ほどほどのすすめ ―強すぎ・大きすぎは滅びへの道

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  • さくら舎
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865811513

作品紹介・あらすじ

楽しく長く生きる極意は「ほどほど」!

生物の世界は一見すると弱肉強食のようだが、実際はウィン‐ウィンの関係で成り立っている。増えすぎて大きくなりすぎた集団は、イナゴの大群のようにクラッシュして滅びてしまうのだ。いま大きく・強くなりすぎたシステムの破綻があちこちで起こっている。イギリスのEU脱退、急増する世界人口、超富裕層の富の独占をもたらしたグローバル資本主義、事故になると無限大のコストがかかる原発、働きすぎがなかなかやめられない現代人……。生態学的にも歴史的にも、世の中も人も「ほどほど」がいいのである。

「ホンマでっか!?TV」の人気教授が語る、独り勝ちせずほどほどに生きる道。そもそも生きることは不安定で予測不可能なのだから、人生はあれこれ先を思いわずらうより、今を生きるほうが面白い。「ほどほどのその日暮らし」が楽しく幸せに生きるコツである。

感想・レビュー・書評

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  • ①バランスが大事。
    例えば常在菌。肌なんて、ほとんど洗わなくて大丈夫。
    風呂に入ったり、シャワーで流せばほとんど流れる。
    全部取ってしまおうとすると、今度は悪い菌が
    繁殖する。

    ②多様性 いろいろあってよい。
    1つだけにすると、それがダメになった時、全滅する。

    ③独裁主義は個人での独裁化。
    民主主義は多数性の専制。
    一部の人が莫大な富を得る。

    ④戦争の原因の一つ。食料。
    食料が足りなくなる→隣はどうなっているかな
    →たくさん食料がある
    →どうぜ飢え死にするなら奪っちゃえ!

    ⑤組織にはほどほどのゆるさが必要。
    寛容さは人間の善意をあてにしている。
    「1度か2度くらいサボってもいいが、あまりサボるのは困るよ」というほどのゆるさ◎

    ⑥ブータン このシステムがすごい。
    インドと中国の間の緩衝地帯としての役割。
    経済はインドに全面的に依存。
    ブータンが売れるものは、電力と観光。
    山岳国家で急斜面だから水を使って水力発電。
    ブータンの人口80万人。だから、あまった電力は
    インドに売って食っている。
    インドは大国だから、貧乏人が出る。
    貧乏人はブータンに出稼ぎに来て、
    掃除やら下っ端の仕事をしている。
    インドとしても、ブータンが国境線の治安を守らせながら、自国の貧乏人を養ってもらっているからおいしい。
    かつての沖縄も、中国と日本の間でなんとかやっていた。

    だから緩衝地帯が必要なんだよね。
    日本は海に囲まれているから、それが緩衝地帯だと
    言えなくもないのか。
    まあ、アメリカさんにとっては、日本があることでその向こう側と対峙しなくて済むようにしているから、
    そこに日本の価値を求めておけばいいのか。

    ⑦サスティナブル(持続可能)な状態でいるためには、
    もっと人間の数は少なくて良い。
    増えすぎると、食料の争奪戦が始まる。
    だから、これから大事なのは、農業。
    穀物を食べるようにしていると、必要なエネルギーを
    得るのにたくさん食べないといけなくて、
    効率が悪い。
    いいのは、肉などのたんぱく質をとっておいて、
    あとはごろごろしていることだ。
    国力の観点からいうと、人口が減るのはよくないから
    指導者としては人口を増やしていきたい。
    もっというと、他の国の人口は減らして、自分のところは減らさない。これがいい。
    でも、地球のいろいろな矛盾は、人口が減れば
    解決する。
    少子化が悪い、というのは資本主義での話。
    資本主義では、どんどん作ってどんどん買って・・と
    カネを回さないといけないシステムになっているから、
    少子化で消費者が減ったり、自然に回帰していくような
    消費しないシステムになっていくと都合が悪いわけだ。

    ⑧日本は電力の使い過ぎ
    戦後すぐは、日本の電力の70~80%は水力発電だった。それから水力発電量はずっと変わっていない。
    それなのに、今は水力発電は10%でしかない。
    ものすごくたくさんの電力を使うようなったから。

    もうね、24時間営業とかいらないよ。
    夜は寝ればいい。

    ⑨エネルギーがなくなると地域社会になる。
    昔は江戸と京の間を2週間かけて行き来していた。
    早くしたいときは飛脚。
    それだと、3日か4日くらいで運べる。
    一人ではもちろん走れないから、何十人かでリレーする。
    というように、何かを運ぶにはエネルギーを使う。
    エネルギー自給率7%の日本。
    これからどうするんだろう。
    地域社会にすればいいんじゃないか、と思うんだけど、
    こんなに便利になっちゃったもんだから、
    後戻りできないんだろうか。

    ⑩働かなくても食える、が正しい生き方。
    温暖な気候のおかげで、1年に2回稲作ができるラオス。
    でも、1回しか作っていない。
    なぜなら、「必要がないから」
    残りはのんびりして暮らす。
    必要以上に働かないのは、幸せなことだ。
    ワークシェアリングが現代でいうところのそれだろうか。
    しかし、今はそれもできなくて、どんどん安く買いたたく。ワーキングプアの状態になっている。
    グローパル資本主義をやろうとすると、結局のところ
    正社員を減らして全部バイトにするのが効率的になる。
    賃金が安くて済むから。
    それで儲けるのは一部の人のみ。
    大富豪トップ3で地球上の50%の人の賃金と同じ
    といったら、衝撃でしかない。
    そんな社会に組み込まれちゃってるのが悲しい。

    ⑪ベーシックインカムの話
    人間には承認要求があって、
    他人からリスペクトされたい。
    だから、ベーシックインカムをもらって
    働かなくてもお金がもらえるようになっても、
    働きたい人は働く。
    むしろ、働かなくてもいい、という自由な状態が
    新しい文化を生むかもしれない。
    とにかく、今の資本主義的な構造では、搾取が進む一方だから、いずれ崩壊する。

    少子化が進む日本。だから、外国から労働者を・・と
    なっているが、果たしてそれが今後の日本にとって
    幸せなのか。難しいところだ。
    国を小さくして、今あるもので暮らしていくというのも
    悪くないのではと思ってしまう。
    むしろ、海外から人を呼んだところで
    その人たちの価値観を日本に合わせていけるのだろうか。
    教育は?対応できるの?
    日本人自体が「満たされてない」と思っているのに
    海外からの人を満たすことは到底難しいのでは
    と思う。

    ほどほどのすすめってタイトルだが、
    いろいろ考えさせられる内容であった。

    とにかく、知は力だ。

  • 1947年生まれの生物学者が「ほどほど」の生き方を勧める。今の社会の流れが無理をしながら資本主義、グローバル化を進め、格差が広がリ、社会に矛盾ができている。それは自然の流れに逆らっているからだ。人口減少も、エネルギー減少も流れのままに受け入れるべきで、資本主義から離れるべきだと筆者は説く。資本主義は、人口増加と消費の拡大を必要とするが、いずれ破綻する。日本の人口は6000万人くらいでちょうど良く、これで食料もエネルギーも自給自足ができる。あくせく働かなくても生きていける未来のシステムを提案する。原発推進は長期視点から明らかに破滅的な方策であリ、経済的で安全なエネルギー政策を提言する。国民が選択すれば国の方向も変わるのかな、と思った。

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著者プロフィール

1947年、東京生まれ。東京教育大学理学部卒業、東京都立大学大学院理学研究科博士課程単位取得満期退学。理学博士。生物学者。早稲田大学名誉教授。構造主義生物学の立場から科学論・社会評論等の執筆も行う。カミキリムシの収集家としても知られる。著書は『ほんとうの環境白書』『不思議な生き物』『オスは生きてるムダなのか』『やがて消えゆく我が身なら』『生物にとって時間とは何か』『真面目に生きると損をする』『正直者ばかりバカを見る』『いい加減くらいが丁度いい』『生物学ものしり帖』など多数。

「2020年 『本当のことを言ってはいけない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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