お金本

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  • 左右社
3.13
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本棚登録 : 345
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865282511

作品紹介・あらすじ

「キツト、キツト、お返しできます。」
「〆切」の次は「お金」! 累計5万部、話題の文豪アンソロジー最新作。友人に借金し、借りた金で酒を呑み、親の脛を囓り、執筆以外の金儲けを考える。現実と理想の間でもがきながら、今日を力強く生きるのだ。貯金は底をついても才能は枯渇しない。作家、実業家、ミュージシャンまで総勢96人、生きるか死ぬかのお金ばなし100篇。

感想・レビュー・書評

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  • お金にまつわる文章(マンガも)をたくさん集めたアンソロジー。最初の方には、荷風、漱石、百間、鏡花などなど、文士たちの「カネがない」貧乏話が並んでいる。ごく短いものも多く、三分の一くらいで飽きてしまって、まん中あたりは飛ばし読み。でも、最後の三分の一くらいで、ちょっと長めのものがあったせいか、おもしろくなってきた。

    文章が好きなのは町田康。リズミカルかつ破調という独特の文体で読ませる。胸を打たれるのが小林多喜二。以前梯久美子さんの本で終生の恋人タキさんとのことを読んでいたので、ここに採られた恋文にはなんともいえない切なさを感じた。なんてやさしく美しい文章なんだろう。切ないといえば、魔夜峰央のエッセイ漫画もそう。お母様との思い出話にじーんとする。

    佐野洋子「死ぬ気まんまん」は好きな一冊だが、そこからも採られている。ここまでサバサバと湿り気のない文章というのはあまり知らない。癌を患い「死ぬことが間近になったら、死んだらお金はかからないということに気がついた」佐野さんは、「最後の物欲」として、「いちばん美しいとずっと表面には出さずに思っていた」イングリッシュグリーンのジャガーを買う。ジャガーを指差し「それ下さい」と言って買ったそうだ。かっこいいなあ。

    いちばん「そうだよなあ」と思ったのは、意外にもビートたけしの書いたもの。いやあ、ビートたけしってあんまりいいい印象を持ってないんだけどな。でもここに載せられている一文は、長くても全部引き写したくなるくらい、納得の内容だった。「友情(愛情)は金で買えない」という言い方にどうも違和感があったのだが、たけしの言葉でそれがなぜなのか腑に落ちた。友情(愛情)とは、相手を大事におもう自分の気持ちであって、「買えるとか買えないとか言っていること自体がおかしな話なのだ」。いやごもっとも。以下は引用。
    「誰だって、金は欲しいに決まっている。だけどそんなものに振り回されたら、人間はどこまでも下品になるというのが俺の母親の考えだった。貧乏人の痩せ我慢と言ったらそれまでだが、そういうプライドが、俺は嫌いじゃない」
    「人間なんてものはどんなに格好をつけていても、一皮剥いたらいろんな欲望の塊みたいなものだ。でも、だからこそ、その一皮のプライドを大事にしなきゃいけない。それが文化というものだろう」
    「お金がないことを、そのまま『下流社会』といってしまう下品さに、なぜ世の中の人は気づかないのだろう」

    最後に。貧乏話はやはりつげ義春にとどめをさす。「無能の人」は最強だとあらためて思った。

  • 文豪、漫画家、作家などのお金にまつわる(たいてい苦労話)エピソードを集めている。

    最初に、お金自身が善悪というのではなく、持つ人によって善にも悪にもなるという澁澤栄一の言葉を持ってきたことで面白そうだと感じたのだが、読み進めると、文豪や著名人も昔は、お金で苦労したんだねと、しみじみするよりも、金が無い無い話ばかり・・気持ちが滅入ってきて、何度か読むのをやめようと思ったほどである。

    直木三十五の「労働しないものは食うべからず」というような考えは下らない。働かなくても食えるのが本当だという社会にならなければ嘘だと思うという主張と、芥川龍之介のラブレターの微笑ましさが印象に残った。

  • GDPには人生を豊かにしてくれるものは含まれないと言うロバートケネディの有名な言葉があるが、この本に登場する日本の作家たちは決して貧乏だから良い本を書けると言っている訳ではない。
    お金は貰えるならば欲しいと言う生々しさが伝わってくる。
    しかしそれと同時に彼らはお金のために生き方を変える事もしていない。
    このバランス感覚が本来の日本人が持っていた気質なのかもしれない。

  • 悲喜こもごも

  • 文豪たちのお金にまつわる文章がまとめられている。
    石ノ森章太郎やつげ義春などの漫画もある。
    種田山頭火の酒クズエピソードが面白くて親近感が湧いた。他の文章も読んでみたい。
    イメージ通り文筆家は貧しい人が多いけど、お金がないことによる飢餓感が創作意欲を生むのかな。

  • 文筆家の貧乏エピソード集

    「俺なんか1週間キャットフード食って生きてたんだぞ」


    ●つげ義春『散歩の日々』(マンガ)
    いつも300円しかもってないパパさんのお話

    “だいたい自分は金を遣わないことに慣れてしまっているから、さほど不自由ではないのだ。

  • ちょっとばかし散漫な印象も。
    文豪と称される過去の作家像や、出版社黎明の時代背景みたいな部分にはのっぴきならない切実な側面もあれば、なるようになるさといった大らかさもあり、気になる作家やその周辺について知らないエピソードもあるのでそういった面では。

  • ふむ

  • 少し思っていた内容とは違ったが、最後のビートたけし氏と村上春樹氏のお金に関する捉え方の言葉には得るものがあった。

  • 2021年5月
    お金にまつわる話をこんなにまとめて読む機会はなかなかないから面白かった。大草原不可避のクズエピソードは期待通り。一方、夏目漱石や壷井栄などきちんとしている人もいるのだから文豪もお金に関しては人それぞれということなのだろう。
    最も印象的だったのはつげ義春の貧しい生活の中でのエピソードを描いた漫画。リアルでささやかで切ない。つげ義春の漫画は読んだことがなかったのだが、ほかの作品も読みたくなった。
    ちなみにわたしの中でお金&文豪となると林芙美子の『放浪記』なのだが、それは入っていなかった。なんでだろ。ちょっと残念。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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