シューベルトの「冬の旅」

制作 : 岡本時子  岡本順治 
  • アルテスパブリッシング (2017年2月8日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865591507

作品紹介・あらすじ

英国の誇る世界的リート歌手が、1000回を超える演奏経験と、文学・歴史・政治・自然科学におよぶ広大な知見と洞察にもとづいて著した、いまだかつてない刺激的なシューベルト論。

『冬の旅』全曲の成立史を克明に跡づけるとともに、詩人ミュラーと作曲家シューベルトが生きた19世紀初頭のヨーロッパの文化状況や自然環境を、豊かなイマジネーションで読者の眼前に生き生きと再現する。カラー図版を多数掲載した美しい造本仕様も魅力。

すぐれたノンフィクション作品にあたえられる英国の権威ある文学賞「ダフ・クーパー賞」を受賞!

「『冬の旅』ほどに複雑で強い情感を呼び起こす作品を演奏するということは、それにあらゆる面でかかわるということだ。1828年に文化という大海原に流された、瓶に入れられたメッセージが、いまに生きる私たちにどんな意味をもつのかを理解することでもある。この作品は私たちの現在の関心事にどう関連するのだろうか? まったく予期しなかったようなかたちでも、私たちとのつながりが見つかるのだろうか?」(本文より)

「この著作の英語のサブタイトル[Anatomy of an Obsession]が示すように、『冬の旅』にとりつかれた心を分析することで、ボストリッジは自分が音楽の解釈者のなかでももっとも才能ある文筆家に属することを証明してみせた。彼が語ることは、生き生きとして博識であり、もっとも素晴らしい意味において読者を楽しませるものである。本著は文化史を概観させてくれるばかりでなく、プレゼンテーションの大胆さと巧みさゆえに、読者をこのうえなく刺激的な知的世界への冒険へと誘うのだ。[略]
この本はより広い読者層を意識したものである。音楽用語の使用は控えてあり、さまざまな専門用語は説明がなされている。それに加えて、見識をもって選び抜いたかずかずの絵画や映像が、彼の文章をさらに豊かなものにしている。シューベルトとカスパー・ダーフィト・フリードリヒを対比させることが、これほどまでに意義深く思えることはめったにないだろう。」(アルフレート・ブレンデル/独Zeit紙の書評より)

シューベルトの「冬の旅」の感想・レビュー・書評

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  • イギリスのテノール歌手、イアン・ボストリッジ氏の幅広い知見と卓越した文章で書かれた、シューベルト『冬の旅』の分析本です。
    原題に「Anatomy of an Obsession」とあるように、『冬の旅』に取り付かれた心を、音楽学や文学のみならず歴史・政治・自然科学・物理学に到るまであらゆる分野から考察し解剖していきます。文章はなるべく専門用語を使わないようにしていてわかりやすく、優しい人柄が滲み出ており、またユーモラスで読者を飽きさせません。
    個人的に、人の考えや作品の意図を知るためには、その人の言動だけでなく当時の背景(宗教や政治・家庭環境・価値観など)を洗わなければ本当には理解できないと感じているので、ボストリッジ氏のアプローチのしかたは大変理想的でした。
    この歌曲の不気味さや美しさや恐ろしさについて自分が感覚的にしか理解できなかったことに、一つずつ名前が付けられて説明がなされる喜びは無上のものです。翻訳者の後書き(こちらも大変感じ入るものがありました)にもあるように「知る愉しみ」を私たちに教えてくれます。
    ボストリッジ氏はこの本を二年で書き上げたとのことですが、実際には約三十年+二年かかっているのだと思います。歌手としてこの曲を歌いながら理解を深めていき、その膨大な知識をこの本で私たちにも分け与えてくれたことに感謝します。
    また、本の装丁も大変こだわっていて、表紙や中身のデザインも帯も栞も隅から隅まで美しく、手元に置けることが嬉しくなります。内容にふさわしいと思います。

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