- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865592023
作品紹介・あらすじ
祝・YMO結成40周年!
レコーディング・スタッフとして『散開』までを見届けた著者が、
豪華ゲストとともに解き明かすテクノ・ポップの魔法!
78年のデビュー作『イエロー・マジック・オーケストラ』に始まり、『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』『BGM』『テクノデリック』『浮気なぼくら』、そして93年の『テクノドン』まで、YMOが発表した6枚のスタジオ・アルバムは、その後の世界のポップスを変えました。
本書はそのレコーディング・プロセスに深く分け入り、細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏というメンバー3人の共同作業から生まれたYMOのいまなお新しい音楽性の秘密を探っていきます。
著者は80年代にYMOのアシスタントを務めたのち、サザンオールスターズ、布袋寅泰、玉置浩二、JUDY AND MARRY、ウルフルズなどを手がけ、現在は音楽プロデューサー/アレンジャー/シンセサイザー・プログラマーとして活躍中。
■対談ゲスト
松武秀樹(シンセサイザー・プログラマー/作編曲/音楽プロデューサー)
飯尾芳史(レコーディング・エンジニア/プロデューサー)
砂原良徳(ミュージシャン)
木本ヤスオ(サウンド・プロデューサー/アレンジャー/シンセサイザー・プログラマー)
感想・レビュー・書評
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☆☆☆☆☆
星が5つでは足りないので、ここに倍量追加しておきます。
アルバム「増殖」から散開までの間YMOのアシスタントを務めた著者が、YMOの6枚のスタジオアルバムについてゲストと対談したトークショーをまとめた本。
対談相手は、松武秀樹、飯尾芳史、砂原良徳、木本ヤスオと、砂原を除いては、実際にアルバム制作にかかわった人ばかりなので、当時の状況が裏話も含めリアルに伝わってきて「そうだったんだ~」と思うことしきり。
一点疑問なのは、「増殖」もスタジオアルバムなのに取り上げられていないこと。スネークマンショーのコントが入っているので、純粋な音楽アルバムではないことが原因なのか?
でも、入っている曲こそ少ないものの、良い曲が多いので「増殖」についても取り上げてほしかった。
YMOファンはもちろん、日本の初期テクノポップに興味ある人は必読!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
YMOのスタジオアルバム制作に当時アシスタントとして関わっていた著者から見たYMOの振り返り。楽器や録音機材、録音方法の専門用語など半分も分からないが、YMOのあまたの楽曲が、どういったメンバーの思惑で、どういった手法でもって作られていたのか、という舞台裏が語られていて、ファンにはもうたまらない。特にオリジナルの世界初のサンプリングマシンを大体的使った『テクノデリック』の章は、シンセサイザーのほかに生音、生楽器の音源がデジタル化され電子楽器とまったく等価に扱えるようになり、手弾きなのかと打ち込みなのかが手段としての制約ではなく、ミュージシャンの意図として選べるようになり、そのメイキングのエピソードには興奮する。本人自身の振り返りによる主観や逡巡といったバイアスがないこういう振り返りは、ある意味で本人自身の振り返りより正確に当時の現状を言い伝えていると思う。
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ファンにはたまらない一冊。
「メンバーが一切関わってないので面白くない」
と思う方もいらっしゃるかもしれないが、
「メンバーが一切関わってないから面白い」と。
「あの時は細野さんと教授が~」みたいな話が出てくるとニヤニヤしちゃう。
「増殖」や「service」の話も聞きたかったなぁ。
ちなみに、
一番好きなアルバムは「BGM」
一番好きな曲は・・・「東風」か「Technopolis」
なんだかんだで一番聴いてるのは「After Service」
です。 -
YMOのレコーディングスタッフであり、その後はサザンオールスターズや桑田佳祐、布袋寅泰の作品の共同プロデューサーを務め、現在は第一線で活躍する著者が、レコーディング時のトラックシートを媒介として6つのYMOの代表作のレコーディングの解説を行う一冊。
トラックシートとは、数十の独立したトラックに、どの楽器の録音を行ったかを記載したものであり、いわば”録音の地図”である。本書では「Yellow Magic Orchestra」、「Solid State Survivor」、「BGM」、「Technodelic」、「浮気なぼくら」、「Technodon」の6作品について、”4人目のYMO”として知られる松武秀樹氏を始めとして、レコーディングに立ち会ったゲストとの対談を中心として、レコーディングのマジックを解き明かそうとする。
著者の藤井氏は自身も楽器の演奏家であることから、コード進行に関するアナリティクスもふんだんに交えられており、単なる機材テクノロジーの話だけではなく、コード・メロディー・ハーモニーといった古典的な音楽の3要素においても十分のYMOの音楽が独自性を持つことが伺い知れて、非常に面白い。個人的に、これまで聞き流していた「BGM」の凄さを再実感し、ここ数日、数十回と聞いている。結成から40周年を迎えたYMOの作品を聞き直すきっかけとして、ファンにはたまらない一冊であった。 -
YMOの楽曲それぞれで使われたシンセサイザーの裏話から、アルバムを通じての三人の関係性を紐解く話が詰まっており、おもしろかっです。
自分も趣味でシンセサイザーを弾きますが、この本を読めば読むほどYMO、シンセサイザー、テクノポップは深いと感じます。 -
YMOと出会って44年。改めてその音作りにかける知性と情熱をこの本にて学ばせていただいた。作品(アルバム)に込められた数々の思いは物語として永遠に続くのですね
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/745551 -
著者は「増殖」から散会まで、YMOのアシスタントを務めたのち、シンセサイザープログラマーとして数々の著名アーティストと制作やプロデュースを行っている。YMOのアルバム制作裏話や松武秀樹らとの対談が面白い。
ファーストアルバムのイエローマジックオーケストラ、松武さんは日本版の方が音量やバランスを細かく微調整していて好きだとのこと。US版は音を上げたら上げっぱなしで、その分締まった音にはなっている。個人的にはUS版の方が派手で好きなのだが。意外だったのは、このアルバムが当初アルファレコード経営陣には評判が悪かったこと。アルファレコードと云えば先進的な音楽を売り物にしているイメージが有ったのだが、「今まで耳にしたことのない難解な現代音楽に正直あっけにとられ、社長と顔を見合わせて当惑した」という。でも私の周辺では一発ではまった人が結構いたんだよなぁ。
テクノデリックの「体操」これが当初インスト曲としていたことに驚き。教授がこのメロディに歌詞を付けて歌メロにしようと提案。あと「京城音楽」では、このころ教授は沈んでいて、それがソウルに行って元気になって帰って来て、そんなフレッシュになった気持ちが込められているらしい。このアルバムではこの曲が一番好きだから、良い話だと思った。また、「階段」や「前奏・後奏」なんかで使われている工場の音は、田町のアルファスタジオの近くの工場で、アルファのエンジニア飯尾氏(YMO・立花ハジメ・戸川純らのレコーディングに多く関わる)が録音してきて、幸宏や教授がそれをとても気に入って使ったとのこと。
「浮気なぼくら」のアルバム、幸宏が「君に胸キュン」を作りながら、「YMOって歌謡曲のバンドだったんだ」って言われて消えるのがかっこいいと言っていた。私も最初に聞いたときは、ふざけているのかと思った。その後TVとかで歌っているのを見ても違和感ありまくりで「何で?」って感じた。しかしその後、結構かっこいいなと思うように…これもファンふるい落としの一環だったのだろうか。因みにこの曲の「キュン」は細野さんと教授がシンセで作ろうとしたが上手く出来ずに断念。「しょうがない、声でやるか」となった。でもアブソリュートエゴダンスの掛け声「ヒュン」はシンセなのだが。
人気曲の一位は「東風」二位が「ビハインド・ザ・マスク」で三位は「テクノポリス」「ジャム」「音楽」。「東風」は大好き、納得。でも同じくらい好きな「Nice Age」は10以内に入っていない、何故だ。
しかし、あの三人でもYMOの名は余りにも大きく、細野「大変だったですね」幸宏「自分達じゃ、もうコントロールできなかった」教授「YMO恐怖症だった」けど、歳とってからそのトラウマは無くなったらしい。
だから今では楽しそうに三人で集まって色々やってるんだな。