感想・レビュー・書評

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  • 時間のある時に、ゆっくり読んでいます。

  • 日本ではあまり知名度はありませんが、ダライ・ラマ同様に崇め尊敬されているティク・ナット・ハン師。
    彼の普及するマインドフルネスは、今では宗教を超えて広く世界に知られるようになっています。

    今年の師の来日予定に合わせて組まれた特集。
    彼の半生や仏教家としての活動が紹介されるほか、その教えに触れた人々やリトリートに参加した人々の体験談も掲載されています。

    ベトナム出身でベトナム戦争を体験した禅僧。
    そのほか、平和運動家・詩人という肩書も持ちます。
    語られる言葉は、時に詩のように美しいものです。

    彼は行動する仏教家であり、瞑想を中心にした修行を行います。
    ともすれば、宗教家はその世界に閉じこもっているため、外界との接点がなく、とっつきにくいものになりがちですが、現実社会に即した彼の言葉は、現代の人々の病んだ心に的確に働きかけます。

    キング牧師に影響を与え、ノーベル平和賞に推挙された平和活動家で、さらにビートカルチャーにも影響を与えた詩人なのだそう。時代のくさびとなっています。

    現代の人々、特に若者にネット依存者が多いのは、人々が孤独感や心の空しさを埋めようとして、感覚刺激によって感情を掻き立てているため。
    ただそれは時間の無駄であり、自分の外に何かを求めることでしかないそうです。
    それよりも自分に戻り自分をケアする時間を持つべきだそうです。

    本論から外れますが、日本仏教だけが世界の仏教から外れていることがあると知りました。
    それは世界の僧侶のだれもが踏む「比丘戒」を受けずに僧侶となる仕組みだそうです。
    菩薩戒だけで僧侶となることができるのは、最澄の決断だとのこと。
    日本だけ世界の仏教のグローバルスタンダードから外れているため、かつて中国に仏教留学をする人たちは奈良へ行って具足戒を受けてから中国へ渡ったそうです。
    唐招提寺では、鑑真和尚の伝えた具足戒を行っているからです。

    ここに日本仏教の最大の問題点があることを、今では知らない人が多いのだそう。
    私も全く知りませんでした。
    妻帯もするし、日本仏教は、相当ゆるそうな気がします。
    これでいいものなのでしょうか。

    マインドフルネスの推進として、ビルのすべてに『瞑想』に使える部屋を必ず一つ作ることが提案されていました。
    驚くアイデアですが、今ではイスラム教の拝殿所を設ける会社もあるため、非現実的な話ではなさそうです。
    単なる休憩所ではなく、「瞑想スポット」があれば、人はそこで心を落ち着けられ、社会におけるストレス緩和に役立つだろうとのことです。
    一理あると思いますが、日本で可能なのは、個別に瞑想室を作っていくこと程度。
    まずはほかの国で成功例を出すのが先かと思います。

    心の平安が豊かさな人間を生み出すというハン師の発想。
    目下病気の療養中だそうですが、体調を整えて来日を実現させてほしいものです。

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著者プロフィール

一九二六年、ヴェトナム中部生まれ。十六歳で出家し禅僧になる。一九六〇年代初めにサイゴンで、仏教の非暴力と慈愛にもとづく社会福祉青年学校、ヴァン・ハン仏教大学、ティエプ・ヒエン(相互存在)教団を創設。一九六六年、平和使節としてアメリカとヨーロッパを歴訪。アメリカ政府やペンタゴンに平和提案を行う。その中立的な立場からの平和と停戦の主張を理由に、政府から帰国を拒否され、以後フランスでの亡命生活に入る。フランスでは最初パリに在住、一九八二年に南部ボルドーに仏教の僧院・瞑想道場である「プラムヴィレッジ」を開き、難民を受け入れ、生活と一体になった瞑想を実践しつつ、世界中から多数の参加者を受け入れ、瞑想会(リトリート)や研修を行っている。また著作・講演活動を通じて仏教の教えと平和の実践を説く。
邦訳書 『ブッダの〈気づき〉の瞑想』(山端法玄・島田啓介訳、野草社)、『ブッダの〈呼吸〉の瞑想』、『リトリート ブッダの瞑想の実践』『大地に触れる瞑想』(島田啓介訳、野草社)ほか多数。

「2018年 『ティク・ナット・ハンの般若心経』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ティク・ナット・ハンの作品

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