神に祈らず―大杉栄はなぜ殺されたのか

著者 :
  • 飛鳥新社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784870314269

作品紹介・あらすじ

反逆の中に生の至上の美を幻視し、"美は乱調にあり"と呟いた男は、なぜ殺されたのか?独立不羈の精神で反権威・反権力の姿勢を貫き虐殺された、大正の無政府主義思想家・大杉栄。短くも激しい、その鮮烈で爽やかな生の軌跡を深い共感をこめて描き、バブル崩壊後の日本人の生き方を根源から問い質す、気魄の一書。

感想・レビュー・書評

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  • アウトローの中に生まれ学生運動にも参加した作者が、大杉栄の生き方、なぜ彼が殺されなければならなかったかの自論を展開する一冊。
    最初こそ大杉の生き方に理想を見ているのかと思ったけれど、大杉を殺したのは「善人の悪行」であると結論づけてからは、国家や市民など「善きもの」とされているものへの批判が始まります。
    大杉栄を入り口として「自分の頭で考えて肉体で生きる」ことの苛烈さを述べ、しかしそう生きられないうちは日本は精神的後進国であると結びます。
    「善人の悪行」は今も社会の至る所、己の中にもあると思うとゾッとします。

  • かなりいい本だ。

    村上春樹より素晴らしいと思う。

    本を読んでいて久々に感極まって泣いた箇所があった。

    金子光春の詩集を読みたくなった。
    大杉栄全集がほしくなった。

    この本は購入すべきかもしれない。手元に置いておきたい。文庫になっていたら即買いたい。

  • 今回の震災で一般市民を非難するような醜い文言が見かけられたけれど、大きな出来事を前にして現われるさまざな感情に、なぜか「怒り」が生まれ、そしてその矛先がなぜか弱い市民に向けられるのがこの国の稀有な状況だ。そうした人間は戦争中は軍部や政府を批判的に眺めるどころか市民の中に「非国民」という敵探しに明け暮れ、そこに「怒り」の感情をぶつけた。今回の震災でも同じことが見られ、この国が戦争中のメンタリティから一歩も抜けだしていないことがよくわかった。そんな状況だからこそ、この本に描かれた自分の足で立とうとした、立ち続けようとした人間の姿にあこがれる。その立脚した地点から見える視線が大事なのだ。

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プロフィール

1945年京都府生まれ。早稲田大学中退。父は伏見のヤクザ、寺村組組長。早大在学中は学生運動に没頭、共産党系ゲバルト部隊隊長として名を馳せる。週刊誌記者を経て家業の建築解体業を継ぐが倒産。半生を綴った『突破者』(南風社、のちに新潮文庫)で衝撃デビューを果たし、以後、旺盛な執筆活動を続ける。佐藤優氏との共著に『「殺しあう」世界の読み方』(アスコム)、『戦争と革命と暴力』(祥伝社)などがある。

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