殺人者たちの午後

制作 : 沢木 耕太郎 
  • 飛鳥新社
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本棚登録 : 185
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784870319592

作品紹介・あらすじ

人はなぜ殺すのか?殺したあと、人はどう生きるのか?心ゆさぶられる殺人者たちの告白。沢木耕太郎翻訳、傑作ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 「殺人者たちの午後」は、イギリスの作家トニー・パーカー氏による殺人者たちのインタビュー集です。日本語訳は、沢木耕太郎氏。

    人は人を殺すとき、どんな状態で、どんな思いでいたのか。

    人を殺した後、どんなふうに生きていくのか。

    とても重いテーマと思うのですが、殺人者も「人」。

    人を殺す人と、殺さない人との間にある「何か」は、見えるようで、見えないと感じさせる本でした。

    個人的に興味深かったのは、沢木さんの「訳者あとがき」です。

    「すぐれたインタビュアーとはどういう存在なのか」。

    ということについて、沢木さんは次のように書かれています。

    「まず、何より好奇心を持っていること。」

    「次に、本質的なところで世界と人とに肯定性と謙虚さを持っていること」

    「そして、最も大事なものが、理解力と、想像力といってもよい洞察力を持っていることである」

    人に取材させていただく機会のある私にとって、頷かされるポイントずばりです。

    さらに、沢木さんは「インタビュー」という行為について、次のように書かれています。

    「それにしても、インタビューとは不思議な行為である。多くの場合、一面識もない相手と、インタビューという方法を媒介にして人間と人間との関係を構築していく。もちろん、そこには限界がある。理解したいという情熱と、理解されたいという願望がぶつかり合い、訊ね、答え、耳を澄ませて聴いてもなお、やはりどうしても到達できないところがある。それがインタビューという方法を媒介して切り結ぶ人間関係の限界でもあるのだ」

    「殺人者の午後」が出版されたとき、ある雑誌に沢木さんが紹介されていたトニー・パーカーの手紙の一節。この「あとがき」からのものでした。

    「書くことは才能や天性とはまったく関係がない。重要なのは、孤独に耐える力と決断力、勤勉さ、そして取材対象者との密接な結びつきである」

     インタビューを介して築く人間関係には、限界があります。その限界に、孤独を感じることもありますが、それでもなお相手と密接な関係をつくろうと、最大限ぎりぎりのところまで相手に迫っていく努力をできるかどうか――。

     人との距離感というのかなぁ…。

    インタビューに限らず、良い感じの距離感を保っていくことは大事ですよね。
    この人とは、この距離。
    あの人とは、このくらいの距離…。

    適切な距離を探ることは、人と向き合う仕事をしている人にとって、共通の課題かもしれません。

    トニー・パーカーの手紙の一節、実は、私、今年の手帳に写してありました。

    そろそろ2012年の手帳にしなくては!
    もう一回、写しておきたいと思います(*^_^*)。

  • 翻訳者は沢木耕太郎だが、沢木作品の面白さを期待して読むと期待外れになるので注意。
    外国の犯罪者の話のせいなのか、翻訳物特有の言語的なフィルタのせいなのか、リアル感があまりなかった。
    まあ、古本200円で買った程度には楽しめた。

  • 死刑制度のない国イギリスで終身刑になり、仮釈放され社会で暮らす受刑者。その後悔の念は強く、行き続けることの辛さすら見えるけれど、それ以前に感じるのは、人を殺めるに至った理由がみな稚拙すぎること。後悔してからではやはり遅すぎる罪だと、改めて感じる。

  • インタビュー

  • しみじみと心に沁みました。

  • 後悔はしているのだろうが…何かがおかしい。
    その微妙なズレの様なものが、怖い。

  • 「殺人」という切っ掛けは常にそこら中に転がっていて、自分がいつその被害者になるか、という現任はサイコロの出目だけなんだろうな。たぶん殺人者になるのも同じ。

  • 面白かった。
    当たり前だけど十人十色。淡々としているのだけど、時に暗闇が濃過ぎて焦燥感。かと思えば救われたり。

  • 死刑制度がないイギリスで、殺人罪により終身刑を宣告された受刑者たちの「その後」を書いたインタビュー集。
    インタビューといっても、インタビュアーである著者の言葉は書かれておらず、読んでいると受刑者の独白のようにも感じる。
    いままでに読んだこの手の本は、一度くらいは聞いたことがある「有名な」殺人者を扱っているものが多かったけれど、この本に出てくるのは(誤解を恐れずにいうなら)人々の記憶に大して残らない三面記事的な事件を起こした殺人者ばかり。
    そのぶん身近、というか、生々しい印象はあるものの、インタビューにこたえた10人の受刑者のうち、印象に残ったものと残らないものがあるのも正直なところだ。

    個人的にいちばん印象に残って、いちばん読むのが苦しかったのは、3話目に収録されていた「とんでもないことが起きてしまった」
    収録されている中でも1,2を争うほど残虐で、許せない事件であるはずなのに、同時に受刑者の痛み…というと少しずれてるかな、良い言葉が見つからないのだけど、「翳」のようなものが本当に悲しいし、辛い。

    それと違った意味で印象に残ったのは、2話目の「ノープロブレム!」。
    これは読んでて心底“胸糞が悪かった”。

    自らが起こした事件に対していろいろな向き合い方があって、いろいろな消化(あるいは未消化)の仕方があるのだなあ、とただぼんやりと思う。
    原題はライフアフターライフというそう。
    もとは12人の受刑者を取り扱っていたのに、訳者の沢木氏の都合なのか、編集の都合なのか、収録されているのは10人。…沢木氏が訳を引き受けてから10年以上放置してたってあとがきに書いていたから前者なのかな。

    最後に。
    評価を★4つにしようか、3つにしようか、本当に迷った。
    きっと、3話目がなかったら、迷わなかったと思う。

  • 人を殺すというのは
    もしかしたら
    全ての人達の日常生活に
    取り込まれている
    普通の事なのかも知れないと
    感じずにはいられないぐらいに
    この本に登場してくる
    殺人者達は一様に平凡な
    人々ばかりです。
    それが、尚更に恐い。
    どこで、何が狂ったんだ!?

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