- Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865281323
作品紹介・あらすじ
あの名対局から1年! 今度の相手はてごわいオールスター小説家軍団! 読み手・翻訳者・創作者の3役を演じて見えてくる言葉の奥深さ…物語が生まれるとき、作家のアタマの中ではこんなことが起きていたなんて!
『吾輩は猫である』『雪女』『アラビアンナイト』など世界の古典を新・名翻訳で楽しむ大人のエンターテイメント。原文という船に乗ってどこまでも遠くへ行けるから、翻訳は怖くて、深くて、おもしろい。
感想・レビュー・書評
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翻訳ものは翻訳者が入る分お高いし、文庫になりにくいし、ついつい図書館を頼ってしまう。それで気に入ったのを買おうとすると、○○大賞入賞とかでも数年で絶版になっていたりする。
ところどころでチラと語られる翻訳市場の実際を聞いて、続いてほしいものには、早いうちにお金を払って需要を示そうと思うのでした…
以下、印象に残っている内容
過去の翻訳家が、自分で、歩く道(言葉)を作りながら進んでいた時代のこと。
『アラビアンナイト』ボルヘスの謎のリリカルな勘違い。
原典と翻訳版、過去の作品と新たな作品との、時間軸を行き来するような関係性のこと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
見つけると必ず読んでしまう「翻訳」もの。この本は第一弾も読んでいて、シリーズ第二弾。
第一弾のときやろうと思いつつもやらなかった「お題のテキストを自分でも一回訳してみてから読む」というのを今回はちゃんとやってみた。
それにしても、翻訳ものの本がそこそこ刊行されることに不思議な気持ちがする。日本にはそんなにも翻訳に興味がある人がいるんだなぁ。 -
「透明な翻訳」
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英文(その一部は竹取物語、雪女など日本の小説の英語版)を、翻訳者である鴻巣氏とゲスト作家が訳し、対比するという企画。
ガイブン読みとしては、できあがった翻訳がそれぞれに翻訳者のスタンスを反映して違っているのが非常に興味深い。時としてかなり違うし、誤訳も起こる。翻訳者という仲介者は無色透明な存在にはなれないにせよ、そんなに違うのか。でも鴻巣氏が原文に寄り添おうとする真摯なスタンスも伝わってきた。日本人はとかく「原文に忠実な訳」を求め、外国では「翻訳本らしさを感じない訳」を求めるのだそうだ。でも、優れた翻訳者はいて「翻訳者買い」もするよね。
原書で読めない我々としては翻訳に頼りっきりになるわけだが、ガイブン不況の中で翻訳者の方々にはぜひがんばっていただきたい。 -
【新着図書ピックアップ!】翻訳家鴻巣友季子と作家片岡義男が“翻訳”について語り合った本の続編。鴻巣氏が5人の小説家と文学作品の翻訳を「訳し戻し」する試みがおもしろい。英訳された日本文学を小説家が再度訳すとこんなんなるんか!
【New Book!】This book is very interesting as a novel, and a creative writing book.Highly recommended for anyone interested in literature and translation. -
作家のみなさん、「ここがよくわかりませんでした」とか「ここは誤訳でした」とか、さらりと認めていらして、かえってそこが好印象! そうそう、生身の人間が書いたものを、生身の人間が読むんだから、勘違いしたり理解できなかったりするのは当たり前なのだ。そこを、ほぼ完璧に仕上げてくるプロの翻訳者さんたちがいかにすご腕であることか……。
実は今まで、「人気作家が“翻訳も”なんて、人気俳優が“声優も”ってな感じなんじゃないの?」と色眼鏡で見ていましたが、冒頭の「あ、猫です」であっという間にノックアウトされました。ブラボーでございます。
以下、ちょっと誤植?と思った所、
・p107冒頭の「目を覚ますモサク」、p111の「目を覚ますモサク」は「ミノキチ」では? モサク、一度も目を開けてないよね。
・p158の「第十九章」は「十六」では? -
村上「キャッチャー・イン・ザ・ライ」風あり、ファンタジー風あり、シナリオ風あり、なんとヤンキー風まで…と鴻巣氏の引き出しの多さと、翻訳に対するどこまでも真摯な姿勢に、胸打たれてしまったのだった。