- Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
- / ISBN・EAN: 9784867060247
作品紹介・あらすじ
19世紀の国際主義からアメリカの国際主義にいたる詳細なリベラリズムの系譜を語る本書は、現代人の必読書。
―野口悠紀雄氏(一橋大学名誉教授)推薦!
・「リベラルな国際主義」はいかにして可能か。
世界有数の国際秩序論の大家、G・ジョン・アイケンベリーがその歴史を丁寧に繙(ひもと)き、将来を冷静に見据えた一冊。
リベラルな国際主義の未来を垣間見るべく、その過去を発掘し、現在いたる長い道のりをたどっていく。
・解体しつつある私たちの世界秩序において、国際関係を組織化し、民主主義にとって世界を安全なものにする方法としてのリベラルな国際主義に「未来」はあるのか。
*本書は、2016年11月、「歴史の湾曲した矢――リベラルな国際主義の起源、勝利および危機」というタイトルのもと、バージニア大学で行われた一連の講義をベースとしてまとめられたものである。
感想・レビュー・書評
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冷戦後の拡大する自由主義秩序への道を与えられることで、中国は急速かつ劇的な経済的成功をおさめた。しかしこの大きな成功こそが、秩序を共同で維持していた西側同盟国の覇権的駆け引きを弱体化さっせてしまった。中国はアメリカと経済的に対等になるにつれ、下位パートナーやルールを受け入れる側の役割に不満を抱くようになった。冷戦期と1990年代、リベラルな国際秩序はアメリカ、西ヨーロッパ、日本による駆け引きを中心に構築され、これらの国々は各々の相違を調整しやすくする同盟システムに組み込まれていた。しかし中国はこの同盟システムの外で強力に成長しており、その巨大な規模のおかげで、世界経済においてより独立しtあプレーヤーとなっている。したがって中国は冷戦後のリベラルな国際秩序の内部と外部の両方に位置している。中国あこの秩序が安定して機能することに不可欠であるほど十分に大きく、世界経済に統合されている。同時に秩序の統治についての合意をきわめて困難にするほど十分にその秩序の、また民主主義世界の外部に位置している。
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50265612 -
リベラルな国際主義・秩序の歴史と現在地を説明する。
その萌芽は19世紀で、20世紀にはまずウィルソンが体現する。著者はウィルソンを肯定的に見る一方で、集団的安全保障システムが機能しなかったことは「失敗」と評価する。
1930年代からのルーズヴェルトの国際主義では、地政学、大国による秩序、恒久的な多国間統治制度、国際安全保障といった点が意識される。これに続く冷戦期では、西側限定で米国主導のリベラルな覇権秩序。
冷戦後の1990年代は「リベラルな理想」が世界を席巻したが、長くは続かず。現在は、中露など非自由主義国の台頭。特に、自由主義のグローバル化、具体的には中国が世界貿易システムに入ることで発展したという事例は皮肉だ。他にも、トランプ大統領の登場など、米英がリベラルな国際秩序の擁護者としての役割から後退。世界各地で様々な権威主義や反動政治。ただ、この危機という現在地に対する処方箋となると本書からは明確には読み取れなかった。実際、難しいとは思うのだが。
著者がリベラルな国際主義を肯定的に考えているのは確かだが、完璧だとしているわけではない。1章を使い、帝国主義や介入主義、イラク戦争の正当化に使われた事例、その二面性も紹介している。 -
東2法経図・6F開架:319A/I34m//K