帰る家がない 少年院の少年たち

  • さくら舎 (2024年8月8日発売)
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本 ・本 (220ページ) / ISBN・EAN: 9784865814330

作品紹介・あらすじ

闇バイト、半グレ、詐欺、虐待……「明日はいらない」

女子少年院の少女たちを取材した著者が、今度は多摩少年院、久里浜少年院の4人の少年を取材し、少年たちの心と犯罪の背景に迫った。幼少期から親に虐待されて家出、食うために窃盗や強盗をした子ども。友達の身代わりに詐欺の受け子をして抜けられなくなった子ども。それぞれの犯罪の裏には、まだ自立できない年齢なのに、頼れる大人も安らぎもないという家庭や社会の問題がある。また、少年院を出ても昔の仲間が足を引っ張る。追い詰められた結果、闇バイトの実行犯として懲役刑を受けた18歳の「特定少年」は「捕まってホッとしている」と言った。自暴自棄になっていた別の少年は「犯罪をして、ダメになったら死ねばいいやと思ってた」――。

頼れる人のいない少年が生きていくには多くの困難がある。だが少年犯罪厳罰化は進み、2022年、改正少年法が施行された。自身も少年院経験者の著者は、彼らが犯罪へと踏み込んでいくのは少年だけの問題ではなく、社会、すなわち大人の問題でもあると語る。人は人とつながることで生きていける。支えがあれば、人は変われる!

感想・レビュー・書評

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  • 著者をネット検索するとヤンキー時代の写真。更生し、自らと似たような境遇の子供たちを励ましながら執筆へ。セカンドチャンス。加害者は、幸せになる資格がないのだろうか。

    退所しても、また犯罪を繰り返す。友人環境に流されたり、家庭環境が悲惨で、生きるための選択肢としてやむを得ず。こうした少年少女に寄り添う事も重要だし、人は過ちを犯す事があるもの。やり直せる社会を考える事は、過ちを犯さない社会を考える事と同様に重要だ。

    周りに流されて、判断基準が社会善ではなく、身近な友人の倫理観に左右される。この領域違いが正義感を揺らがせる。つまり、この社会は悪だとか、政治は悪だとか、会社や富裕層は悪だとする事で、身近な集合体の論理を正当化しやすくなる。善悪の判断が歪み、その環境にいれば犯罪に走りやすくなる。そういう構造がある。

    逮捕前と逮捕後で、帰る家が同じ、受け入れてくれる仲間が同じなら、簡単には変わらない。だからといって、そこから抜け出そうとすると、帰る家がない。やむを得ない犯罪が、今、どれだけあるのか。そこから直していければ良いのだが。

    • きたごやたろうさん
      私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      「きたごやたろう」と申します。
      よろしくお願いします。

      この本、私も読みました。
      そして「少...
      私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      「きたごやたろう」と申します。
      よろしくお願いします。

      この本、私も読みました。
      そして「少女」編も購入しました。
      いつかそちらも読みたいです。
      2024/12/15
  • 色々な若者達がどうやって罪を犯してしまったのかが読みやすく書いてありました
    実際は想像もつかないくらい苦しんでいたと
    思います
    巻き込まれて犯罪に手を染める方もいました
    ニュースなどでも闇バイト系も頻繁に見ます
    幸い今の所縁のない世界ですが為になりました

  • 貴重な話を読むことができました。

    可哀想や悲しいというより、切なさを感じました。育っていく環境や人の出会いも大切なことであるか、痛感しました。

  • 大げさに言えば、日本国民全員にこの本を読んでいただきたい。
    私は卑怯者で弱かったから、早く自分の人生を終わらせたかった。
    だから、大量服薬やリストカットといった内側の世界で自分を殺そうとした。
    でも生き残ってしまった。
    そしてこの本に出会った。
    だからといって、この先の自分がどうなるかは、自分次第。
    人によっては厳しい言葉かもしれない。
    でもあえてもう一度言う、この本を日本国民に全員に読んでもらいたい。

  • 人によっては厳しい視線は変わらないかもしれないし、当人たちによってはとことんワルで、更生の余地がない人間もいるかもしれない。
    重要なのはきっかけ、なのだろう。ここで終わってたまるか、まだ自分はやり直せる。そんな言葉をかけてやれる人間がどれだけいるだろうか。
    読み終えて深く突き刺さる一冊である。

    • きたごやたろうさん
      私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      「きたごやたろう」と申します。
      よろしくお願いします。
      同じ本を読んだ「同士」だったんですね。...
      私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      「きたごやたろう」と申します。
      よろしくお願いします。
      同じ本を読んだ「同士」だったんですね。
      また、ちょこちょこ私の本棚に遊びに来て下さい。
      2024/09/29
  • 自らも暴走族だった過去をもつ著者が非行少年へのインタビューを通して、少年たち一人ひとりの過去や犯罪への考え、贖罪のあり方などを描いた一冊。

    読んでいる時気になるのが、著者の自分語りがすぎるという感想…。少年たちに仲間意識?を持ってもらうためなのか「私の時はー」「私も同じだったー」などなど。元々、自分語りを持ち込むタイプのノンフィクションが苦手なので余計気になってしまった。

  • 捕まれば、もう悪いことをしないですむ
    家にいると怖い。違うところで笑っていたい
    明日はいらない。死んだら楽になれる
    ここにいたい。殴られないし、危険もない
    相手の人生に自分は必要ない
    両親から暴力を受けた記憶は崩れない
    改正少年法・特定少年
    恵まれた環境にいて犯罪をした自分
    犯罪集団の暴走族が唯一の居場所
    思い通りにいかなくて自暴自棄に
    甘えられる人を作りたい
    胃値自分のために
    自分の決断がよかったと思えるように生きる
    自分の意志で変われる社会
    少年院は罰ではなく教育を受けるところ
    信じてみてごらん

  • 368

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00659191

    女子少年院の少女たちを前作で取材した著者が、今度は多摩少年院、久里浜少年院の4人の少年を取材し、少年たちの心と犯罪の背景に迫った。
    幼少期から親に虐待されて家出、食うために窃盗や強盗をした少年。友達の身代わりに詐欺の受け子をして抜けられなくなった少年。それぞれの犯罪の裏には、まだ自立できない年齢なのに、頼れる大人も安らぎもないという家庭や社会の問題がある。また、少年院を出ても昔の仲間が足を引っ張る。追い詰められた結果、闇バイトの実行犯として懲役刑を受けた18歳の「特定少年」は「捕まってホッとしている」と言った。自暴自棄になっていた別の少年は「犯罪をして、ダメになったら死ねばいいやと思ってた」――。
    頼れる人のいない少年が生きていくには多くの困難がある。だが少年犯罪厳罰化は進み、2022年、改正少年法が施行された。自身も少年院経験者の著者は、彼らが犯罪へと踏み込んでいくのは少年だけの問題ではなく、社会、すなわち大人の問題でもあると語る。人は人とつながることで生きていける。支えがあれば、人は変われる!(出版社HPより)

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著者プロフィール

1975年、埼玉県に生まれる。15歳でレディース(暴走族)「紫優嬢」の4代目総長となり、多くのメディアに取り上げられるが、抗争による傷害事件で逮捕され少年院に入る。17歳で仮退院後、レディースを破門となって生き方を見失い、覚醒剤に手を出し再逮捕。だが、信じてくれる大人の存在や母の愛に気づいたことで新たな道を歩みはじめる。1995年に結婚、以降出産、離婚を経て4人の子を持つ母となる。2008年、自伝『紫の青春~恋と喧嘩と特攻服』(ミリオン出版刊)を上梓。2009年、少年院出院者自助グループ「セカンドチャンス!」を仲間とともに立ち上げる。少年院での講話活動をつづけ、2015年に全国の女子少年院訪問を達成。少年院の少女たちの話を伝えて社会を変えたいと2019年、ドキュメンタリー映画「記憶」を製作し初監督をつとめた。2020年、最終学歴中学校から通信制大学を卒業し、44歳で高校教員免許を取得。現在も「記憶」上映会での講演や全国の少年院講話をつづけている。

「2020年 『女子少年院の少女たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中村すえこの作品

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