- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865282467
作品紹介・あらすじ
熊谷晋一郎氏、大推薦!
「自力と他力、内閉と開放、市場と制度ーフクシの葛藤は生の葛藤だ。
二人のプロフェッショナルが繰り広げる、手に汗にぎる次世代福祉論!」
福祉の仕事は他の業界に比べ、なぜ低く見られてしまうのか? 冤罪事件後厚生労働事務次官を務めた村木厚子と、自らも100万人に1人の難病由来の先天性障がいを持ち、知的障がい者のアート活動施設「アトリエ インカーブ」を運営する今中博之。
福祉の仕事を通じ知り合った二人が、「制度」と「現場」の両側から、真の意味で「かっこいい福祉」を実現する方法を縦横無尽に語り合う。
障がい者福祉、高齢者福祉、児童福祉とさまざまな観点から、民間との関わり方や低賃金問題の解決策など、新時代の支援のあり方をともに考えるための一冊。
今当たり前のようにある公的な福祉サービスの中には、スタートの時は制度がなく、「制度外のサービス」とか、「ルール違反のサービス」などと位置付けられていたものがたくさんあります。必要なサービスは「現場」でしか生まれまないのです。ー村木厚子
「障がいとは」「生きるとは」といったことについて、ずっと考え続けられる人がプロだと思います。そのためには、長く一緒に居続けることがとても重要です。短期間だけなら誰にでもできる。ー今中博之
感想・レビュー・書評
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福祉の、制度も含めた根本的に大切なことがかかれていました。福祉の仕事を始めたばかりの若い人たちが読むといいかもな〜と思います。
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今中さんと村木さんの対談形式の本。
元官僚で現在は若い女性たちの支援に携わる村木さん。
今中さんはアトリエインカーブの創始者。お二人とも話を聞きたいなぁと思いながら… 今思えばアメニティフォーラムに来てたような気がするけど。
内容は福祉の実践についての対談がメイン。各々の人生についても書いておられます。
印象に残ってるのは
福祉以外の人や会社、もっともっと地域とつながること。
福祉に携わる人は他業種に遜りすぎる。
笑
支援とは長く長く関わり続けること。
アーティスト(利用者)をほとんど褒めない。
他にも福祉の人材不足や経営などのお話もありました。
兎にも角にも、福祉に携わる人は外と繋がろうぜ〜っていうメッセージが随所にありました。私自身、一生懸命になればなるほど視野が狭くなりがち。ふと顔を見上げること大事だよなぁと。
福祉温泉に浸かってると心地はいいけど、やっぱり考え方は似てて、偏りがち。
今中さんはいわゆる作業所を運営してるのだけど、アート市場に打って出てる。突き抜けててカッコエエというのが率直な感想。今中さんのところの支援者は社会福祉士と学芸員のダブル資格が必要なんですって。
凝り固まった頭にはビックリ!でもいろんなサービスがあることは選択肢が広がることだし、もっともっと攻めた事業所があったらいいなぁって思った。
福祉の現場にいる人には、ぜひ呼んでほしい。 -
何をもって「かっこいい」とするのか、最後まで読んでなるほど、と思いました。
読みながらひやりとする指摘がいくつかありました。
福祉の受け手を「弱者」のポジションに追いやってしまうリスク
共感する人だけを巻き込んできたことの影響
(かけた)その言葉が彼の中で定着するかもしれない(と考えて声をかけているか)
本当に、意識しなければ、支援の先もみて今ここの対応をしなければ、誤ったことをしてしまうかもしれないという怖さを感じました。
福祉のプロは「気配りができる人」。
そうあれるよう、日々精進!と思いました。
福祉の実践を言語化するときの助けになる言葉がいくつもあり、たくさんメモをとりました。読めてよかったです。 -
低賃金、重労働、人手不足…。福祉の世界は低く見られがち。福祉を「かっこいい業界」にするための対談集。アートやデザインを用いた自立など、示唆に富んだ本。
[NDC] 369
[情報入手先] 自校図書館
[テーマ] 社会福祉系のマンガや読み物 -
・福祉の人からすると、お金は悪いもので汚いもの、企業は利益ん追求する鬼が住むところという感覚がまだある。
・閉じながら開く、開きながら閉じる。外へ開きすぎてもスタッフは疲弊する。
・感性、企画力、説明力
・必要なサービスは現場でしか生まれない。制度がないからやらない、では福祉の進歩は止まる。
・0を1にするのは現場の仕事、1を10にするのは学者の仕事(理論武装)、10を50にするのは企業の仕事(ペイする範囲でサービス提供)、50を100にするのは行政の仕事。 -
村木厚子さんと今中博之さんの生きざまと、生きざまに裏打ちされた考えに接することができます。
村木厚子さんは言わずもがな。でも、その公務員としての真摯な姿勢と築いた世界観は、自分が省庁での勤務を経験した後は一層よくわかるし、凄く現実感があります。
今中博之さんは、ここで初めて知ったけど、知的障害をもった人のアート活動の場を提供する事業を行っている人。今中さん自身、車いす生活を送っています。
この二人は生きてきた環境も考え方も全然違うのに、どこか通じるところがあるのか、とても対話が噛みあっていて、面白かったです。「かっこいい福祉」が何か、という結論も、結局かなり違います。でも、それがよい。
「分かり合えない」からこそ、話が尽きない。今中さんは、「かっこいい」とは「分かり合えないと認めること」と結論付けていました。
村木さんが、福祉に携わる人に求めることは、制度にないサービスをうみだすこと、つながっていること。厚労省で政策側に長年いたからこその視点で、こちらも納得感があります。福祉に携わる人だけでなく、人と関わる職種の人はすべからく意識しておくべきであるように思います。
本論からは逸れるけど、最後に印象に残ったことをもう一つ。愛されすぎるのはいいことだ。コップからあふれ出た愛情は誰かの渇きを癒すことができる。小さい頃の、人の自信につながるような経験は、その後の人生の基盤になる、という話がありました。自分のことを考えて涙がでたし(最近よく本で泣く)、周りの人たちもたくさん愛情を注いでいきたい、と思いました。
あと、金平糖はどんどんとがっていく。 -
かっこいい!は、賢い!ってことデスネ.....