ぼくと目の見えない内田さんがであったはなし (LLブックやさしくよめる本)

著者 :
  • 埼玉福祉会
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (39ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865964059

感想・レビュー・書評

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  • 私は仕事で視覚障害の人と接することが多い人間なので、絵本の内容は「そうだよなあ」と思って見ていたのだけど、面白かったのは著者の赤木かん子さんの後書きのようなコメント。

    まず印象的だったのが、

    〝(この本の主人公の1人として登場する実在の視覚障害者の)内田くんといると、目が見えない人は本当に、ただ単に目が見えないだけなんだということがよくわかりました〟

    というところ。

    実際に当事者と接している実感としては本当にそう思う。
    先天性か、中途か、全盲か、ロービジョンか、またロービジョンなら個人の見え方によっても状況は違うけど、皆さん目が見えない、見えにくいだけで、見える人同様色んな性格の方がいて、色んな趣味や得意なこと、苦手なことがある。

    見える私より、世の中の動きに詳しかったり色んなことを知っている人がたくさんいる。

    ただ、視覚に障害があるという点のみ配慮が必要なだけであとは何にも変わらないのだ。

    あともう一つ印象的だったのが、

    〝 子どもは突発的事態に弱いので、普段と違うことが起きるとオタオタしたり、怖さのあまり拒否しちゃったりするのですが、知識や言葉を手に入れてさえいれば“礼儀正しく” “落ち着いて” “お互い気持ちよく” 振る舞うことができ、人を意味なく傷つけなくてすむのです。〟

    というところ。

    子どもに限らず、事前に知ってある程度想定さえできていれば、怖いものは減るし、行動を起こす勇気も出やすい。だからこれも子どもに限らず、視覚障害の人と接する機会がない人はこの本を読んで、「こんな人もいてこうするといいんだな」を知ってほしい。
    そう思える絵本だった。

    そう、この本の赤木さんの言葉を借りるなら、知っていること=知識は力、なのだ。 

  • 今年の小学校一年生に読んでやりたい絵本50冊
    その42

    これは、もしあなたが町で、目の見えない人に会ってしまったら?
    どうすればいいのか、について書いたものです。
    一人の高校生が白杖や目の見えない人について習い、目の見えない人に会ったら親切にしましょう、といわれ、よくわからないけどなんかもやもやする……そのとき、たまたま目の見えない人に会ったので聞いてみた、というストーリーになっています。
    内田さんが教えてくれたのは、まず

    困っているかどうか見る
    困ってなきゃ助ける必要はないでしょ?
    困ってそうならどうすればいいか、本人に聞く


    というごく当たり前のことだったのですが、この当たり前のことができていない人は大人にも多いのです。

    目が見えない人=気の毒な人、可哀そうな人
    だから親切にしなくっちゃ!

    なんでそんなに上から目線なの?
    ですよ。

    正直、目の見えない人には、頭のいい人もいれば悪い人もいる、気立てのいい人もいれば悪い人もいます。つまり目の見えない人は、目の見えないだけの、ただの人、なんです。

    実際、困ってることもよくあります。
    交差点で方向がわからなくなってウロウロしてるとか、来たバスがどこ行きかわからないとか……。
    そういうときは確かに教えてもらえると助かります。
    でも大抵の場合、あまり困ってないんだよね。
    だって、それで毎日生活してるんだもの。

    内田さんは実在の人物で、私のかかりつけの鍼灸師です。小さい時からほとんど見えないのでとても耳がよく、彼の目は360度あります。なので前しか見えない私よりよっぽどよく見えてますね。
    一緒に歩くと、よく、後ろから自転車2台来るから気をつけて〜、と言われたりします。
    目の前の塀が、木なのか板なのかブロックなのか、どのくらい距離があるのかもわかります。音の反射が違うのだそうです。
    さっきから迷子になってない?と言われ、なんでわかったの?ときいたら、このマンホールの蓋のうえ、さっきも歩いた、と言われたときは仰天しました。
    マンホールの蓋の模様って違うんだってさ。

    うっちゃんの針は効きます。天才的に腕がいいです。
    でも痛いの。
    だからあまりおすすめできません。
    でもギックリーとかになって、本当に痛くて困ったら行ってください。たいてい治してくれますから。
    十条商店街のど真ん中で、内田治療院、やってます。

    絵を描いてくれたのは、ディスレクシアの濱口瑛士君。描いてもらうために内田さんとご飯を食べたのですが、正直、想像していた盲人と180度違ったそうです。
    (^∀^)

    実際に目の見えない人と会ったことのある子どもは少ないでしょう。そうして今の一年生は、人を助けたい、と思っている人たちです。
    なのでこの本を真剣に聞くでしょう。
    そうして、助けがいる人を助けるやりかたを知ってもらえたらいいなぁ、と思うのです。

    2022/09/13 更新


    ※こちらは以前も紹介済みですーーーーーーー

    新刊、出ました〜。
    「僕が目の見えない内田さんとであったはなし」

    これは街の中で目の見えない人と会ったらなんて声をかけたらいいのだろう、がテーマです。
    いまの小学生は、人を助けたい!
    と思っている人がとても多いし、ちゃんとできる力もあります。
    一度は読んでやってください。

    2021/05/28 更新

  • LLブック
    目が見えない内田さんに高校生のぼく(佐藤君)が色々質問します
    質問を通して,視覚しょうがいがある人への声のかけかたなどが
    よくわかりました。
    読み聞かせ時間 本編8分位 内田さんのインタビューまで含めると14分位です

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著者プロフィール

松本生まれ、千葉育ち。
法政大学英文科卒。
1984年、“本の探偵”でデビュー。
現在は、子どもの本や文化の紹介、ミステリの紹介・書評に活躍中。
好きなものは、温泉と民族伝統芸能と美味しいゴハン。
著書
『こちら本の探偵です』(径書房)
『子どもの本とごちそうの話』(径書房)
『魔女のよせなべ』(径書房)
『かんこのミニミニヤング・アダルト入門1・2』(リブリオ出版)
『この本読んだ?おぼえてる?』(フェリシモ出版)
など

「1988年 『魔女のよせなべ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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