すごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話

  • アルテスパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865590005

作品紹介・あらすじ

日本を代表する音楽学者・音楽評論家の岡田暁生がついにジャズ界に殴り込み!?
「録音や人間関係にまつわるエピソード」ではなく、あくまでも音楽そのものに即して、モダン・ジャズの巨人たちの「すごさ」を分析する。
指南役は岡田の師でもあるジャズ・ピアニストのフィリップ・ストレンジ。
キース・ジャレットについての論文で博士号を得、シェーンベルクやストラヴィンスキーなど20世紀音楽全般に通ずる「知性派ジャズ・ピアニスト」は、“あの”名演の魅力をどう解明するのか──。
アート・テイタム、チャーリー・パーカー、マイルズ・デイヴィス、オーネット・コールマン、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンズ──
6人のジャズ・ジャイアントが何を考えてプレイしていたのかが、いま明らかになる!

感想・レビュー・書評

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  • 物知り方面からじゃなく、音楽への理解という方面からジャズを考える
    こういう本を待ってたし、待ってる

  • もちろん全部わかるわけではないけれど、ところどころ、なるほど!とかそうだったのか!とかやっぱりそうだよねー!とか。感性とか才能とかで片付けてしまわないで、理論で裏付けてくれてるのがいい。そういうのを求めていた。いいと思う音楽が更によく感じられる。

  • 楽譜や専門的な用語は
    サッパリ分かりませんでしたが、
    それでも興味深い話や知らなかった事も多く、
    とても参考になりました。
    聴くときの幅が広がりそうです。

  • 以前読んだことがあるけど再読。

    前読んだ時には本を読むだけだったものの、今回はYouTubeで公開されている動画も参照しながら楽しみました。

    まだあんまり目にしたことはないですが、こういう他のメディアと絡めて楽しめる本がもっと増えると良いですね。

    全編会話形式で進んでいくのでとても読みやすいのですが、基本的な音楽理論の知識がないと難しく感じるかもしれません。

  • 著者が書きたくて書いた本という感じで、強い思いが伝わり読み物として面白かったです。

    アプローチ分析や体験に基づく話になっており、自分はその時代の人ではないですが話のイメージが浮かぶ感じ。

    対談形式の書体に対して、コラムの充実、参照曲の提示、Youtubeによる動画補完ありと音楽的話題に対して欲しい情報が手に入る点も嬉しい。

    ジャズは万人受けするネタではないかもしれませんが、自分は興味深く最後まで読めた。

  • 音楽

  • ジャズの音楽理論について。これが理解できて演奏できたらいいなぁ。
    完全に楽理について理解は出来なくても、ジャズの理由(ワケ)について詳細且つ簡潔平易に語られているので読ませる本。

  • 京大研究所教授である岡田暁生さんのオペラの解説がとても面白かったので、この本を読みました。
    岡田先生は高校の頃からジャズが好きで、なんと50歳になってからジャズピアニストのフィリップ・ストレンジさんに弟子入りします。

    そのレッスンが非常に素晴らしく、「ストレンジ氏の知識の一端を、対談というかたちでなんとか本にすることはできまいか」と考え、2年前にこの本が出版されます。
    ただ、本だけではとてもわかりにくいので、ネットでピアノを弾きながら説明するという手段もとってくださいました。
    http://artespublishing.com/books/86559-000-5/

    本を読んだり動画を見たり、毎日少しずつしか進まなくて、とても時間がかかりましたが、すごく良い企画だったと思います。
    私はストレンジ氏の大ファンになってしまって、大阪までライブに行こうかしらと思ったほど。
    でもあとがきを見たら、このあとアメリカに帰国してしまったそう…。

    本を読むのは面倒というかたは、この動画だけでも、まあいいでしょう。
    しかし、やはり岡田先生のお話は面白いですよ。
    ちょっと紹介してしまおう。

    「パーカーの超有名曲を、ただ受け身で聴くだけでなく、じっさいに自分で弾いてみてたいへんに驚いた。
    2倍近く遅いテンポで練習してみる。これがじつに美しい。
    誇張ぬきで、バッハの無伴奏ソナタ(フルートとかヴァイオリンとかチェロなど)のジャズ・ヴァージョンのような印象なのだ。
    旋律のプロポーションの美しさ、単旋律で過不足なく調整感を作り出す手ぎわのよさ、豊かな色彩感と優雅な遊び心。
    そしてある種のポリフォニーの感覚すら、そこにはある。
    たとえば《無伴奏チェロ組曲》第一番におけるバッハが、たった一本のラインによって、幾重もの旋律が折り重なっているようなポリフォニックな立体感を作り出したのと、これはじつによく似ている。
    クラシック音楽の歴史におけるバッハとほとんど同じ意味で、パーカーはモダン・ジャズの父であるのかもしれないと、そのときいらい考えるようになった次第である。」

    「モダン・ジャズの歴史を大きくビバップとフリーに分けるとすると、私にはどうにもこれが、西洋音楽におけるロマン派と印象派の無調の時代に重なってみえてしかたがない。
    半音の可能性をきわめつくしつつ、いまだに調整(I~Vのカデンツの枠)の中にとどまっているのがビバップないしロマン派。
    旋法を使うことで浮遊するような自由な感覚を求めるのがモードないし印象派。
    そして歴史発展の結果の自己崩壊ともいうべきフリー・ジャズないし無調音楽あるいはダダイズム。
    少々図式的にすぎるかもしれないが、西洋音楽の百余年の歴史を、モダン・ジャズは1940年前後から60年前後のわずか20年で駆け抜けたようにみえてしまうのだ。」

    「ビル・エヴァンスを初めて聴いたのは高校生のころであった。
    クラシックばかり聴いていた私にとって、エヴァンスのタッチは白人的というかクラシック的なので、入りやすかったのであろう。
    ハーモニーもドビュッシーやラヴェル(あるいはサティ)を熟知している人間のそれであり、良くも悪くも印象派風ジャズというか、少し凝ったムード・ミュージックとして消費しやすかったのだと思う。
    じじつエヴァンスはいまだに『オシャレで洗練されたジャズ』の典型みたいに受けとられていることは、否定できないだろう。しかしながら(以下省略)」

    ところでストレンジ氏はキース・ジャレットの即興についての論文で博士号をとったそうですが、もとはアリゾナ州立大学でクラシックピアノを学んだそうです。
    そのとき習ったジェームズ・ルッコロ先生はジャズもとても上手いかたで、彼のレッスンでは《ショパンの24のエテュード》を徹底的にやらされたそうです。
    技術練習はショパンのエテュードだけやればじゅうぶんという考え方の人だったそうです。
    それをきくとまたすぐ安易に「ショパンのエテュード弾いてみようかな」と思ってしまう私。

  • 書かれた内容が理解できるだけの音楽の素養があるといいなと思う

  • 764.7

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著者プロフィール

1960年京都生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は近代西洋音楽史。著書に『リヒャルト・シュトラウス 人と作品』(音楽之友社、2014)、『音楽の危機』(中公新書、2020、小林秀雄賞受賞)、『音楽の聴き方』(中公新書、2009、吉田秀和賞受賞)、『西洋音楽史』(中公新書、2005)、『オペラの運命』(中公新書、2001、サントリー学芸賞受賞)、共著に『すごいジャズには理由がある』(アルテスパブリッシング、2014)など。

「2023年 『配信芸術論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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