スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件 ―四四〇億円の借金帳消しを勝ち取った男たち

著者 :
  • さくら舎
3.92
  • (11)
  • (13)
  • (10)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 125
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865812848

作品紹介・あらすじ

不正融資は返済せず!前例なき奇跡の決着!

2018年に世間を騒がせた「スルガ銀行不正融資事件」は、被害者約250名が抱える不動産担保ローン合計残高約440億円をスルガ銀行(沼津市)が「帳消し」にするという、金融史上前例のない解決となった。
事件の裏にあったのは、スルガ銀行と不動産業者や仲介業者が共謀して土地代や建築費を水増しした上、不正融資でシェアハウス「かぼちゃの馬車」を購入させるという構図。そして業者が経営難に陥った結果、オーナーはひとりにつき1億円以上の債務を負わされたのだ。

自己破産する者、自殺する者もいるなか、生きる道を探そうとひとりの被害者が立ち上がった。「おれたちはすでに経済的に死んでいる。これ以上何を恐れることがある?」彼は仲間を集めて被害者同盟をつくり、凄腕弁護士・河合弘之氏に依頼、スルガ銀行を相手に闘う決意をする。

河合弁護士の発案・指示のもと、同盟のメンバーによる本店・支店前でのデモや株主総会での直談判などが行われ、次第に揺らいでくるスルガ銀行の牙城。勝てる見込みがないと言われた地銀の雄・スルガ銀行を相手に、代物弁済という借金帳消しを勝ち取った男たちのノンフィクション!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 名古屋の鶴舞図書館で不定期に開催されているビブリオバトルで3月に紹介されたノンフィクション。とても面白い本でした。

    本書は2018年に世間を騒がせた「スルガ銀行不正融資事件」の顛末を描きます。
    本件は大規模な詐欺事件で、スルガ銀行と不動産業者や仲介業者が共謀して土地代や建築費を数千万円も水増しした上、不正融資でシェアハウス「かぼちゃの馬車」購入させるという構図。オーナーとなった多くは普通のサラリーマン。彼らは業者からローン返済額をゆうに超える多額のサブリース料を約束されますが、シェアハウスの入居者は増えず、一方的にサブリース料は減額、停止されます。さらに業者が経営難に陥った結果、オーナーはひとりにつき1億円以上の債務を負わされたという事件です。

    自己破産する者、自殺する者もいるなか、ひとりの被害者が立ち上がります。彼、冨谷氏(仮名)は仲間を集めて被害者同盟をつくり、凄腕弁護士・河合弘之氏に依頼、最後まで闘う決意をします。
    闘う相手を金が取れない業者ではなく、融資を行ったスルガ銀行に狙いを定め、河合弁護士の発案・指示のもと、同盟のメンバーは本店・支店前でのデモや株主総会での直談判を行い、スルガ銀行にダメージを与えてゆきます。
    そして、サブタイトルのように、被害者同盟は代物弁済という借金帳消しを勝ち取ります。

    本書の読みどころは
    1)騙されそうもない人が、騙されてしまうという現実。色々な手口が紹介され、勉強になります。
    2)被害者同盟設立の苦労。全額借金帳消しではなくローンの金利減額で妥協してしまいたい人、帳消しではなく訴訟を選好する人など、被害者の考えは一様ではありません。これをいかにまとめるか、冨谷氏は悪戦苦闘します。
    3)被害者同盟のデモによりスルガ銀行が揺らいでゆく様子。
    4)本件の首謀者とされる稀代の詐欺師 佐藤太治の凄さ。
    5)河合弁護士の魅力。
    6)スルガ銀行の不正融資の周到さと企業としてのブラック度。

    世間では被害者に対する自己責任論も強く、被害者たちは苦しみます。しかし、デモやメディアへの訴えが功を奏し、だんだんと彼らに対する同情的な空気も生まれます。本書はノンフィクションですが、440億円の借金帳消しという奇跡のような結末までの、勧善懲悪のドラマであり、「半沢直樹」的な面白さがあります。一気に読みました。お勧めです。

  • かぼちゃの馬車事件について詳しく書かれている本。
    1番悪いのはスマートデイズだが、ここは確信的に詐欺行為をやっている。
    今更この会社を訴えて数百万を回収できたとしてもオーナー達のローンは残ってしまう。
    それならいっそのことグルであったスルガ銀行にターゲットを絞ろうと判断した河合弁護士は流石だと思う。
    しかも、弁護士なのに訴訟にすることはせず、白兵戦を挑んだというのは、反原発の経験からだろうか。

    確かに訴訟はお金も時間もかかるわりに結果が伴わないことが多い。
    それなら手っ取り早くマスコミや世論に訴えてやろうという発想はなかなか弁護士でも思いつかない。

    この件は被害者側にももちろん落ち度はあったが、銀行だからといって安易に信用してはいけないということが白日のもとに晒された。
    しかし、こういった投資詐欺は今後もなくならないのだろうと改めて感じた。

    河合弁護士が凄い先生なのは間違いないが、著者が河合弁護士の友人ということで、大絶賛する姿勢にはちょっと違和感を覚えた。
    特にこの問題に取り組んでいた他の弁護士を名指しで批判するのはいかがなものか。
    結果的に河合弁護士の戦法はうまくいったから言えることであって、同業者を名指して批判するのは業界のタブー。

  • 本書は金融庁幹部に地銀の優等生と褒められた経緯のある地方銀行と天才詐欺師、それに群がり、結託した不動産会社・建設会社らの詐欺行為によって多額の借金を背負わされた被害者たちの戦いの記録です。本書の主人公の一人ともいえるSS被害者同盟のまとめ役リーダーと河合弘之弁護士の出会いが借金帳消しという勝利につながる運命の偶然というものに読んでいてとても感動しました。被害者の方たちの集まりにおいても組織の意思統一が難しく、時には組織そのものの存在をも脅かすこと、そしてそこをついてくる相手方(詐欺行為をした加害者側)と本書で描かれた事件の事実・経緯をたどっていくと本書で描かれた勝利へのサクセスストリーが平坦の道のりではなかったとひしひしと伝わってきました。
    いつの時代も人の心の隙間につけこんでくる天才詐欺師というのは世の中に現れるので平穏な毎日が当たり前ではないと再認識させられた一冊でした。

  • 地銀の優等生等と虚像を振りまいてきたスルガ銀行の、投資目的不動産に対する融資事件。その被害者弁護団の活動を追跡した記録です。普通のサラリーマン達が銀行に戦いを挑み、最終的に前例の無い代物弁済=借金帳消しを勝ち取ったドラマのような実話を楽しめました。

  • 何となくしか分かってなかった、こーゆー場面での戦い方を、知ることができた。野次馬的な興味本位で読み始めたけど、思った以上に良い内容だと思った。

  • 行き過ぎた資本主義の弊害の1つのパターンに見えた

    当事者の方々には大変な道のりだったことは理解しているが、それを読み物としてしっかり被害者に感情移入させ共に勝利を勝ち取ったかのような感覚にさせた著者の力量は素晴らしいと感じた




    余談になるが興味深かったのはバイキング(フジテレビ)とスッキリ(日本テレビ)のメインキャスターによる発言の対比。
    加藤浩次さんは現在テレビ東京で放送されてる『巨大企業の日本改革3.0「いきづらいです2021」~大きな会社と大きな会社とテレ東と~』を見ていても頼りになるアニキ感があるし、俗にいう加藤の乱もそこに繋がっているんだなと思った。それだけにあの行動が大きな変革を実現させられなかったのは正直悔しい。

  • すごく面白かったし、教訓も多く得られた。

    特に印象に残ったのは以下のくだり。

    困難に直面したときに、立ち向かう人間と、逃げ出す奴がいる。大事な場面で逃げ出す人間は、一生そういう人生を歩む。

    自分は立ち向かう人間でありたい。

    • mori130さん
      これは映画やドラマにできる話。すごく面白いし、教訓もたくさん得られた。

      特に印象に残ったのは、以下のくだり。

      困難に直面したときに、立ち...
      これは映画やドラマにできる話。すごく面白いし、教訓もたくさん得られた。

      特に印象に残ったのは、以下のくだり。

      困難に直面したときに、立ち向かう人間と、逃げ出す奴がいる。
      大事な場面で逃げ出す人間、自ら戦わない人間は、一生そういう人生を歩む。

      立ち向かう人間でありたい。
      2021/05/30
  • スルガ銀行かぼちゃの馬車事件の顛末が明らかに!
    新聞で読み知っていたかぼちゃの馬車事件に携わった方々が如何にして代物弁済を勝ち得たかが克明に記録されている。
    どの企業も一つ間違えれば陥ってしまう収益至上主義。それを防ぐ方法は、たった一つ。すなわち、常識的に考えておかしいと思うことはやったらいけないということ。おかしいと思ったら、声を上げることに尽きる。この銀行がお客さま目線で行動し、信頼回復することを切に望む。

  • めちゃくちゃおもしろい。

  • 「かぼちゃの馬車」事件は不動産融資を拡大したいスルガ銀行にディベロッパーであるスマートデイズの当時代表だった佐藤太治が近づき、両者が共謀して行われた巨大詐欺事件。仲介業者、販売会社、建築業者も関係し合い、概要をつかむのが大変なのだが、狭小アパートを販売していたガヤルドというディベロッパーも同じスキームで詐欺行為を行っていたようで、ここにあるチャート図を読めば詐欺の概要はつかめる。ガヤルド社長の床西紀彦も佐藤と同じやり方で何十人もの投資家を騙していたようだ。
    https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1808/20/news043.htm

    本書の読みどころは、被害者たちを救った河合弘之氏を中心とした弁護士団とSS同盟(被害者の会)、彼らとスルガ銀行の戦いの場面。事件当時、投資家たちの自業自得という報道も見かけたが、第三者委員会の報告書にあるスルガの信じられない不良蛮行の数々を読んで、投資家たちは完全な被害者だと感じた。
    河合氏の、「戦い方を知っている、正義はこっちにある」という潔い戦い方がとても痛快。スマートデイズを追い込んでもせいぜい数千万を返却が望める程度だから、スルガ銀行に対して代物弁済要求をするという方針をいち早く決めて行動する。初めてのデモで怖じ気づく被害者の会のメンバーたちに対して「こうやるんだ!」と自らマイクを持って叫ぶ。株主総会では経営者を被害者たちとともに徹底的に追い込む。最終的にスルガは代物弁済を認め、被害者らは救われる。
    そして被害者らは自分たち以外の詐欺被害者を救済するために、SS同盟ReBornを作り、河合氏らの手伝いをするという。P323にある、河合氏がSS感謝の会で最後に語った言葉に心を打たれた。
    犯罪ドキュメントとしても、人間ドラマとしても読み応えのある1冊だった。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1944年、広島県に生まれる。広島大学文学部を卒業。「週刊文春」記者をへて、作家として政財官界から芸能、犯罪まで幅広いジャンルで旺盛な創作活動をつづけている。
著書には『十三人のユダ 三越・男たちの野望と崩壊』(新潮文庫)、『実録 田中角栄と鉄の軍団』シリーズ(全三巻、講談社+α文庫)、『昭和闇の支配者』シリーズ(全六巻、だいわ文庫)、『安倍官邸「権力」の正体』、『高倉健の背中 監督・降旗康男に遺した男の立ち姿』(朝日新聞出版)、『孫正義に学ぶ知恵』(東洋出版)、『落ちこぼれでも成功できる ニトリの経営戦記』(徳間書店)、『逆襲弁護士 河合弘之』『専横のカリスマ 渡邉恒雄』『激闘!闇の帝王 安藤昇』『百円の男 ダイソー矢野博丈』『田中角栄 最後の激闘』『日本を揺るがした三巨頭』『政権奪取秘史』『スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件』『安藤昇 俠気と弾丸の全生涯』(以上、さくら舎)などがある。

「2022年 『西武王国の興亡 堤義明 最後の告白』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大下英治の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アンデシュ・ハン...
リンダ グラット...
佐々木 圭一
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×