〈対談〉音楽で生きていく! 10人の音楽家と語るこれからのキャリアデザイン
- アルテスパブリッシング (2019年11月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865592115
作品紹介・あらすじ
ピアノ演奏と文筆業の両面で長年ユニークな活動を続けてきた青柳いづみこが、現在もっとも輝きを放つ20〜30代の演奏家10人と「キャリアデザイン」をテーマに本音でトーク。
彼らを育てた環境、ユニークな教育、はじめて明かされる挫折やターニングポイント……
彼らだけが成功を勝ちとることができた秘訣はどんなものだったのか──
これから音楽家をめざす若者たちへのアドバイスやヒント満載の対談集!
◎登場アーティスト(50音順)
會田瑞樹(打楽器)
上野星矢(フルート)
川口成彦(フォルテピアノ)
川瀬賢太郎(指揮)
佐藤俊介(ヴァイオリン)
田村響(ピアノ)
本條秀慈郎(三弦)
村松稔之(カウンターテナー)
森円花(作曲)
脇園彩(メゾソプラノ)
感想・レビュー・書評
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/731408詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20代から30代前半で活躍の場を掴んだ音楽家の人たちに、キャリア形成についてインタビューをしたものをまとめた本。
インタビュー時点で29歳~34歳ということは、現在でも40代前ということで、若手の部類に入るのだと思う。
メッセージとして印象に残ったのは、音楽の能力が求められるだけでなく、学びや発表の場を掴むためには、自分からアクションをしていかなければいけないということだ。
演奏の場がなかなか得られない時期にも、助成金を募ったり演奏会をプロデュースしたりして、何とか自分が活動する場を作り出し、それが誰かに見られることで次につながっていく。
我々が目にする演奏会なども、演奏家が誰かに求められて演奏をしているだけでなく、演奏家自身が企画し、それによって実現した演奏会を世に問うているようなスタイルのものも数多くあるということが分かった。
作曲家への委嘱にしても、新しい師匠に弟子入りするにしても、同じようにダメもとでいろいろと声を掛けていくということを、本書に登場する多くの人がやっていた。
あまり先が見通せないときにも、そのようにしてとにかく動いてみることで何かがつかめるというのは、音楽家に限らず言えることなのだろうと感じた。
また、音楽の世界にも業界があり、その中で自分のアピールし、ネットワークをつくっていかなければ、演奏の機会もなかなか恵まれない。コンクールに入賞すれば演奏の機会が与えられるという世界ではないということも、よく分かった。
そのため、本書に出て来る人も、各々の業界に関する傾向と対策については、非常に具体的にお話をしてくれている。声楽、器楽、邦楽などジャンルによって多少の違いはあるが、その点は印象に残った。
一方で、どの方も、音楽家としての自分の方向性ややりたいことのイメージは、若いうちに明確に持っているように感じた。
そして、ある時点からはそれをブレずに持ち続けていることによって、無理な演奏活動をして体調や技術に不調を来したり、音楽性がぼやけたりすることがないように活動しているということも、また大切なことであると感じた。
音楽家のキャリア形成という意味では、比較的率直にそれぞれの人のメッセージが出ている本ではないかと感じた。また、著者の青柳さんがそれぞれの演奏家のそれまでの経歴やそのジャンルのことを良く把握した上で話を聴かれているので、一段深いところの話まで踏み込むことができているように思う。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/731408 -
私は音楽に詳しくないですが
色んなカテゴリの音楽の専門家の方が
どのような事を心がけて
成功していったのか
ためになる内容が色々あって良かったです。 -
インタビュー時29才~34才の10人の音楽家にキャリアデザインの視点からインタビュー。
自分で考え自分で行動するパワー、自分に対する揺らぐことのない信頼感(自信とはちょっとニュアンスが違う)。
所々出てくる日本の音楽教育に対する批判も面白いが、それは究極的な問題ではないんだよな。。。出る釘は出るし、栴檀は香るんだよな、と思った。 -
今年のベスト1、星10個でも足りない!
とにかくハッピーな気持ちになれる一冊、それを支えるのは青柳さんの超強力な人間力。
また、この本がスゴイのは、雑誌や新聞の連載をまとめたのではなく、単行本として企画され、10人の音楽家へのインタビューをきっちりまとめ上げたこと。
この企画を引き受けて成功させられるアルテスという出版社があればこそ実現できた奇跡の一冊だ。
一般読者への訴求力は弱いのだろうけど、図書館や教育機関などへの売り上げだけでも商売にはなるのかな。
それでも、多くの読者を得て再版を重ねて欲しいと、切に願う。