- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865780727
作品紹介・あらすじ
「人類の歴史」像を覆す! 人類学者エマニュエル・トッドの集大成!
世界各地の多様な近代化の軌跡を伝統的な家族構造によって見事に解明し、まったく新しい歴史観と世界像を提示してきたエマニュエル・トッドが、遂に人類全体に共通した起源的な家族形態を特定する。「人類の歴史」像を覆す人類学者としての集大成! ユーラシアを扱う第1巻の上巻は中国、シベリア、日本、インド、東南アジアまで。
感想・レビュー・書評
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金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=31081
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB21531640詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB21531640 -
柄谷行人2016年の1冊。
核家族
人類最古の家族制度。
鹿島茂2016年の3冊。 -
世界を股にかけ時代を飛び越え、家族システムについてに論じる本。その広い風呂敷は先行研究を下敷に、自由に拡げられている。先行研究に対する個人の感想を交えた叙述はあまり引きつけられるところがなく、読みづらくて挫折。ためしに日本の章を読んでみたが、やはりざっくりしすぎだろ! という感想しかない。
構造主義の否定、伝播主義の提示というのが本書の主旨らしい? そこは興味深いが、読み通す動機になりにくい。 -
読売新聞2016/08/29(月本昭男)
週刊文春2016/08/4(鹿島茂)
1992年の『新ヨーロッパ大全』で、ヨーロッパ各地域の宗教および文化的伝統を家族の型との関連で説明してみせた。
1983年『第三惑星』、1984年『世界の幼少期』を一冊にまとめた「世界の多様性 家族構造と近代性」では、コミュニズム、ナチズム、リベラリズム、イスラム原理主義……すべては家族構造から説明し得る。
本書では、ユーラシア大陸全域にわたる膨大な民族学的資料を駆使して、父系にも母系にも一方的に偏ることのない核家族こそが人類の家族システムの起源ではなかったか、と問い詰めてゆく。
ユーラシア大陸のゆうに200を超える民族に観察されてきた多様な家族の型を、東アジアから欧州まで六つの地域ごとに、丹念に地図上に落としてゆく。そこに、たとえば農業の発達がもたらす人口稠密化によって形成される直系家族制など、地域特有の歴史的経緯が観察される。さらに、いったん形成された父系家族制への同化や対抗、古い家族制が残存する周縁部などといった視座から、ほとんど全ての家族制の生成が歴史的に解釈されてゆく。こうした解釈に基づき、最も単純な核家族が人類最古の家族制であったこと、ロシア以東のユーラシア世界の大部分を覆う族外婚制父系共同体家族は中国とメソポタミアにおいて定住社会が遊牧社会と接触するなかで成立したこと、などが推察される。文化人類学者を当惑させてきた中東イスラム父系社会の族内婚などは、イスラム以前の遊牧社会のそれを継承するという。
「問題は英国ではない、EUなのだ」でも、家族構造の変遷が明らかにする「国家」の重要性を指摘しており、第三章では、学者としてのトッドの能力がどのように獲得されてきたのか、この能力がどのように現在の分析に発揮されているのか、種明かしがされている(東京新聞2016年10月30日)。
2011年の「アラブ革命はなぜ起きたか」では、すべてが父から長男に引き継がれる権威主義的な直系家族にあっては、自由と平等の意識が育まれず、アラブ革命は、識字率の上昇や出生率の低下を背景にした普遍への過渡期の一形態であるとみる(朝日新聞 2011/12/11)。
2008年の「文明の接近−「イスラームvs西洋」の虚構」でも、イスラーム圏の諸社会に今日観察される移行期危機の具体的な現れ方を左右する要因は、各社会に構築されてきた家族構造である(朝日新聞 2008/03/23)。
2001年の「世界像革命 〔家族人類学の挑戦〕」は、2000年に来日した際の講演、討論会、歴史人口学者・速水融との対談に、近年のテクスト2本を収録。