人生、何を成したかよりどう生きるか

  • 文響社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866513423

作品紹介・あらすじ

日本を代表する思想家・内村鑑三の100年以上前の伝説の講義
『後世への最大遺物』を読みやすく現代語にし復刊!

お金?仕事?教育?思想?それとも・・・?
ーーわたしたちが死ぬときにのこす価値のあるものは何か

古典が教える先が見えない時代を生き抜くヒント

<目次>
・「後世への最大遺物」現代語訳 内村鑑三
 1日目:1894年7月16日夜7時
 のこすべきはまずはお金、次に事業である。
 2日目:1894年7月17日朝8時
 誰もがのこせる唯一のものがある。
・「後世への最大遺物」解説 佐藤優
 先が見えない時代をどう生きるか

感想・レビュー・書評

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  • 日本を代表する思想家内村鑑三の講義を現代訳で噛み砕いた前半と、佐藤優さんが現代に置き換えて長い注釈としている後半。
    まずお金、そして事業、それができなければ自分の想いを文字とすること。この行き先の分からない世の中で、自分がどうあるべきか、どう生きたいかを立ち止まって考えることが重要とある。
    しかし、立ち止まれない、考えたくない、どうにもならないと思ってしまう時、人はどうすればいいのだろうか。自分と向き合うことはとても難しいが、まず嫌でもノートに考えていることを書き出すことから始めるしかないのかもしれない。

  • 内村鑑三の名著『後世への最大遺物』のメッセージを
    現代の言葉遣いで紹介、後半は佐藤優さんの解説。

    〈本書は、激動の時代、希望の見えない時代、将来が不安な時代、息苦しく生きづらい時代に、自分は決して恵まれているとはいえない状況にあると思っている人たちに向けて、どう生きていけばいいのかを示しています〉と佐藤優さん。

    わたくしごとですが、小学校のとき日曜日にキリスト教会に(遊びに)通っていました。
    ある時期、超難関私立大学(当時の私は、誰でも入れる大学と思っていた)に通う、ジャニーズ事務所の人気アイドルに似たお兄さんがいて、私たちの面倒を見てくれました。
    話をきかせてくれたり、遊びに連れて行ってくれたり、「とても良い本だから読んでみて」と買ってプレゼントしてくれました。
    小学生の私たちはずいぶん生意気で失礼なことも言いましたが、決して怒らなかったお兄さん。
    就職か結婚を機に、引っ越して来なくなりました。

    そのお兄さんがクリスチャンになったきっかけは、
    内村鑑三との出会いということでした。
    今回佐藤優さんがこの本を出して、久しぶりにそのお兄さんのことを思い出しました。

    お兄さんのことはともかく、たくさんクリスチャンの男の人を見てきて、決して魅力的には思えなかったこともあったのか、自分はクリスチャンにはなりませんでした。
    でも大人になって、こういう本に書かれている言葉が心にしみます。
    佐藤優さんのクリスチャンとしての活動も、だいたい理解しているつもりです。
    そのお兄さんと共通しています。
    いろいろ思い出したので、読んで良かったです。

  • なかなかに読みやすい本でした。
    内村鑑三に興味があるというよりは、解説の佐藤優さんてどんな人かな?という思いで読みました。
    わかりやすい解説でした。
    佐藤さんは頭のいい人なんだとわかりました。

  • 前半は頭にスッと入ってこない内容で何度も読み返す感じだったが、後半はとても分かりやすかった。後、まとめよう。

  • 富や名声にとらわれる必要はない。ひたすらに自分と向き合い、生きることで、「生き方」が遺産となる。「なぜ生きるのか」より「どう生きるのか」に思いを巡らせよ。

  • 内村鑑三が1894年夏休みに箱根に若者を集め、講演した内容の書き起こし、「後世への最大遺物」。
    それを現代でもわかりやすい言葉遣いにし、登場人物等にふんだんに注釈を加えた前半。
    そして後半は元外務省主任分析官の佐藤優さんの解説。

    時は明治27年。日清戦争開戦の時代。
    黒人や女性軽視など、違和感のある部分もあるが
    致し方ないのかもしれない。
    内村鑑三の人間的な部分が垣間見える。
    欧米の事業家、思想家の名前もたくさんでてきて
    それに関する注釈を丹念に読むだけでも
    当時の世界の勢いとか情勢が浮き上がるきがする。

    生き方として
    まずお金を儲けなさい
    そして事業をしなさい(=働きなさい)
    それができなければ、教育に携わるか、本を書くかして、思想を残しなさい。
    それができないのなら、よりよく生きなさい

    善い行いをするよう心掛けた、弱者を助けた、
    こうした正義を毎日積み重ねましょうと。

    後半の佐藤氏の解説も秀逸。
    コロナ禍という特殊な状況で書かれたので
    ちょっと違和感を感じることもあるかもしれないが
    とても良い。

  • これから自分がどう生きていくべきかを考えさせられた。
    自分は資産家にも、事業家にもなれず、本も書けず、教えることもできないが、自分が信じる思想を実行し、生きていきたいと思った。
    また、自分が信じる思想を再整理することができたので、良かった。

  • 内村氏の代表的日本人を読みたがったが、なぜか手に取ったのがこの本。
    最近全集でこれを同じ講演を読んだが難しく。この本を手に取れてよかった。
    佐藤氏の解説もよかった。講演当時と今の日本社会は似ていると書かれていて信憑性が増した。
    またこの解説では、いま何をしたらいいのかも書かれており、親切だなと感じた。

    内村氏の講演について。
    正直、お金の話をしてるのにびっくりした。表題より精神論をキリスト教に関連して講演されているものと考えていたので、お金が大切だと言われ、( ゚Д゚)。キリスト教的な思想はあまり感じられなかったが、聴講者がキリスト教関係者だったからかもしれない。

    まずはお金儲け、事業を起こす、出来なければ教育に携わるか本を書くかして思想を残す。できない人はまっとうな生き方をする。と内村氏は勧めている。自分はどれだろうか?

    内村氏について、キリスト教関係者、明治時代当たりの思想家、学校設立に関係している、英語ができて海外に日本人の特性を広めた人、ぐらいの知識しかなかったので。あと何冊か読まないとなと感じた。

    佐藤氏の解説について。
    現代の格差、医療・地域・学歴・情報・世代間・雇用・教育格差を上げられ、教育格差でリアルで学ぶことの重要性を説かれていた。コロナによるリモート学習の弊害から、誰と、誰から、どうやって学ぶか、ニュアンスや学閥での政治学などリアルに学ぶことの重要性が明らかになってきたと。キリスト教プロテスタントの生い立ちが書かれていて、とても勉強になった。お金は卑しくない。3年分の生活費をもつべき、夫婦の場合は別財布にするなど、具体的なことが書かれていて、少し笑った。学生中(時間がある間に)数学検定2級、漢字検定準1級もしくはIELTS。日商簿記2級を取ることも薦めていた。

  • (02/14/2022)

  • 10代、20代の頃内村鑑三の一日一生と言う本に心身ともに支えられた。この本は前半部分を内村の伝説的講演を現代的に分かりやすく書き直したパートで成っている。とても読みやすく馴染みやすい文体で、言葉の一つ一つが心に染み、若い頃よりも今読むと、さらに自分の生き方やキャリアにヒントを与えられたように思う。お金、事業、思想を自ら生きた遺産として世に残すことを若いクリスチャンたちに勧める内容となっていて、その「何故か」の部分が信仰から生まれた思想でより重要となる。人がこの世の命を終えて天国に帰るとき、この世でかき集めたものは何一つ持って行くことはできない。だからお金を儲けるのは好ましくないというのが旧教的な考えであるがカルヴァンは資産を生み出すことの必要性を唱えた。内村の信仰はその思想の遺産を受け継ぐものだが、つまりお金も事業も与えるという愛の行為であることを信仰に基づき確信し自らの思想として伝えている。
    思想を遺せという言葉の通り、内村の信仰遺産はこれほどの時間が経過した現代も私たちを励まし続ける。

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著者プロフィール

1861年生まれ、1930年没。思想家。父は高崎藩士。札幌農学校卒業後、農商務省等を経て米国へ留学。帰国後の明治23年(1890)第一高等中学校嘱託教員となる。24年教育勅語奉戴式で拝礼を拒んだ行為が不敬事件として非難され退職。以後著述を中心に活動した。33年『聖書之研究』を創刊し、聖書研究を柱に既存の教派によらない無教会主義を唱える。日露戦争時には非戦論を主張した。主な著作は『代表的日本人』、『余は如何にして基督信徒となりし乎』など。
佐藤優
作家、元外務省主任分析官。1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。現在は、執筆活動に取り組む。著書に『国家の罠』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。おもな著書に『国家論』(NHKブックス)、『私のマルクス』(文藝春秋)、『世界史の極意』『大国の掟』『国語ゼミ』(NHK出版新書)など。『十五の夏』(幻冬舎)で梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞。ほかにも著書多数。

「2021年 『人生、何を成したかよりどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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