毒書案内

著者 :
  • 飛鳥新社
3.46
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本棚登録 : 112
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784870317000

作品紹介・あらすじ

『人間失格』『不思議の国のアリス』『ロリータ』…。名著と言われている作品は読者を「異常の世界」へ引き込む危険な本だった!東大教授が35冊の名作をとりあげ、そのアブなさを徹底解説。

感想・レビュー・書評

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  • 十割、すでにアンテナに捕捉されていた本ばかり。
    しかしこの「偏り」が、よくある書評を並べただけのブックガイドブックとは異なるところ。
    その偏りにうまく合致していたのだろう。
    コンセプチュアルな本だがこのコンセプトには大いに賛同する。

    「死の誘惑」:
    人間失格(太宰治)、若きウェルテルの悩み(ゲーテ)、二十歳のエチュード(原口銃三)、孤独な散歩者の夢想(ルソー)、ヴェニスに死す(トーマス・マン)

    「異界の迷宮」:
    不思議の国のアリス(ルイス・キャロル)、砂の女(阿部公房)、審判(カフカ)、死霊(埴谷雄高)、ドグラ・マグラ(夢野久作)

    「揺らぐ自我」:
    地獄の季節(ランボー)、マルテの手記(リルケ)、無知の涙(永山則夫)、地下室の手記(ドストエフスキー)、ツァラトゥストラ(ニーチェ)
    「迷走する狂気」:死の棘(島尾敏雄)、金閣寺(三島由紀夫)、わが闘争(ヒトラー)、野火(大岡昇平)、夜の果てへの旅(ルイ=フェルディナン・セリーヌ)

    「性と暴力」:
    われらの時代(大江健三郎)、北回帰線(ミラー)、裸のランチ(ウィリアム・バロウズ)、サンクチュアリ(ウィリアム・フォークナー)、千年の愉楽(中上健次)

    「官能の深淵」:
    鍵・瘋癲老人日記(谷崎潤一郎)、眠れる美女(川端康成)、ロリータ(ウラジミール・ナボコフ)、幼児狩り(河野多恵子)、芋虫(江戸川乱歩)

    「背徳と倒錯」:
    悪徳の栄え(サド)、眼球譚(ジョルジュ・バタイユ)、家畜人ヤプー(沼正三)、ブレストの乱暴者(ジャン・ジュネ)、マルドロールの歌(ロートレアモン)

  • GoogleBooksで検索するとだいたいよめちゃったりするが、ページ抜けのところが気になったので購入。読んだことがある本が多いのはきっと気のせい。
    感染すると人生踏み外しそうな本を並べてその毒の部分をどう毒なのかを解説しているかんたんな書評。
    ちょっとした時間によむのがおもしろい。

  • 2005年刊。背徳・自死・性と官能・暴力・異形。人間の深遠には「毒」というべき不定形なものが存在し、活字媒体は、この不可視で不定形なものをこれまで著してきていた。著者は慎重に、かかる書を「毒書」として「読むな」と評するが、それこそが著者の心憎い「罠」であり、ダメだと言われれば読みたくなるという浅はかな人間心理のツボをつくものだ。本書は、決して綺麗ごとでない人間の深遠を垣間見せる書を紹介するもので、本書紹介の「死の棘」「家畜人ヤプー」はまさにそれと実感できるもの。著者は東大大学院総合文化研究科教授。

  • なにげなく読んでいた本もあったが、危ない本だったかもしれないと思わせられる。

  • ここに出ている本は全て名作。太宰、ニーチェ、カフカなど。このくらいで人生狂ったりはしない。安直なタイトルに騙されてはいけない。

  • 朝日新聞の書評記事で見かけて、気になって読んでみました。
    だって、「人生を狂わせる読んではいけない本」「読まれる方はくれぐれも自己責任で・・・」
    って、そんなこと言われたら、余計に読みたくなるじゃない!

    紹介されている本のうち、読んだことがあったのはわずか7作。ほとんどが未知のものでした。
    読んだら、どうなっちゃうのかしら?
    うーん。読んでみたい・・・。
    すっかり作戦にハマっちゃってるみたいです(汗)

    * * * * *

    「死の誘惑」:人間失格(太宰治)、若きウェルテルの悩み(ゲーテ)、二十歳のエチュード(原口銃三)、孤独な散歩者の夢想(ルソー)、ヴェニスに死す(トーマス・マン)
    「異界の迷宮」:不思議の国のアリス(ルイス・キャロル)、砂の女(阿部公房)、審判(カフカ)、死霊(埴谷雄高)、ドグラ・マグラ(夢野久作)
    「揺らぐ自我」:地獄の季節(ランボー)、マルテの手記(リルケ)、無知の涙(永山則夫)、地下室の手記(ドストエフスキー)、ツァラトゥストラ(ニーチェ)
    「迷走する狂気」:死の棘(島尾敏雄)、金閣寺(三島由紀夫)、わが闘争(ヒトラー)、野火(大岡昇平)、夜の果てへの旅(ルイ=フェルディナン・セリーヌ)
    「性と暴力」:われらの時代(大江健三郎)、北回帰線(ミラー)、裸のランチ(ウィリアム・バロウズ)、サンクチュアリ(ウィリアム・フォークナー)、千年の愉楽(中上健次)
    「官能の深淵」:鍵・瘋癲老人日記(谷崎潤一郎)、眠れる美女(川端康成)、ロリータ(ウラジミール・ナボコフ)、幼児狩り(河野多恵子)、芋虫(江戸川乱歩)
    「背徳と倒錯」:悪徳の栄え(サド)、眼球譚(ジョルジュ・バタイユ)、家畜人ヤプー(沼正三)、ブレストの乱暴者(ジャン・ジュネ)、マルドロールの歌(ロートレアモン)

  • うーん。読んだことがあるのは紹介されている本の3分の1。いいのやら、わるいのやら。

  • 川端、谷崎、大江あたりを読まねば。

  • 自己責任で「読んではいけない本」を読みたい。あたしの自我は崩壊するかもしれない

  • これに載ってる本の半分以上を読んだことがある人はお友達になりましょう。

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著者プロフィール

1951年生まれ。中部大学教授・東京大学名誉教授。専門はフランス文学、フランス思想。15年から19年春まで東京大学理事・副学長をつとめる。91年、ブルデュー『ディスタンクシオン』(藤原書店)の翻訳により渋沢・クローデル賞、01年『ロートレアモン全集』(筑摩書房)で日本翻訳出版文化賞・日仏翻訳文学賞、09年『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房)で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に『フランス的思考』(中公新書)、『時代を「写した」男ナダール 1820-1910』(藤原書店)、共著に『大人になるためのリベラルアーツ(正・続)』(東京大学出版会)などがある。

「2020年 『危機に立つ東大』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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