恋歌 ―王朝の貴族たち

著者 :
  • さくら舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865811636

作品紹介・あらすじ

平安京の夜空を飛び交う愛の告白!

王朝時代、平安京の夜空をたくさんの恋歌がメールのように飛び交っていた。文使いの少年に託された歌は、数分で相手のもとに届く。「和歌(やまとうた)は人の心を種として、折々の思いがさまざまな言葉になって表れて出たもの」と紀貫之(『古今集』撰者)は語っている。

通い婚のため男を待つしかない女の切なさ、許されざる恋に涙する男、共寝の翌朝の別れのつらさ……。武士ですら優雅な恋歌をものした時代、典雅な三十一字の歌から、王朝の人々の想いがいきいきと伝わってくる。百人一首、古今集、拾遺集、金葉集などさまざまな有名歌集から、選りすぐった和歌と歌人101人の人生をわかりやすく、リアルな筆致で紹介。短い生涯を恋に歌に生きた男と女の、愛の告白に感嘆する一冊。

感想・レビュー・書評

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  •  王朝和歌の名歌をそのエピソードとともに綴ったエッセイ集だ。もともとは中日新聞系の各紙に連載された記事が元になっており、すべての項目が見開き2ページに収まっている。
     著者は気鋭の和歌の研究者である。本書はあくまで一般向けを意識して書かれている。一般紙に書かれる内容としてはかなり高度であり、この連載を読み続けていた人は現代の和歌研究の水準を知ることができていたはずだ。
     書名は恋歌であるが、収録されている歌は必ずしも恋愛の歌だけではない。王朝の和歌の中核に恋の表現があるのは事実であり、その方面の作品に豊富なものがあるのは事実だ。本書でも数多くの恋歌が掲載されているが、恋というある意味普遍的な内容をどう個人の表現に落とし込むかという課題が、日本の場合は平安時代以前から繰り返し追求されてきたことを知ることができるのである。
     Love songは今でも流行歌の主流であり、決して尽きることがない。でも、その表現の源流を古典に求めると意外にもその原型を見つけることができる。本書はそれを知るいい機会になる。

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著者プロフィール

1960年栃木県生。慶應義塾大学大学院博士課程単位取得。現在 京都産業大学文化学部教授。主要著書『続拾遺和歌集』(明治書院)『歌論歌学集成七』(「無名抄」を担当。三弥井書店・共著)『前長門守時朝入京田舎打聞集全釈』(風間書房・共著)『詠歌一躰 影印二種翻刻一種並びに三本校異』(和泉書院・共著)

「2012年 『鴨長明と寂蓮』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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