エラい人にはウソがある ―論語好きの孔子知らず

  • さくら舎
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865810295

作品紹介・あらすじ

孔子に学んでホントに大丈夫!?
たいていの人は『論語』をありがたい教え、孔子を偉大なエラい人物と思っているようだが、本当にそうなのか!?じつは『論語』をフツーに読むと、スーパーマンとは程遠い、けっこうヘタレなエピソードが満載。ビッグマウスでヘリクツをこね、弟子に嫉妬するなど、人間くさい“マナー講師”だ。自称イタリア生まれの日本文化史研究家の著者が、孔子と『論語』をありがたがる“論語病”に物申す!笑いとつっこみを入れながら読み解く《ありのままの孔子》!

感想・レビュー・書評

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  • 痛烈なる孔子観への批判が面白かった。

    孔子がどうのこうのという訳ではなく、論語を用いた社会の孔子に対するイメージがおかしいという著者の意見がしっかりと明記されており、読んでいてとても面白い。

    実際がどうであったかどうかは正味分からないところが多いが、歴史的に不明確な所から話が盛られているのではというのは確かにと感じる。

  • 孔子は聖人に非ずという事で虚勢を張った非暴力なダメなオヤジだったからこそ弟子に慕われたということを説明した本。
    ただ盲目的に聖人と崇めるのでは無く多角的に捉えることの大切さは分かった。

  • 論語読む前に読んでよかった。盲信してしまうところだった。歴史上の人物が神格化されがちなことを念頭に、伝記ものなどを読まなければと思った。昔に会社の研修で、大学小学ってのをやったのを思い出した。内容はもう覚えてないが

  • この前読んだ本と大違い。素読すると清々しい気持ちになりかけていた自分が、鼻につく論語かぶれになりかかっていたのではと、俯瞰的に見れるようになった。著者は孔子を神格化はしないけれど、外国人の名を語る著者の孔子への深い愛情を感じた。

  • まあ面白かったかな

  • 論語はありがたいお言葉の宝庫であり、経営者などの精神的支柱であったり、多くの人々の座右の銘としても、正に万能薬的なポジションですが、それを真正面からぶったぎったある意味勇気ある本! 孔子の実はダメ人間で発言には歴史的根拠が薄く、明治以前の認知度は低く、今昔物語などでは逆にからかいの対象だったとか言いたい放題 明治時代にポケット論語の大ヒットで一躍有名。渋沢栄一の成功は論語のおかげというのもすべて後付けとの事 WIKIによれば信玄の風林火山もその根拠は曖昧で信憑性がないとの事。まさに常識は疑ってかかれだ

  • ものごとは、一つの側面でばかり見るべきでない。ということを学べます。
    歴史には、様々な脚色が加えられていることも、間違いのない事実だと思う。

  • 孔子≒相田みつを?孔子に限らず歴史上の人物を神格化する事への問題提起には納得。歴史は解釈によって変わるものだし。
    そもそも論語を読んだ事ないので、その是非もわからないのだが、批判書はあまり見かけないような。このように世の中で善とされているモノに対する負の側面を論じる事が出来るのが思想・言論の自由なのかなと。ただし、こういうのはひとつのビジネスというかスタイルの型ではあるんだろうけど。

  • 「論語」や孔子についての世間一般のグッドイメージを、著者お得意の文献、資料調査、解読等をもとにひっくり返す本。とは言っても一方的にけなすだけでなく、著者なりの孔子愛や、論語への一定評価が入っている。

    以下、本書を読んで初めて孔子や論語について私がわかったこと。

    -「論語」は孔子が書いたものではなく、孔子の死後弟子たちによって書かれたもの。
    -「論語」の中で書かれている内容に矛盾があるにもかかわらず、一部だけの言葉がとりあげられて有名になっている
    (例:「私は40歳になってからは惑わなくなった」とあるのに、後ろの方では「わたしはまだそのレベルになっていない」旨の記載等)
    -現代でも有名な言葉の意味が後世になってまちがって解釈されている
     (「義をみてせざるは勇なきなり」は「まちがった祭礼を見て正さないのはよくない」ということらしい)
    -孔子は思想家などではなく、当時のマナーや儀礼を教える講師のような人だった
    -孔子や「論語」が日本で尊敬されるようになったのは、明治以降からで、それまではどっちかというと小ばかにされているような位置づけだった。

    相変わらずのパオロ節が炸裂した本書。
    「え~、そうだったの?」という内容が豊富なので、格言好きの人にはぜひ一読していただきたい。

  • 世に隠れなき偉人・・・
    古の聖賢の1人・・・
    孔子さま・・・
    仁とか礼とか大事にして・・・
    政を行うものは斯くあるべし・・・
    人は斯くあるべし・・・
    と、数々の素晴らしい教えを残された儒教の祖・・・
    ボクも、孔子さまと言えばスッゲー立派な方で、儒教は昔から天下を治める者には必須の教え、というイメージだった・・・
    けれども・・・
    著者は過激に突っ込みを入れる・・・
    おいおい論語を色眼鏡無しに読んだら分かるでしょ?
    孔子さまは素晴らしい聖人なんてガラじゃないでしょ・・・
    論語に書いてある話からすると・・・
    40歳越えていろいろと迷っているし・・・
    正しい言葉と正しい行いをしていれば、就職には困らないとしながら自分は14年間就職活動して、結局全滅しているし・・・
    栄達しようと志したのに全然栄達してないし・・・
    人に痛いとこ指摘されるとヘリクツで誤魔化すし・・・
    親孝行してないし・・・
    妻子にも冷たいし・・・
    弟子に嫉妬するし・・・
    言ってること矛盾していること結構あるし・・・
    なんだかポンコツなオッサンじゃん・・・
    素晴らしい偉人なんかじゃなくて、愛すべきオッサンじゃん、と・・・
    ・・・
    えー?!そうなの!?
    論語自体をちゃんと読んだことないので、ボクとしては何とも言えませんが・・・
    著者曰く・・・
    先入観なしに『論語』を素直に読めば、ヘリクツと強がりと負け惜しみばかりならべる孔子のポンコツぶりはだれにでも読み取れるはずなのに、孔子は偉人であると刷り込まれている人たちには、孔子の真の姿が見えなくなってしまっているらしい、と・・・
    ふーむ、なるほど、そうですか・・・
    それにしても、著者は孔子さまが嫌いなの?
    いやいや・・・
    著者はそんなダメダメな孔子さまをコキ下ろしたいわけではない・・・
    むしろそんなダメっぷりを見せてくれる孔子さまに好意を抱いている・・・
    同時代の人々からは負け犬扱いされ、あまり相手にされてなかったのに・・・
    弟子たちから見捨てられず、むしろずっと慕われ、最後まで己の信念を貫き、志を諦めなかった粘り強い人・・・
    良いとこ悪いとこ両方含めてとても魅力的で愛すべき人である、と評価している・・・
    著者が嫌っているのは、そんなダメおやじを神格化し、お偉い聖人に祭り上げちゃってる人々・・・
    著者がいつも嫌う、昔の人はすごかった的なことを言って人々ね・・・
    本書でもそういう面々を非難しております・・・
    著者のいつもの主張である、昔はよかった病の弊害とその根の深さを考えさせられる一冊であり・・・
    正しいかどうかはわかりませんが、孔子さまについて、ちょっと違った視点を与えてくれる一冊・・・
    孔子さまにも興味湧いたわー

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著者プロフィール

パオロ・マッツァリーノ(Paolo Mazzarino):日本文化史研究家。著書に『反社会学講座』『続・反社会学講座』『誰も調べなかった日本文化史』(以上、ちくま文庫)、『読むワイドショー』(ちくま新書)、『「昔はよかった」病』(新潮新書)、『サラリーマン生態100年史』(角川新書)、『思考の憑きもの』(二見書房)などがある。

「2023年 『つっこみ力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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