西洋の欲望 仏教の希望

制作 : 大來尚順 
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865640076

感想・レビュー・書評

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  • 日本で16年間修業を続けたアメリカの仏教研究家による本。
    現代西洋社会のさまざまな問題を、仏教的な見地からどうやって乗り越えていくべきかが語られます。

    キリスト教文化圏である西洋でも、禅への関心は高いといいますが、それは禅のシンプルなイメージやスタイルをよしとする風潮にとどまり、深く仏教を掘り下げて考えようとする人はまだまだ少ないもの。
    異文化社会から日本に来て仏教を学び、再び西洋に戻って活動する著者の語り口は、やはり切り口が斬新ではっとさせられるところが多くあります。
    日本では、仏教はカウンセリングに取り入れられつつあるものの、現実と関連するところは主に文化的側面ですが、氏は現代社会に直接仏教の思想を絡めていこうとしています。

    今の仏教を脅かすものは、他の宗教ではないとする氏。
    むしろ、心理学や大量消費主義に取って代わられる危険性を指摘しています。

    西洋での仏教は、スタイルから入ろうとする人に向けて、関連する消費をうながしたり、高額な修養セミナーを受講させたりするため、そこに自己の悟りは得られないとのこと。
    さらに、そうした単なるストレス解消手段が仏教だと誤解されかねない危険性もあるとのことです。
    イメージ先行のものにありがちなパターン。
    仏教の本質を知るまでにはなかなか至らないということでしょう。
    それでは、一時的なブームで終わりそうな危険性も感じます。

    ただ、現在の恵まれた物質社会、情報社会が過剰だと危惧する人々も少なからずおり、そうした人々にとって仏教の精神は強い助けになると語ります。

    西洋人読者を対象に書かれた本であるため、仏教精神が身近な私たちには、そのアプローチが遠いものに思えたりもしますが、客観的に語られるとそうしたものかと理解できます。

    少し難解な内容。もともと、曖昧模糊とした領域を生かす仏教を科学的な合理性のもとで語ろうとしているため、仏教に慣れた日本人としては難しさを感じますが、西洋人には逆に仏教を把握しやすい一冊になっているのかもしれません。

    「ブッダ自身の柔軟性と仏教の固定イデオロギーへの非固執性は実用主義(プラグマティズム)の実践を現している」とする著者。
    そうなのか・・・と、言われて考え、学んでいくような本になっています。

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プロフィール

宗教・倫理・社会学博士、禅師、作家。米国シンシナティのザビエル大学元教授。1971年より、日本から米国に伝わった禅仏教の伝統である三宝教団で禅修行をはじめる。1984年鎌倉の山田耕雲老師のもとで修行。1988年に法名「Tetsu’un」を賜る。現在はインターネット新聞のハフィントンポストの取締役員でもある。

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