点はあるものだ。

    話は大きく3つに分かれ、最初は「かないくん」が亡くなるという部分。
    赤いマフラーをした「かないくん」が鉄棒でくるっと逆上がりをして、次の場面に進む。この部分は文字ナシ。
    2つ目は、その「かないくん」の話を絵本で作製途中のおじいちゃんが出てくる。
    孫娘とおじいちゃんの会話が素敵だ。
    3つ目に入るとき、再び文字ナシのページが見開きでふたつ現れる。
    そして、孫娘がおじいちゃんの訃報を聞くことになる。

    松本大洋の絵が少ない文字を補ってなお余りある。
    白の余白を効かせ、その沈黙がまるで多くの感情を物語るようだ。
    桜の樹のひこばえや、おそらくは学校で飼育しているのだろうたくさんのウサギたちを、効果的に場面に登場させている。そうか、この絵に2年も費やしたんだものね。
    紙質も特殊で、地色の入っているところや地模様のある部分を、話の中でよく生かしている。

    おじいちゃんの訃報を聞いたとき「はじまった」と思った孫娘の気持ちは、身内を亡くした経験のある方ならなんなく理解することだろう。
    亡くなった人の命は、生きている自分の中に確実に生き続ける。
    亡くなった人の目でものを見て、亡くなった人の考え方で考え始める。
    そうして、いくつもの生を抱えて、死の時まで懸命に生きようと努めるのだ。
    早逝であれ長寿であれ、生は死の始まりで、死もまた生の始まり。
    連綿と続く命の流れを、静かに淡々と語る絵本。

    • nejidonさん
      アセロラさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      お返事がすっかり遅くなってしまってごめんなさいね。

      小泉さん、そんなお...
      アセロラさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      お返事がすっかり遅くなってしまってごめんなさいね。

      小泉さん、そんなお洒落なことをなさっていたのですか?!
      ああ~、私もその番組を見れば良かったわ。
      プレゼントした本のうちの一冊ということは、メンバーそれぞれに一冊ずつ贈られたのかしら。
      小泉さんは結構な読書家でもあるので、どんなチョイスをされたのでしょうね。興味津々です。

      訃報を聞いて「はじまった」と思えるには、時間がかかりますよ。
      絵本の中の少女は、ある意味「才能」があったのかもしれません(笑)

      読み聞かせに使えるかどうかの視点で星三つなのですが、大人の絵本という目で見れば見応えはじゅうぶんです。
      アセロラさんも機会がありましたらぜひどうぞ。
      後ほどそちらにもお邪魔しますね!
      2014/10/29
    • アセロラさん
      こんにちは。
      お返事が遅くなりましたが、キョンキョンがメンバーそれぞれに贈った本はというと…、

      木村拓哉→『潔く柔く』(いくえみ綾の...
      こんにちは。
      お返事が遅くなりましたが、キョンキョンがメンバーそれぞれに贈った本はというと…、

      木村拓哉→『潔く柔く』(いくえみ綾の漫画)
      中居正広→『100万回生きたねこ』
      草なぎ剛→『のと』(写真家・梅佳代さんの写真集)
      稲垣吾郎→『えへん、龍之介。』(芥川龍之介を描いた漫画)

      幅広いジャンルだったので、いちSMAPファンとしても、本好きとしても嬉しかったです♪

      『かないくん』の「はじまった」…確かに、才能なのかもしれませんね。
      2014/11/04
    • nejidonさん
      アセロラさん、再訪してくださってありがとうございます♪
      そしてコイズミさんの選書の、なんと素敵なことでしょう!
      稲垣君が読書家なのは有名...
      アセロラさん、再訪してくださってありがとうございます♪
      そしてコイズミさんの選書の、なんと素敵なことでしょう!
      稲垣君が読書家なのは有名ですが、他のメンバーはどうなんでしょうね。
      木村さんや中居さんは、なかなか本を読んでいる姿が思い浮かびません(笑)
      いや、観察する機会もないので勝手な想像ですが。
      「いくえみ稜」さんて、血管が細すぎて点滴の注射針もなかなか刺さらないような、そんな女の子を描くひとですよね。
      別マを読んでいた頃、大好きだった方です。ああ、懐かしい。。
      お名前を見ただけでまた漫画を読みたくなってしまいます(笑)
      2014/11/05
  • きょうせんせいが いつもとちがうこえでいった。
    「かないくんが亡くなりました」
    いきてれば みんなといっしょだけど しんだらひとりぼっち

    幼いころのクラスメートの死。
    これは”私”の祖父が創作途中の絵本のお話し。

    「死を重々しく考えたくない、軽々しくも考えたくない」
    「この絵本をどのように終わればいいのか分からない」

    人は死んだらどうなるの、命がなくなるってどういうことなの。分からない故に死を恐れもするし、生に固執することもある。死んで向こう側にある人は何も感じないし何も伝えられない。自分では決して経験できない死を考え、案じるのはこちら側の人だけ。

    絵本を書き終えぬままホスピスに入る祖父。
    「金井君の絵本、まだ書き終えていないのに」という”私”の言葉に、「死んだら終わりまで描ける」と囁く祖父。

    とても根源的な命題に、絵本を読んだ子供たちはどのように感じるのだろうか。
    向こうの世界で金井君と絵本のラストを描いている?

  • 死をテーマにした絵本。

    「死んだらいい」とか「死ね」とか安易に口に出す人がいるけれど、私は本当に死んでほしい人以外には使いたくない。

    「自分なんて死んだ方が・・・」みたいなことを言う人も甘えんな、と感じる。

    誰でもいつかは死ぬし、それは予想より早かったり遅かったりするけど、ただ生きている今を大事にするしかない。

  •  私にとって初めての身内の死は小学4年のころの父方の祖父でしたが、正直、あまり記憶にありません。ただ、父親が目を真っ赤にしていたのが強く印象に残っています。なんてことを思い出したのは、こちらを手に取ったから。

     “Gunosy”で知った一冊となります。糸井重里さん・プロデュース、谷川俊太郎さん・文、松本大洋さん・絵と、なんとも豪華なコラボで、ある日突然に“友達がいなくなる”、そんな始まりの物語です。

     “終わったのではなく、始まったんだと思った。”

     日本人にとっての「死生観」に一つの答えを与えてくれているのかなと、感じました。

     「死」とはなんなのだろうと、そして「死」と向き合うとはどういうことなのかと、久々に意識することになりました。世代を飛び越えて“伝えていく想い”、そんな見方もあるのかなと、なんとなく。

     淡々とした言葉の積み重ねと、淡い色合いの絵のマッチングが何とも印象的で、そしてなにより、雪と桜の対比は、日本人の心奥にスルっと入ってくるのではないでしょうか。息子が手にとるかどうかはわかりませんが、しばらくリビングにおいておこうと思います。

     谷川さんがやさしく紡ぎだしている言葉と、松本さんの静謐な絵が、なんとも静かに染み入ってくるな、そんな風に感じた絵本です。

  • 【読了】かないくん
    悲しいけれど、ご飯は食べられる。
    悲しいけれど、笑える。
    悲しいけれど、忘れてしまう。

    悲しいけれど、私は生きている。

    そんな事を感じた。

  • 谷川俊太郎さんが文を書き、
    できあがった話をもとに、
    松本大洋さんが2年の歳月をかけて描いた、
    『死』をテーマにした絵本です。
    本のデザインは祖父江慎さんが担当しました。
    印刷は、白ダブルトーン2版を使用する
    6色刷りを採用しています。
    すべての漢字にひらがなのルビがふってあります。

    死ぬとどうなるの。

    生きているだれもが、
    やがて死にます。
    それは、どういうこと
    なんだろう。

    「ほぼ日刊イトイ新聞」より

    すごくシンプルに
    死ぬということを考える本
    味のある絵が
    心を穏やかにして
    冷静に考えてみようと
    させてくれる

  • 谷川俊太郎さんの新しい絵本…と思って手にとりましたが、こういう内容だったのですね。
    白いページで涙があふれてしまいました。

    誰かを亡くした経験のある人はその体験を、誰も喪っていないけれどそれを想像する人はその痛みを考えさせられる絵本です。

    私も、自分が小学4年だった時学校が分校して離れてしまった、友達ではなかったけれど同級生だった男の子が事故で亡くなったことを思い出しました。自分の記憶にある身近な死の最初の体験でした。
    そして、来年の桜は見られないとお互い知りながら父と一緒に見た最後の満開の桜も。

    大事な人の死が辛いのは当たり前。でもすれ違っただけの人の死が、思いもかけずすごく痛くなることも人生にはたくさんありますね。
    そしてその痛さが、大事な人を喪った時の辛さを支えてくれることもあると思います。

    絵の作家さんは私は知らなかったのですが、文章と良くあった懐かしい味わいです。
    おじいさんの回想と、今と、テイストや色合いを変えて描かれてあるところにまた味わいがあります。

    「始まった」と思うところから生きる「彼女」の今後は
    おじいさん以前と「以後」ではまた色合いが変わるのだろうなと想像できます。

  • 何だかとてつもない絵本だと思った。何がどうなのか、よくわからなくて繰り返し読みました。かないくんとうさぎを抱いたおじいちゃんが、向き合っているページあたりから気持ちがざわついて仕方がなかった。絵の力なのか、言葉の力なのかわからないけど衝撃を受けてしまった。絵本なのに直球過ぎて、そのギャップにびっくりした。

    あなたはかないくんについてどう思う?
    死についてどう思う?

    って、むき出しの死というボールを突然 投げつけられたような気がして、不意打ちすぎて、何ともいえない気持ちになってしまった。『海と毒薬』を読んだ後も、こんな気持ちになった。……問いが追いかけてくる。

    これについて君はどう思う?

    と、投げかけられて、ずっと考え続けさせるパワーを秘めている絵本ってすごいなぁ…と思う。子供の時、こういう絵本に出合っていたら(いい意味でも悪い意味でも)ショックを受けていたと思う。ある程度 向き合えるようになった今、出合ってよかった…と思った。


    いつか私もそこに立つ日がやってくるのね。
    読み手に、その「始まり」を気がつかせるってすごいなぁ。子供ための絵本というよりも対象は大人なんだね。ズシッと迫ってくるものを感じた。

  • 良くみる絵だなぁと思っていた。
    谷川俊太郎さんも、松本大洋さんもとてもとても有名だから。

    古本屋に行き、この本があって何気なく手を取り、何気なく購入した。

    家に帰り、読み終わったら、鳥肌が立っていた。
    そしてちょぴっと、泣きそうになった。

    なんだろう、うまく言えない。
    うまく表現できないけど、すごい作品だなと思った。
    わたしの本棚に、大事に置いておきたい一冊になった。

    まだうまく言えないけど、とにかく好きな一冊。

  • しろいセーター
    ウサギ
    赤い目
    赤いマフラー
    絆創膏

    はじまり
    ***
    初めて読んだとき、「ああ、これは先に逝った大切な人との待ち合わせの本なのだ」と思った。2度目に読んで、なぜそう思ったのかを見失い…3度読んで、作品と写真ばかりが遺されていることへの感傷と「言葉のない2人が向き合う頁がそう思わせたのだ」と。あの見開き頁が好きだ。抱いている赤い目の白いウサギのぬくもりを感じなければ耐えられそうもない静謐な、“時”のない頁が。
    ***
    感想が絵についてばかりになってしまった。詩人谷川俊太郎の言葉に負けない松本大洋のすごい絵。言葉については、引用した谷川の言葉に付け加えるものは何もない。

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著者プロフィール

谷川俊太郎(たにがわ しゅんたろう)
1931年、東京生まれ。父に、哲学者・谷川徹三。現在の東京都立豊多摩高等学校を卒業し、1948年頃から詩作の活動を開始。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』出版。以後詩、エッセー、脚本、翻訳などの分野で多岐に渡る活躍を続けている。
翻訳については、ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』や『スイミー』、ゴフスタインの絵本の数多くを手がける。詩集に『ことばあそびうた』、『みみをすます』、『日々の地図』、『はだか』、 『世間知ラズ』など、エッセー集に『散文』、『ひとり暮らし』、絵本に『わたし』『ともだち』『もこ もこもこ』、詩集に『シャガールと木の葉』、『すき』、『詩の本』、『トロムソコラージュ』など。
萩原朔太郎賞、鮎川信夫賞、三好達治賞、朝日賞など多くの受賞歴がある。

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