世界史の中の日本国憲法 立憲主義の史的展開を踏まえて

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  • 左右社
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865281279

作品紹介・あらすじ

それは“押し付け”でなく“復活”だったーー。
1400人が東大25番教室につめかけ、大きな反響を呼んだ講演内容を、すべての人に向けわかりやすく加筆。日本国憲法を再発見する本です。

感想・レビュー・書評

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  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:323.14||S
    資料ID:95170015

  • 2015年刊。著者は京都大学名誉教授。

     立憲主義が成立してきた過程を踏まえ、世界の同時期の憲法との比較をしつつ、憲法と立憲主義の意義を解説する。短めであっという間に読める。

     著者の東京大学での講演録というのに多少驚くが、樋口陽一氏との絡みなんだなあと思うと、さもありなん。
     とはいえ、佐々木惣一が出てきたり、各国憲法との比較において、条文の文言と字句内容に強く配慮して叙述するのは、流石に「京都学派(京大学派)」の面目躍如。

     なお、本書でも少し触れるが、滝川事件と天皇機関説問題はもう少し公知されるべきテーマ。その派生として、占領下の米軍による検閲は、戦前のそれより遥かにましで、占領下でも自由な中で叙述・討論できたという指摘は、戦前の記憶を引き継ぐ者の述懐、あるいは戦前期研究者の謦咳に触れることのできた著者の述懐として重く見る必要があろう。

     そして、ラストに憲法97条を受講者に読み聞かせるのを持ってくる辺りは、著者の気根を感じさせるところ。

  • 2015年夏に展開された安保法制をめぐる国会審議において、立憲主義が大きな話題になった。そのような状況となったのは、憲法が禁じてきた(と政府見解も述べてきた)集団的自衛権の行使について、内閣による「政府解釈の変更」によってそれを可能にしたからである。これが良いならば、今後どんなことでも、「政府解釈の変更」によって可能になり、憲法は骨抜きにされてしまうからである。

    このような事態に立ち至って、「立憲主義とは何か」「立憲主義のどこに正当性があるのか」ということについても理解を深めなければならない、という必要性が出てきた。そうしなければ、今度は「立憲主義」の解釈についての論争が起こってしまい、「政府解釈の変更は、立憲主義に反しない」という論調が出てきてしまうからである。

    本書は、立憲主義が歴史的になぜ、そしてどのように形成されたかを知る簡潔な手引き書である、本書からは、立憲主義とは、人類が恣意的支配を避け、基本的人権を尊重すべく形成された歴史的叡智という位置づけをしていると読んだ。実に「当たり前」のことなのだが、ここが危機にさらされているという現状に、改めて慄然とせざるをえない。早くこういう本が「出なくても良い世の中」が到来することを願っているし、またそうしなければならない。

  • 学説の紹介ではなく、副題の「立憲主義の史的展開を踏まえて」の通り、日本・アメリカ・イギリス・ドイツの歴史を解説していくというもの。分かりやすい記述で、憲法や立憲主義への理解の一歩目となるのではないだろうか。

  • 立憲主義とはなんぞや?と思っていたところ、本書を読むことで少し理解できたような気がした。

  • 佐藤幸治といえば、京大憲法学の重鎮、日本を代表する憲法理論家だが、いわゆる護憲運動とは一定の距離をおいて、政府の審議会に名を連ねることも多く、失礼を承知で敢えて言うなら、どちらかというと「政府寄り」の印象もある憲法学者だ。
    その佐藤が、反安倍政権の立場を明確にする「立憲デモクラシーの会」に招かれて、シンポジウム「立憲主義の危機」の基調講演を行ったというニュースは、「ついにあの佐藤幸治まで立ち上がったか」と思わせ、衝撃的だった。
    この本は、その講演の原稿を基にしている。立憲主義ならびに日本国憲法の歴史を確認しつつ、その根幹部分、「土台」を保持することの意義を、法律家としてストイックに説いて感動的。決して、党派的な物言いではなく、政治に対する法的統制が歴史から得た知的成果だとして、その安定的持続を静かに求める。この確固たる要請は、本来「保守」の人にこそ響く内容だろう。

  • これは読書ノート作成レベルの名著

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著者プロフィール

京都大学名誉教授

「2017年 『滝井繁男先生追悼論集 行政訴訟の活発化と国民の権利重視の行政へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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