スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件 ―四四〇億円の借金帳消しを勝ち取った男たち

著者 :
  • さくら舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865812848

作品紹介・あらすじ

不正融資は返済せず!前例なき奇跡の決着!

2018年に世間を騒がせた「スルガ銀行不正融資事件」は、被害者約250名が抱える不動産担保ローン合計残高約440億円をスルガ銀行(沼津市)が「帳消し」にするという、金融史上前例のない解決となった。
事件の裏にあったのは、スルガ銀行と不動産業者や仲介業者が共謀して土地代や建築費を水増しした上、不正融資でシェアハウス「かぼちゃの馬車」を購入させるという構図。そして業者が経営難に陥った結果、オーナーはひとりにつき1億円以上の債務を負わされたのだ。

自己破産する者、自殺する者もいるなか、生きる道を探そうとひとりの被害者が立ち上がった。「おれたちはすでに経済的に死んでいる。これ以上何を恐れることがある?」彼は仲間を集めて被害者同盟をつくり、凄腕弁護士・河合弘之氏に依頼、スルガ銀行を相手に闘う決意をする。

河合弁護士の発案・指示のもと、同盟のメンバーによる本店・支店前でのデモや株主総会での直談判などが行われ、次第に揺らいでくるスルガ銀行の牙城。勝てる見込みがないと言われた地銀の雄・スルガ銀行を相手に、代物弁済という借金帳消しを勝ち取った男たちのノンフィクション!

感想・レビュー・書評

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  • 名古屋の鶴舞図書館で不定期に開催されているビブリオバトルで3月に紹介されたノンフィクション。とても面白い本でした。

    本書は2018年に世間を騒がせた「スルガ銀行不正融資事件」の顛末を描きます。
    本件は大規模な詐欺事件で、スルガ銀行と不動産業者や仲介業者が共謀して土地代や建築費を数千万円も水増しした上、不正融資でシェアハウス「かぼちゃの馬車」購入させるという構図。オーナーとなった多くは普通のサラリーマン。彼らは業者からローン返済額をゆうに超える多額のサブリース料を約束されますが、シェアハウスの入居者は増えず、一方的にサブリース料は減額、停止されます。さらに業者が経営難に陥った結果、オーナーはひとりにつき1億円以上の債務を負わされたという事件です。

    自己破産する者、自殺する者もいるなか、ひとりの被害者が立ち上がります。彼、冨谷氏(仮名)は仲間を集めて被害者同盟をつくり、凄腕弁護士・河合弘之氏に依頼、最後まで闘う決意をします。
    闘う相手を金が取れない業者ではなく、融資を行ったスルガ銀行に狙いを定め、河合弁護士の発案・指示のもと、同盟のメンバーは本店・支店前でのデモや株主総会での直談判を行い、スルガ銀行にダメージを与えてゆきます。
    そして、サブタイトルのように、被害者同盟は代物弁済という借金帳消しを勝ち取ります。

    本書の読みどころは
    1)騙されそうもない人が、騙されてしまうという現実。色々な手口が紹介され、勉強になります。
    2)被害者同盟設立の苦労。全額借金帳消しではなくローンの金利減額で妥協してしまいたい人、帳消しではなく訴訟を選好する人など、被害者の考えは一様ではありません。これをいかにまとめるか、冨谷氏は悪戦苦闘します。
    3)被害者同盟のデモによりスルガ銀行が揺らいでゆく様子。
    4)本件の首謀者とされる稀代の詐欺師 佐藤太治の凄さ。
    5)河合弁護士の魅力。
    6)スルガ銀行の不正融資の周到さと企業としてのブラック度。

    世間では被害者に対する自己責任論も強く、被害者たちは苦しみます。しかし、デモやメディアへの訴えが功を奏し、だんだんと彼らに対する同情的な空気も生まれます。本書はノンフィクションですが、440億円の借金帳消しという奇跡のような結末までの、勧善懲悪のドラマであり、「半沢直樹」的な面白さがあります。一気に読みました。お勧めです。

  • すごく面白かったし、教訓も多く得られた。

    特に印象に残ったのは以下のくだり。

    困難に直面したときに、立ち向かう人間と、逃げ出す奴がいる。大事な場面で逃げ出す人間は、一生そういう人生を歩む。

    自分は立ち向かう人間でありたい。

    • mori130さん
      これは映画やドラマにできる話。すごく面白いし、教訓もたくさん得られた。

      特に印象に残ったのは、以下のくだり。

      困難に直面したときに、立ち...
      これは映画やドラマにできる話。すごく面白いし、教訓もたくさん得られた。

      特に印象に残ったのは、以下のくだり。

      困難に直面したときに、立ち向かう人間と、逃げ出す奴がいる。
      大事な場面で逃げ出す人間、自ら戦わない人間は、一生そういう人生を歩む。

      立ち向かう人間でありたい。
      2021/05/30
  • 東2法経図・6F開架:338.7A/O78s//K

  • 数年前とても話題になっていた事件だったので、経緯を知りたいと思い読んでみた。
    日本金融史上稀に見る勝利には、弁護士が優秀だったからだけではなく、弁護士と被害者が一種の友情のような、強固な信頼関係を構築したうえでの勝利だった、ということが熱く語られているように思う。
    いい意味で想像を裏切られ、少年漫画を読んでいるようでワクワクさせられた。

    事件当時は、騙されるのも自己責任だと相当なバッシングを受けていたであろう被害者の方々、想像を絶する苦痛だったと思う。
    絶対的に騙す方が悪いのだが、自己責任論は根強い。
    その状況でも河合弁護士を信じ通し、信念を曲げずにデモを行い、抗議をし、この勝利を勝ち取った被害者の方々には、自分の正しさを決して諦めないこと、そして貫いた先に大きな成果が待っているのだと教えてもらった気がする。

  • かぼちゃの馬車事件について詳しく書かれている本。
    1番悪いのはスマートデイズだが、ここは確信的に詐欺行為をやっている。
    今更この会社を訴えて数百万を回収できたとしてもオーナー達のローンは残ってしまう。
    それならいっそのことグルであったスルガ銀行にターゲットを絞ろうと判断した河合弁護士は流石だと思う。
    しかも、弁護士なのに訴訟にすることはせず、白兵戦を挑んだというのは、反原発の経験からだろうか。

    確かに訴訟はお金も時間もかかるわりに結果が伴わないことが多い。
    それなら手っ取り早くマスコミや世論に訴えてやろうという発想はなかなか弁護士でも思いつかない。

    この件は被害者側にももちろん落ち度はあったが、銀行だからといって安易に信用してはいけないということが白日のもとに晒された。
    しかし、こういった投資詐欺は今後もなくならないのだろうと改めて感じた。

    河合弁護士が凄い先生なのは間違いないが、著者が河合弁護士の友人ということで、大絶賛する姿勢にはちょっと違和感を覚えた。
    特にこの問題に取り組んでいた他の弁護士を名指しで批判するのはいかがなものか。
    結果的に河合弁護士の戦法はうまくいったから言えることであって、同業者を名指して批判するのは業界のタブー。

  • 本書は金融庁幹部に地銀の優等生と褒められた経緯のある地方銀行と天才詐欺師、それに群がり、結託した不動産会社・建設会社らの詐欺行為によって多額の借金を背負わされた被害者たちの戦いの記録です。本書の主人公の一人ともいえるSS被害者同盟のまとめ役リーダーと河合弘之弁護士の出会いが借金帳消しという勝利につながる運命の偶然というものに読んでいてとても感動しました。被害者の方たちの集まりにおいても組織の意思統一が難しく、時には組織そのものの存在をも脅かすこと、そしてそこをついてくる相手方(詐欺行為をした加害者側)と本書で描かれた事件の事実・経緯をたどっていくと本書で描かれた勝利へのサクセスストリーが平坦の道のりではなかったとひしひしと伝わってきました。
    いつの時代も人の心の隙間につけこんでくる天才詐欺師というのは世の中に現れるので平穏な毎日が当たり前ではないと再認識させられた一冊でした。

  • 地銀の優等生等と虚像を振りまいてきたスルガ銀行の、投資目的不動産に対する融資事件。その被害者弁護団の活動を追跡した記録です。普通のサラリーマン達が銀行に戦いを挑み、最終的に前例の無い代物弁済=借金帳消しを勝ち取ったドラマのような実話を楽しめました。

  • 行き過ぎた資本主義の弊害の1つのパターンに見えた

    当事者の方々には大変な道のりだったことは理解しているが、それを読み物としてしっかり被害者に感情移入させ共に勝利を勝ち取ったかのような感覚にさせた著者の力量は素晴らしいと感じた




    余談になるが興味深かったのはバイキング(フジテレビ)とスッキリ(日本テレビ)のメインキャスターによる発言の対比。
    加藤浩次さんは現在テレビ東京で放送されてる『巨大企業の日本改革3.0「いきづらいです2021」~大きな会社と大きな会社とテレ東と~』を見ていても頼りになるアニキ感があるし、俗にいう加藤の乱もそこに繋がっているんだなと思った。それだけにあの行動が大きな変革を実現させられなかったのは正直悔しい。

  • スルガ銀行かぼちゃの馬車事件の顛末が明らかに!
    新聞で読み知っていたかぼちゃの馬車事件に携わった方々が如何にして代物弁済を勝ち得たかが克明に記録されている。
    どの企業も一つ間違えれば陥ってしまう収益至上主義。それを防ぐ方法は、たった一つ。すなわち、常識的に考えておかしいと思うことはやったらいけないということ。おかしいと思ったら、声を上げることに尽きる。この銀行がお客さま目線で行動し、信頼回復することを切に望む。

  • めちゃくちゃおもしろい。

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著者プロフィール

1944 年6月7日、広島県に生まれる。1968 年3月、広島大学文学部仏文科卒業。1970 年、『週刊文春』の記者となる。記者時代『小説電通』(徳間文庫)を発表し、作家としてデビュー。さらに月刊『文藝春秋』に発表した『三越の女帝・竹久みちの野望と金脈』が反響を呼び、岡田社長退陣のきっかけとなった。1983 年、週刊文春を離れ、作家として政財官界から経済、芸能、犯罪まで幅広いジャンルで創作活動をつづけている。
著書は、「十三人のユダ 三越・男たちの野望と崩壊」「美空ひばり・時代を歌う」(以上、新潮社)、「闘争! 角栄学校」(講談社)、「トップ屋魂 首輪のない猟犬」(イースト・プレス)など400 冊以上にのぼる。
近著に、「田中角栄秘録」「官房長官秘録」「小泉純一郎・進次郎秘録」「清和会秘録」(イースト・プレス)、「映画女優 吉永小百合」(朝日新聞出版)など。

「2016年 『田中角栄の酒 「喜びの酒」「悲しみの酒」「怒りの酒」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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