- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865283747
作品紹介・あらすじ
寡作でありながら作品を発表するたび強い印象を残し、新世代の歌人として最注目の著者、待望の第一歌集。2011年短歌研究新人賞最終候補作となった表題作、書き下ろし作品を含む235首を収録。
目の前の日常から、ここではない日常に。
わたしたちが日々のなかで思い、交わし、つぶやく、なにげない言葉のすべてが詩になる――ドミニク・チェン
起動したばかりの画面。デフォルトの状態。テストパターン。本当は何も書きたくないのに、〈私〉がやってきて、指がクリックする。スイッチがONになる。0が1になる。オブジェクトが生まれる。大袈裟だと思う。短歌を詠むだなんて。(著者あとがきより)
〈収録作品より〉
真夜中にアナウンサーが喋るからそれを流して過ごす真夜中
僕たちの恋の終わりや始まりのまさにその瞬間にCM
バスタオルきれいにたたむ 空港に住所があるのを認められない
AならばBでありかつBならばAであるとき あれは彗星?
問い合わせが殺到したという曲を僕だって何回も聞いていた
2.で「はい」と答えた方にお聞きします。いいえと答えたのでとばします
Googleのロゴで初めて名前を知った科学者だがその業績は素晴らしい
晩年は神秘主義へと陥った僕のほうから伝えておくね
クリスマス・ソングが好きだ クリスマス・ソングが好きだというのは嘘だ
本当に大事なものはいつだって名前 それが二つある犬
本日の放送は終了しました。私はまだ、考え事をしています
感想・レビュー・書評
-
油彩画の画面の中に梨がある これ以上言うことができない
今っぽい 普通のことが今っぽい 誰もいない公園の入口
クリスマス・ソングが好きだ クリスマス・ソングが好きだというのは嘘だ
もう死んでしまった鳩が横たわり肯定的に描かれている
複数のことが同時に起きている 水田沿いに走る県道
*
日常から特別なことをとかじゃなく、普通のことをそのまま普通のこととして俯瞰的に見つめる。
それがすごく現代風だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示